徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「HPVワクチンの勧奨中止は残念」と考えている10歳代後半女性は多い

2015年01月22日 06時58分10秒 | 小児科診療
 HPVワクチンに関するニュースでは“反対派”の意見が目立ちますが、実際に受ける10歳代女子の考えが報道されることは希です。
 そんな中、下記アンケート結果が目にとまりました;

「HPVワクチンの勧奨中止は残念」10歳代後半女性で最も高い 日本家族計画協会
(2015.1.19:MTProより)
 日本では若年女性への子宮頸がん予防を目的に一昨年(2013年)4月,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが定期接種化されたが,2014年6月に積極的勧奨が中止されている。このたび,日本家族計画協会の調査で「HPVワクチンの積極的勧奨が中止されたのは残念」と回答した割合は,同ワクチン接種対象年齢に該当する16~19歳の女性で全年齢を通して最も高かったことが分かった。



 一方,20歳以上の女性では「痛みなどの原因を追究するためには必要な措置」が「勧奨がなくなったのは残念」より多くなり,「検診で十分」という割合も増えていた。
 日本家族計画協会理事長の北村邦夫氏は「“HPVワクチン定期接種の勧奨がなくなったのは残念”との回答割合は,接種対象年齢に該当する16~19歳の女性で高かった」と指摘。一方,それ以上の年齢の女性では「ワクチン接種がなくても検診で十分」との回答が「勧奨がなくなり残念」を上回って多かったと述べ「子宮頸がんは検診だけでは予防できないことが成人女性の間で十分認識されていないことは問題」と話した。


 予防接種を受ける受けないは基本的には個人の判断によりますが、選挙権のない、発言権の弱い彼女らの考えを代弁するのは、いったい誰なのでしょう?

<追記>
 関連ニュースです。

■ HPVワクチン「1回で十分」 【米国癌学会】(2013年11月21日 米国学会短信:m3.com)
◇ 1回投与で抗体レベルは4年間安定
 米国癌学会(AACR)は11月4日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの1回投与で十分な長期的免疫が得られることを示唆する研究を紹介した。Cancer Prevention Research誌に掲載。
 この研究は、米国立癌研究所(NCI)によるHPV 16/18 L1 VLPワクチン(商品名サーバリックス)の有効性に関する第3相臨床試験のデータを使用。ワクチン投与を受けた被験者女性(1回投与78人、2回投与192人、3回投与120人)の血中抗体レベルを調べ、ワクチン未投与だが過去の感染により抗体を持つ女性113人と比較した。
 ワクチン投与を受けた被験者は、HPV 16および18に対する抗体を、回数にかかわらず全員が最高4年間保持していた。また、1回投与を受けた女性の抗体レベルは、投与完了者(3回投与)よりも低いとはいえ安定しており、長期的な免疫応答が得られていることが分かった。1回および2回投与群の抗体レベルは、ワクチン未投与のHPV感染経験者より5-24倍高かった。
 「このような結果を得たことから、HPVワクチンの投与スケジュールを簡素化できる可能性がある。ただし、米国その他で使用頻度の高いガーダシルについては調査しておらず、ガイドライン書き換えにはさらにデータが必要」と、研究者は述べている。

【関連リンク】
・One Dose of HPV Vaccine May Be Enough to Prevent Cervical Cancer

■ 9価HPV接種、癌化9割予防を予測 【米国癌学会】(2014年10月14日 米国学会短信)
◇ 浸潤性子宮頸癌約90%と前癌病変の大部分が予防可能に
 米国癌学会(AACR)は10月1日、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する9価ワクチンにより約9割子宮頸部癌を予防できる可能性を示した研究を紹介した。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌に掲載。
 この研究は、4価HPVワクチンに対する治験3件でプラセボ群に登録された女性1万2514人(15-45歳)のデータを分析したもの。被験者のうち2507人が、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1-3または上皮内腺癌(AIS)と診断された。これらの前癌病変について、米国食品医薬品局が現在審査中の9価HPVワクチンが対象とするHPVサブタイプを有する病変の数を推定した。
 単独病変に存在する複数のHPVサブタイプについて補正すると、9価ワクチンに含まれる高リスクサブタイプのうち7種が認められたのはCIN1の約55%、CIN2の約78%、CIN3の約91%、AISのほぼ100%。前癌病変のある女性のうち、単独HPVに罹患していたのは15-26歳で54%、24-45歳で59%、1種以上のサブタイプに感染していたのは15-26歳で32%、24-45歳で19%だった。
 研究者は「子宮頸部前癌病変の85%以上が、9種のサブタイプ(6、11、16、18、31、33、45、52、58)によって起きる。9価ワクチンを適切に使用すれば、世界中の浸潤性子宮頸癌の約90%と前癌病変の大部分が予防できるだろう」と述べている。

【関連リンク】
・Nine-valent HPV Vaccine May Prevent Nearly 90 Percent of Cervical Cancers
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