徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「スペイン風邪」の記憶〜100年前の読売新聞記事から〜

2018年11月03日 13時11分01秒 | 小児科診療
 ラジオNIKKEI「100年前のスペイン風邪を新聞はどう報じていたか」(読売新聞:森井雄一)を聞いて読んでみたら、興味深い文章に出会いました。

“1920年1月16日には「流行性感冒から起こる精神病」という記事があります。患者の中には、大声でわめき立てる、器物を壊す、家族を殴る、家出をする、刃物で自殺するといった行動を起こす人がいるということが紹介されています。”

 これって、近年問題視されている「異常行動」のことですよね。
 もちろん、1918年にはタミフルはありませんでした。

 先日、タミフルをブログに取りあげました;

2018年冬から、タミフルが10歳代にも使用できるようになりました

 私が医者になった30年前から「インフルエンザは高熱でうなされる病気」と考えられていました。
 2000年頃にタミフルが登場し、「タミフルを服用後に異常行動が起こる」という都市伝説が生まれて広まりました。
 メディアが不安を煽り社会問題化したため、政府はほとぼりが冷めるまで「10歳代のタミフル使用禁止」とせざるを得ませんでした(2007年)。

 そして11年後の今年(2018年)、タミフルの疑惑が晴れて、10歳代へも使えるようになりました。
 メディアはその社会的影響に対する責任を矜持しつつ、報道していただきたいと切に願います。
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