パキロビッド(一般名:ニルマトレルビル/リトナビル )は重症リスク因子のある患者さんの、
重症化予防として使用される薬剤として設定されています。
肝酵素「チトクロームP450 3A(CYP3A)」で代謝されるため、
同じ酵素で代謝されるほかの薬剤と競合し、
作用が変化します。
そのため、併用禁忌薬が39種類ととても多いのが特徴です。
さらに重度の腎機能障害もしくは肝機能障害を有する患者も、
本剤の禁忌とされています。
実際の臨床現場では、
この禁忌の多さがどのように影響しているのでしょうか。
こちらの報告では、
入院患者のうち約15%が使えなかったとしています。
そして死亡例に限定すると、約50%に使用できなかった。
つまり重症であればあるほど禁忌事項に該当するので、
使いたくても使えないというジレンマが発生するのです。
今回緊急承認されたゾコーバも、
パキロビッド同様、使用禁忌薬が36種類と多いのが特徴です。
軽症例向けの薬であるため、
パキロビッドほどジレンマが発生する可能性は低いと思われますが、
実際の処方には医師・患者双方が注意する必要があります。
<参考>
■ COVID-19入院患者におけるパキロビッド禁忌の割合は?