徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「90歳の現役助産師」が語る、生まれるということ

2015年06月28日 06時34分55秒 | 小児科診療
 うんうん頷きながら読んだ記事。やはり女性の先達から言っていただかないと説得力がありませんね。
 印象的なフレーズを抜粋します;

■ 「90歳の現役助産師」が語る、生まれるということ
2015年1月23日:日経ビジネス

 「微弱陣痛」という名前をお医者さんがつけているものがあるでしょう。私はね、あれは無いんやと思うんです。
 赤ちゃんは生まれるときに10センチちょっとの骨盤の隙間を通ろうとするわけですが、微弱陣痛というのは、赤ちゃんがそん時に「ちょっと通らんな」と思って、いったんゆっくり休んで、おでこの泉門をもっと重ねて、それで出ていくという、メッセージなんやと私は感じたんです。
 ですから、私んとこではそうなった時は妊婦さんに「ゆっくりして、あんたもしばらく寝なさい。そしたらそのうちに痛んできます」って言うんです。でもこれが病院やったら、微弱陣痛という名前が付いたらじきに先生方は促進剤をやるでしょう。
 でも私なんかはそうやって手を加えたお産というのは、赤ちゃんにしたら自分の本意ではないんと違うかと思うんです。赤ん坊がちょっとゆっくり休ませてというときに、陣痛が弱まってすぐに促進剤を打つんは、赤ん坊に対する反逆やと思うんです。

 自然出産は苦しい時もありますよ。それを最後までやり通す親が少のうなっている。今の痛みに対して、最後まで頑張れる親が少なくなった。でもそれは逆に、子供が生まれた喜びを減らすことになるんじゃないですか。
 「ああ、かわいい」と、本当に子供を愛おしく感じることが少なくなったんかなと思うんです。その気持ちが義務的になったと言ったらちょっと語弊があるかも分かりませんけど、人工的なものに人間がなじんできた。そんなふうな感じがしますね。

 今の若い人たちはものすごく、医療の目から見た妊娠、出産というのを考えてます。私らの頃に比べればみなさん学歴もあるから「こうすれば問題ないはず」って気持ちがあるんですよね。「病院に行ったら勝手に産ませてくれる。お医者さんが産ましてくれる」っていう気持ちもあるでしょう。すごく、物事が計画通りに進むという意識があるんやと思います。
 だからそこで何か予想外のことが起きたときに、ものすごく大げさに事を言い立てて、すぐに裁判に持っていく。「帝王切開するのが遅かったのと違うか」とかな。そしたら医者の方も、例えば手術してもあかんかも分からんような赤ちゃんも、少しでも心音の残っている間に切って出そうとする。
 お医者さんも2人、3人ぐらい裁判を持ったら、もう仕事をする意欲がなくなるんですって。それでもうお産はやめやと。お医者さんも追い詰められているんですよ。だから、なによりも「無事に産ませる」ことを考えるんです。でもそうすることで、両親も赤ちゃんも、何か大事なものを経験しないままに進んでいってるんと違いますか。

 努力の努は「女のマタの力」と書きますけど、子宮の力は国の礎ですよ。子供が生まれんかったら国は亡びるんですから、いわば最後の砦です。そういう女の股の力がね、全部なくならん間に何とかしてほしいなと思う気持ちがやっぱり私にはあるんです。

 近頃は男女平等、平等って言いますけど、女は昔っから特権階級ですよ。神様が子供を産むということを女の人に与えているわけじゃないですか。日本の昔の女性が賢かったのは、自分が上位であるけどそれを表向きは隠していたことです。旦那を立てる。でも実際は自分が上位。そういう家庭が、多くあったんですよ。
 でもそれがいつの間にか、仕事の面で「女性が抑圧されている」って世の中がなりました。それで安倍首相なんかもいろんな政策をやっとるんでしょうけど「女性が安心して働けるように」っていう感じのものが多い。でもそれは自己中心主義の気持ちを、助長させるような政策に思えるんです。
 男女雇用機会均等法ができて以降、家庭でも会社でも、女性と男性が同じような役割を果たすべきという考えが当たり前になりました。でも私はこれには断固反対です。男性と女性は本来、全く違うんです。同じようにしたら歪みが出てくるんは当たり前です。セックスレスの夫婦は最近ほんとに多くて、深刻な問題やなぁと思うんですが、男と女がおんなじようになってきたら、セックスせん人が増えるんは分かる気もします。

 「子供がいたら子供に邪魔されて、自分の人生が面白くない」という今の考え。これが一番の大きな問題なんですよ。
 最近は離婚も増えているといいますね。私はこれも、自己中心的な考えの結果やと思うんです。人のために我慢することができなくなっている。若い夫婦で親の干渉がないように、関係をほぼ切っているような人も多いですね。こういう人は学はあるのかもしれんけど、それは見せかけの賢さや。子供のために自分はどうしたらいいか、ってことを考えられないんや。
 結婚の適齢期はないけど、子供を産む適齢期は絶対あるんや。国の人口でいうたら、女性が25歳から35歳ぐらいまでに3人か4人産むのが望ましいわけでしょう。この期間に女性が他のことを気にせず、出産や育児に集中できる環境を作らなければいけません。


 米国では「同性婚を認めない州は違憲」という判断がなされました。人間が命を繋いでいく大原則からすると・・・。
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