小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

ブレークスルー感染を経験して

2022年12月14日 08時12分27秒 | 新型コロナ
2022年8月末に、私は新型コロナに感染しました。
流行状況からして「BA.5」株と思われます。

医療従事者と基礎疾患枠で、
2022年6月末に4回目のワクチン接種を済ませていたにもかかわらず。

まあ、毎日新型コロナの小児患者を対面診察しており、
2歳未満の子どもはマスクを装着しないので、
咳き込むとダイレクトに飛沫を浴び、
マイクロ飛沫(エアロゾル)が飛び散り、
しばらく周囲に浮遊していますから、
換気+サージカルマスク+フェイスシールドでも防げなかった、
というのが現実です。

では「4回接種」の意義は何?
と素朴な疑問が発生します。

それに答えてくれる論文が目に留まりました。
接種後30日の時点では、感染リスクは
3回接種(20%)と比較して4回接種は1/3に減る(7%)という結果です。
まあ、ゼロにはなりませんね。

紹介記事を紹介します;

医療者のブレークスルー感染率、3回vs.4回接種
ケアネット:2022/08/12)より抜粋;
 オミクロン株流行下において、感染予防の観点から医療従事者に対する4回目接種を行うメリットは実際あったのか? 
 イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に、3回目接種済と4回目接種済の医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。
・・・
 本研究は、イスラエルにおけるオミクロン株感染者が急増し、医療従事者に対する4回目接種が開始された2022年1月に実施された。対象はイスラエルの11病院で働く医療従事者のうち、2021年9月30日までにファイザー社ワクチン3回目を接種し、2022年1月2日時点で新型コロナウイルス感染歴のない者。4回目接種後7日以上が経過した者(4回目接種群)と、4回目未接種者(3回目接種群)を比較し、新型コロナウイルス感染症の感染予防効果を分析した。感染の有無はPCR検査結果で判定され、検査は発症者または曝露者に対して実施された。
・・・
・計2万9,611例のイスラエル人医療従事者(女性:65%、平均[SD]年齢:44[12]歳)が2021年9月30日までに3回目接種を受けていた。
・このうち2022年1月に4回目接種を受け、接種後1週間までに感染のなかった5,331例(18%)が4回目接種群、それ以外の2万4,280例が3回目接種群とされた(4回目接種後1週間以内に感染した188例も3回目接種群に組み入れられた)。
・接種後30日間における全体のブレークスルー感染率は、4回目接種群では7%(368例)、3回目接種群では20%(4,802例)だった(粗リスク比:0.35、95%信頼区間[CI]:0.32~0.39)。
・3回目のワクチン接種日によるマッチング解析の結果(リスク比:0.61、95%CI:0.54~0.71)および時間依存のCox比例ハザード回帰モデルの結果(調整ハザード比:0.56、95%CI:0.50~0.63)において、4回目接種群で同様の減少がみられた。
・両群とも、重篤な疾患や死亡は発生していない。

 著者らは、4回目のワクチン接種は医療従事者のブレークスルー感染予防に有効であり、パンデミック時の医療システムの機能維持に貢献したことが示唆されたとまとめている。

<原著論文>


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ワクチン接種後アナフィラキシーに対して、医師がアドレナリン筋注を躊躇する理由

2022年11月22日 07時23分20秒 | 新型コロナ
新型コロナワクチンの副反応として注目されている「アナフィラキシー」。
今回、アナフィラキシーによる不幸な事例が発生しました。

「命が救えなかったのか?」
という視点からの検証で、
「アドレナリンが投与されていなかった」
ことが問題視されています。

なぜ、投与されなかったのか・・・
ここには、
「アナフィラキシーでは皮膚症状があるはずだ」
という医師の脳に刷り込まれている知識が、
邪魔をしている可能性がありそうです。

例えば、救急外来に意識不明の患者さんが搬送された際、
バイタルサイン(呼吸、脈拍、血圧)が測定され、
その原因を推定することになりますが、
皮膚症状(赤い斑点やじんましん)があると重度のアレルギー、
つまりアナフィラキシーを疑う強い根拠となります。

私も研修医時代に、
「意識がない」
「ぐったりしている」
と運ばれてきた赤ちゃんを診察して、
皮膚のあちこちに赤い斑点があるのを見つけ、
「これはアナフィラキシーではないか」
と考えて家族に食事内容を確認したところ、
「卵を食べて30分後に具合が悪くなった」
ことを聞き出し、診断・治療した経験があります。

しかし、
アナフィラキシーには皮膚症状を伴わない事例があることも昔から知られていて、
ガイドラインにもしっかり記載されています。

最近改定された「アナフィラキシーガイドライン2022」には、
アナフィラキシーを疑うパターンを2つ挙げています。
(以前は3つで覚えにくいのが難点でした)

1.皮膚、粘膜、またはその両方の症状(※1)が急速に発症した場合。
さらに、A~Cのうち少なくとも1つを伴う。
  A. 気道/呼吸:呼吸不全(※3)
  B. 循環器:血圧低下または臓器不全に伴う症状(※4)
  C. その他:重度の消化器症状(※5)

※1)全身性の蕁麻疹、掻痒または紅潮、口唇・下・口蓋垂の腫脹など。
※2)数分~数時間で。
※3)呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、PEF低下、低酸素血症など。
※4)筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など。
※5)重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後]。

2.典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下または気管支攣縮または喉頭症状が急速に(数分~数時間で)発症した場合。
 
まあ、これでもわかりにくいですよね。

1は救急外来で原因不明意識障害患者が搬送されてきた場合がイメージされます。
呼吸困難、血圧低下、激しい嘔吐のどれかがあり、かつ皮膚症状を認めればアナフィラキシーを強く疑う。
やはり皮膚症状が重要です。

2はどうでしょうか。
ここでは「アレルゲンに暴露」されていることが条件で、
その場合は皮膚症状がなくても呼吸困難・血圧低下があればアナフィラキシーを強く疑う、という内容です。

さて、今回のワクチン接種後のアナフィラキシー事例を考えてみましょう。
ワクチン接種はアレルゲン暴露に相当します。
そして皮膚症状がなくても血圧低下・呼吸困難があれば、
アナフィラキシーを疑いアドレナリン筋肉注射が必要となります。

今回の愛知県の事例の記者会見の記事から、愛西市と医師会の見解を抜粋します;

・11月5日、集団接種会場でBA.5に対応したファイザー社製のワクチンを接種し、5分後に容体が急変。息苦しさを訴え、医師は酸素マスクを装着した。
・しかし、90%を切ると呼吸不全と定義される血中酸素飽和度は54%に低下。
・その後、治療薬は投与されないまま、飯岡さんは2度にわたって血の泡を吹くと心肺停止に。
・病院に運ばれたが、約1時間半後に死亡した。死因は急性心不全だった。
・愛西市健康推進課長(11月11日): その場においては、医師はベストを尽くしていただいたと認識しております。 「肺における何かが起きたんじゃないか」と(医師が)お考えになられたと伺っております。アドレナリンの注射を指示し、看護師が血管確保を試みたんですけども、血管を探すことができなかったということで、静脈注射はできなかった。
・愛知県医師会は医療安全対策委員会で、当時対応にあたった医師から話を聞くなどして検証。 愛知県医師会の渡辺嘉郎理事: 今回の事案において、死亡に至った病態は必ずしも明らかにはされませんでした。ただワクチン接種後であったことから、アナフィラキシーの存在は強く疑われました。
・飯岡さんの症状からアナフィラキシーショックだった場合には「最重症型」とみられ、医師が診た時点でアドレナリンを打ったとしても救命できなかった可能性が高いとした。 
・愛知県医師会の渡辺嘉郎理事: 今回の事例では、看護師が女性の体調変化に気づいた時点で、救護室に運ばずその場でアドレナリンの筋肉注射をできなかった体制に問題がありました。

 会見から見えてくる当時の状況は・・・
・呼吸不全は認められ、血の泡を吹いたが、皮膚症状はなかった。
・看護師はアドレナリン静脈注射を行おうとした。
の2点がポイントだと思われます。

「血の泡を吹いた」という呼吸器症状はアナフィラキシーガイドラインにも記載はなく、現場はこのインパクトに「肺の病気ではないか」と振り回された可能性があります。
冷静に考えれば呼吸不全・血圧低下はあったわけですが・・・。

2点目に関しては、アドレナリンは基本的に“筋肉注射”であり、静脈注射にこだわるのは医療者として不思議な印象。ただし、これは正確に情報が伝わっていない可能性があります。

シンプルに、
ワクチン接種後に呼吸困難・血圧低下を認めたら、
 皮膚症状がなくてもアドレナリン筋注
を徹底すべきでしょう。

<参考>
▢ アナフィラキシーによる悲劇をなくそう―アナフィラキシーガイドライン改訂
▢ 医師会が見解…接種後の40代女性死亡は「アドレナリン注射すべきで体制に問題」【愛知発】




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敵を知る〜新型コロナウイルスを見つめ直す〜

2022年03月19日 08時05分23秒 | 新型コロナ
新型コロナウイルスが登場して2年が経ちました。
その間、この新しいウイルスに世界中が翻弄され続けています。

今までにわかった特徴として、

・感染力が強い
・変異を続ける
・症状に特徴がある(嗅覚・味覚障害、ブレインフォグ等)
・高齢者が重症化しやすい

などが判明しています。

私は、人類の発達、文明社会構築の源泉となった、
“コミュニケーションを介しての感染”
が排除できないでいる最大の理由だと感じています。

「コミュニケーションをやめろ」
と指示することは、
「人間活動をやめろ」
と同じことですから、なかなか守れませんよね。

最近は、医療逼迫や毎日の陽性者数、ワクチン接種率などの
“数字”で判断する傾向がありますが、

これまでに解明されたこと、今も専門家を悩ませる謎

という記事を参考に、ここで今一度、
ウイルスそのものを見つめてみたいと思います。

■ 新型コロナウイルスは人畜共通感染症である。
・・・野生動物がすむ範囲にまで人間が活動範囲を広げれば、新たな病原体が動物から人間に飛び移り、致命的な人獣共通感染症が発生する可能性が高くなる。・・・野生動物に由来する新規感染症は、1940年から2004年の間に著しく増加してきたという。

■ コロナウイルスによるパンデミックは3回目
・・・専門家の多くがずっと懸念してきた対象はインフルエンザウイルスであり、コロナウイルスがこれほどの惨事を引き起こすとは、必ずしも予想していなかった。
 潮目が変わったのが、2002年から2004年にかけて発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイク(集団感染)だった。これにより29カ国で8000人以上が感染し、774人が死亡した。その後、2012年に発生した中東呼吸器症候群(MERS)のアウトブレイクでは、37カ国で2000人以上が感染した。このウイルスによる死者は、これまでに900人近くに達している。

■ 新型コロナウイルスの特徴〜変異(成長?)し続けるウイルス〜
・・・新型コロナウイルスはそれまでのコロナウイルスよりも感染スピードが速い。・・・新型コロナウイルスは封じ込めるのが難しい。無症状患者が多いため、人は自分でもそうと知らないうちにウイルスを広めてしまうからだ。
 そのうえ、新型コロナウイルスは予想以上にすばやく遺伝子の変異を獲得し、進化を遂げた。・・・アルファ株(2020年9月に英国で検出された最初の「懸念される変異株(VOC)」)の出現だ。アルファ株では、従来の新型コロナウイルス株からの遺伝子変異が少なくとも23カ所あり、人間の細胞と結合するスパイクタンパク質のアミノ酸が8カ所も置き換わっており、科学者たちをひどく驚かせた。・・・これだけの変異を備えたアルファ株は、従来株よりも50%感染を広げやすくなった。
 次の変異株であるベータは、そのおよそ1カ月後に南アフリカで最初に確認され、同じくVOCとされた。この株のスパイクタンパク質には8カ所の変異があり、そのうちのいくつかは、ウイルスが体の免疫防御を逃れるのに役立つものだった。
 2021年1月に現れたガンマ株では、特徴となった21カ所の変異のうち、10カ所がスパイクタンパク質で起きていた。その一部は、ガンマ株の感染を広げやすくし、すでに新型コロナウイルス感染症にかかった人に再び感染することができた。
・・・
 次にやってきたのが、特に危険で感染力の高いデルタ株だ。これはまずインドで確認された後、2021年5月にVOCに指定された。2021年末には、ほぼすべての国でデルタ株が支配的となった。その独特の変異の組み合わせ(計13カ所、うちスパイクに7カ所)のおかげで、デルタ株はオリジナルの株に比べて感染力が2倍で、感染期間は長くなり、感染者の体内で1000倍もの量のウイルスを産生するようになった。
・・・
 ところがその後、デルタ株の2倍から4倍の感染力を持つオミクロン株が、世界の多くの地域でまたたく間に取って代わった。2021年11月に初めて確認されたオミクロンは、異常なほど多くの変異を持ち(計50カ所、うち少なくとも30カ所がスパイクタンパク質)、その一部のおかげで、これまでに登場したどの変異株よりもすぐれた抗体回避能力を備えている。

■ 免疫不全者の体内で生き続けて変異する新型コロナウイルス
・・・突然変異の数が飛躍的に増えた理由としてとくに有力なものに、新型コロナウイルスは、免疫系がそこなわれた人々の体内で長期間進化できたという説がある。
 過去1年の間に、科学者たちは、新型コロナウイルスへの感染が数カ月から1年近くにわたって続いた、がん患者およびHIVの患者を確認している。こうした患者は免疫系が抑制されているため、ウイルスは長期間そこにとどまり、複製と変異を繰り返せた。
 グプタ氏は、101日間感染が続いたがん患者のサンプルから、そうした変異のひとつ(アルファ株にも見られるもの)を同定し、2021年2月に学術誌「ネイチャー」に発表した。6カ月間感染していた、南アフリカのHIV進行期の患者からは、ウイルスが体の免疫防御を逃れるのを助ける多数の変異が見つかり、2022年になって「Cell Host & Microbe」に報告された。

■ “呼吸器感染症”でくくれない新型コロナウイルスの多彩な症状
・・・新型コロナウイルスは体のさまざまな部分に感染できることが証明されており、科学者たちがさらに頭をひねる不可解な謎を生み出している。
 パンデミックの初期、医療関係者たちが気づいたのは、このウイルスが単に肺炎のような症状を引き起こすだけではないということだった。一部の入院患者には、心臓障害、血栓、神経学的合併症、腎臓や肝臓の障害などが見られた。最初の数カ月間で蓄積された研究は、ひとつの理由を示唆していた。
 新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する部位のACE2受容体と呼ばれるタンパク質が、いくつもの臓器や組織に存在するため、呼吸器以外にも感染していたのだ。また、血管の細胞や腎臓の細胞にもウイルスやその一部が、さらには脳の細胞にも少量のウイルスが見られたとの報告もあった。
・・・おそらくはウイルスが引き金となって、体の免疫系がサイトカインストームと呼ばれる過度に活発な状態となり、それがさまざまな臓器や組織に炎症と損傷を引き起こすものと思われる。異常な免疫反応が感染後も収まらずに、慢性疲労、動悸、霧がかかったように頭がぼんやりとする「ブレインフォグ」などの症状が長く続く場合もある。
・・・スーザン・レバイン氏はニューヨークの感染症専門医で、コロナ後遺症と重なるところもある慢性疲労症候群の治療と診断を専門としていた。レバイン氏は現在、毎週200人を診察しているが、その数はパンデミック前には60人だった。それまでの慢性疲労症候群とは異なり、コロナ後遺症は「猛烈な勢いで襲いかかる」と氏は述べている。「まるで体の中で竜巻が起きているようなものです。週に60時間働いていた人が、感染から1週間で1日中ベッドにいるようになるのですから」。

■ 人畜共通感染症は“終わらない”
・・・科学者たちは今、新型コロナウイルスが人間以外の動物に広がった後、再び人に移ってパンデミックを拡大させる可能性を懸念している。
・・・2020年8月に学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された研究により、一部の霊長類、シカ、クジラ、イルカを含む哺乳類が、新型コロナウイルス感染症に対して特に弱いことがわかった。ヒトと似たACE2受容体をもつ動物たちだった。
・・・新型コロナウイルスを拡散するリスクが最も高い動物は、家畜やペットなど、人と一緒に生活する動物であることが明らかになった。
 これまでのところ、新型コロナウイルスはペットのネコ、イヌ、フェレットに感染し、ミンクの農場を荒らし、動物園のトラ、ハイエナなどの動物にも広がっている。そのうえ新型コロナウイルスは、人間から飼育下にあるミンクに感染し、その後再びミンクから人間に感染することに成功している。
 またカナダでは、おそらくはオジロジカから人間に新型コロナウイルスが感染した可能性がある。

私がこの記事を読んで初めて知ったことは、
「ヒトから動物に感染して変異を経た後にまたヒトに戻ってくる可能性」
です。
ウイルス変異とワクチン開発競争は永遠に続きそうで、
めまいを覚えました。

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アメリカでの新型コロナ軽症患者に対する外来治療(2022年2月)

2022年02月26日 07時35分16秒 | 新型コロナ
新型コロナワクチン接種が進む中、
ようやく軽症者を外来治療可能な新薬が登場してきました。

しかし現時点では日本ではまだ自由に処方できず、
インフルエンザに対するタミフルのように使うことはできません。

アメリカではどうなのでしょう。
事情を知るアメリカ在住の薬剤師さんの書いた記事が目にとまりました。

新型コロナへの治療薬が続々登場!ただし…
緒方さやか(2022/02/16:日経メディカルより抜粋;

アメリカのニューヨーク州では2/10から屋内のマスク着用義務が撤廃されたそうです(ただし、学校内、医療機関、公共交通機関ではマスク着用義務あり)。カリフォルニア州でも2月15日には同様に規制が緩和。

市民もマスクなしで散歩・会食し、ハグも可能・・・日本では考えられないことですね。

ただ、前提として日本と大きな違いがあります。
それは「大半の市民が新型コロナに感染済み」という事実。
たくさんの人が亡くなりましたから、
日本では許容できない犠牲の上に成り立つ“制限解除”です。

第6波中とはいうものの、まだ日本人はその1割も罹っていませんので、
アメリカと同じ制限解除は自殺行為になることは目に見えています。

アメリカ市民の感覚は、
「これで終わりとは思っていない」
「次の流行まで、つかの間の自由を満喫したい」
というものらしいです。

さて本題です。

入院していない(外来)COVID-19患者に対しては、主に電話診察でのフォローアップがなされているが、息切れなどの症状がひどい場合には、対面診療に切り替えられいるフロー。これらの外来患者の中で、

(1)症状があり、
(2)重症化するリスクが高く、
(3)現在は軽症~中等症(SpO2が94%以上)

──である患者には、2月9日時点で、以下に示す4つの薬剤が米国で使用可能となっている(無症状の患者は除外される)。
薬の効果とスタッフへの負担を鑑みて、日本でも承認されたばかりの経口薬パキロビッド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル)か、モノクローナル抗体医薬のゼビュディ(ソトロビマブ)が処方されることが多い。

やはりパキロビッドが期待の新薬として主役になってきていることがわかります。
ただ、効果増強目的で含まれているリトナビルが注意すべき併用薬の数を膨大にしているという難点があります。

また、アメリカでは風邪を引くとまず市販薬を使い、治りが悪いとその時点で初めて医療機関を受診する習慣であり、日本のような“早期投与”が難しい文化があります。
これは、インフルエンザの際のタミフルでも指摘され、アメリカで重傷者が多かったのはタミフルを早期に使用できなかったためという意見がありました。

<米国で使用されているCOVID-19治療薬>

◆ パキロビッド®(ニルマトレルビル・リトナビル)
・剤形:経口薬
・投与回数・期間:1日2回・5日間
・用量:ニルマトレルビル300mg(150mg錠2個)+リトナビル100mg(100mg錠1個)

 発症から5日以内に投与開始する必要があり、早ければ早いほどいい(ただ、この期間限定が結構キツい)。臨床試験ではプラセボ群と比較して、COVID-19による28日以内の死亡または入院のリスクを88%低下させた。
 薬物代謝酵素CYP3Aを阻害する「魔の薬物相互作用」の薬であり、スタチン、アムロジピンなど頻繁に処方される薬とも相互作用があることに注意を要する。上にリンクを挙げたパキロビッドのファクトシートでも、薬物相互作用に関する記述が7ページにも上る。
 処方時には、感染していない家族や友人が指定薬局まで取りに行く必要がある。eGFR(推算糸球体濾過量)が30~60/mL/分/1.73m3の患者さんには、ニルマトレルビル150mg+リトナビル100mgに減量して処方する。eGFRが30/mL/分/1.73m3未満の場合は使用できない。入院患者への使用は認可されていない。データはないものの、妊婦にも使用できる。

◆ 
ゼビュディ®(ソトロビマブ)
・剤形:静注薬
・投与回数・期間:1回(30分)
・用量:500mg

 静脈注射を行うためのスタッフ(看護師)が必要。発症から10日間以内に投与開始。早ければ早いほどいい。入院患者への使用は認可されていない。
 臨床試験ではプラセボと比較して、全ての原因による死亡または入院のリスクを79%低下させた(外部リンク:FACT SHEET FOR HEALTHCARE PROVIDERS EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF SOTROVIMAB)。アレルギー反応が出る場合があるため、注射後1時間は看護師が経過観察する必要がある。妊婦にも使用できる。

◆ 
ベクルリー®(レムデシビル)
・剤形:静注薬
・投与回数・期間:1日1回・3日間、5日間、10日間のいずれか
・用量:100mg

 連続して静脈注射を行うためのスタッフ(看護師)の負担が大きいため、外来での使用は難しい。

◆ 
ラゲブリオ®(モルヌピラビル)
・剤形:経口薬
・投与回数・期間:1日2回・5日間
・用量:200mg

 オミクロン株への効果は低いとされている。また、妊婦や18歳未満の患者には使用できないといった点から、上記3剤を使用できない場合のみ処方を考慮する。また、ウイルスの遺伝子変異を促して破壊させるという機序のため、新型コロナウイルスの新たな変異を助長してしまうのではないかという仮説もあるようだ。
 ちなみに、昨年12月後半までは頼みの綱だった抗体カクテル療法薬のREGEN-COV(日本での商品名ロナプリーブ[カシリビマブ・イムデビマブ]、静注もしくは皮下注)は、非常に残念なことにオミクロン株への効果が限定的とされ、既にもう使用されていない。
 そこで、モノクローナル抗体医薬の中で唯一、オミクロン株への効果が期待されているゼビュディへの注目が集まっているが、数週間前には全国的に供給量が不足していた。例えば、私が勤める医療機関に配布されたのは、週に数人分ほどだった。その上、静注での投与のため看護師の人員が必要になる。そんな看護スタッフも、欠員が出たERや病棟へのヘルプで忙しい。今は薬の供給も増えつつあるし、パキロビッドという経口薬のオプションもできた(そちらも数は絶対的に不足しているものの、今は増えつつある)。


・・・ラゲブリオ®は思ったほど重宝されていない様子。
第1選択薬に躍り出たパロキシバット®もその流通とか適応患者の選択とかで作業が多くて現場は大変なようです。

日本でパロキシバット®を有効活用するためには、
現在の“検査キット不足”を解消する必要があります。

当院ではPCRの器械はあるものの試薬が手に入らず、
宝の持ち腐れ状態が続いています。

外注、あるいは市が設置したPCRセンターでの検査では、
結果が出るまで数日かかってしまいます。

今後、国産の新薬(シオノギ製薬が申請中)の登場が待たれるところです。

■ 塩野義製薬、コロナ飲み薬で承認申請…100万人分の提供体制目指す
 塩野義製薬は25日、新型コロナウイルス感染症の経口治療薬(飲み薬)について、厚生労働省に対し、製造販売の承認を申請した。承認されれば、飲み薬としては米メルク、米ファイザーに続き3種類目、国内の製薬会社では初めてになる。最終段階の臨床試験(治験)終了前に、薬の使用を認める「条件付き早期承認制度」の適用を求めている。
 既に製造を始めており、3月末までに100万人分を提供できる体制の構築を目指している。
 この薬は、細胞内に入ったウイルスが増殖するのに必要な酵素の働きを妨げ、重症化を防ぐ仕組みだ。発症早期に使用する必要があり、軽症者が1日1回、5日間服用することを想定している。
 塩野義は、変異株「オミクロン株」に対しても有効性が期待できるとしている。

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COVID-19における、医師の「軽症」と患者から見た「軽症」のイメージのギャップについて

2022年01月23日 08時19分36秒 | 新型コロナ
当院でも新型コロナウイルスのPCR検査に対応しています。
基本的に保健所から指定された“濃厚接触者”に対して検査を行っています。
感染対策として、一般診療と別の時間に、時間・空間隔離状態で行っています。

そこで“陽性”との結果が出ると、オンライン報告することになります。
HER-SYSというシステムで、入力項目が詳細で多く、一手間かかります。

そこで使用される単語の定義を確認しておきます。
まあ、自分へのメモですので、興味のない方はスルーしてください。

<参考>

症例定義

これは、陽性の場合に報告するので「患者(確定例)」ですね。

濃厚接触者の定義

これは繰り返し出てくるものなので、頭に刻み込まれていますね。
ただ、4番目の「15分以上の接触」はオミクロン株に対しては甘すぎるかもしれません。

検査方法の定義

当院では「ID NIOW」という検査機器を導入しています。これは「等温核酸増幅法」に分類される「拡散検出検査」に入ります。
また、「ID NOW」の検査方法は「鼻咽腔ぬぐい液」「鼻腔ぬぐい液」のみで、「唾液」は適応外です。小学生以上では「鼻腔ぬぐい液」法で行っています。ただ、「鼻腔ぬぐい液」法はどの検査方法でも無症状者には許可されていません。

入院対象

②の「呼吸器疾患」には喘息児も含まれるのか?疑問です。
⑥の「当該症状が重度または中等度であるもの」は次項で。

 HER-SYSについて
手書きで報告書を保健所にFAXする方法も残されていますが、
私は「保健所の負担軽減」目的でオンライン報告しています。


患者さんが日々の健康状態を報告する「My HER-SYS」というソフト・システムもありますが、
担当保険福祉事務所は使用していません。

重症度分類

重症度は酸素飽和度(SpO2)の数値により分類され、HER-SYSにも酸素飽和度の記入欄があります。
今のところ、酸素飽和度<96%の患者さんはいません。

テレビでよく「医師の考える“軽症”と、患者が考える“軽症”にはギャップがある」と報道されています。
実はその通りで、
「咳がつらくて夜眠れない状態」
なら一般の人は“中等症”と感じると思われますが、
つらさにかかわらず酸素飽和度が96%以上なら、
上記分類に従い医師は“軽症”と判断します。

こちら(アメリカの内科医、安川康介Dr.のツイッターより)に分かり易いラストがありましたので引用されていただきます;
なので、「患者の気持ちがわからないヤブ医者」と言わないでください。

軽症患者のマネジメント

当院は開業医院ですので「軽症」しか担当しません。
前項の「中等症」以上は入院が必要になるため病院へ紹介します。
ただ、診断後の軽症患者のフォローの方法が現時点ではあやふやです。
基本的に、保険福祉事務所が対応することになっており、
我々開業医が介入することはありません。

しかし今後、患者数が増えてくると対応を要請される可能性が大です。
その際、当院では電話診療を予定していますが、
直接患者さんに対面しないため、酸素飽和度が測定できません。
酸素飽和度計をすべての患者さんに配布するほど数を用意できるのか疑問ですし、
乳幼児はじっとしていないのでふつうの酸素飽和度計では測定できず、
乳幼児専用のプローブが必要になります。

今後の動きを注視していきたいと思います。

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“軽症新型コロナ患者”の治療薬、開発の現状(2021年12月)

2022年01月23日 07時52分18秒 | 新型コロナ
新型コロナウイルスに対する薬の開発が進み、
次々に新しい薬剤が登場してきました。

しかし今までは、点滴が必要な薬がメイン、
2021年末になり、ようやく内服薬・経口薬が使えるようになりました。

一方で、過去に開発された薬の中には、
変異株に対応できず消えている薬も存在します。

ですから、治療薬に関しては、常に情報をアップデートする姿勢が必要です。
これはワクチンについても同様ですね。

このブログでも、経口抗ウイルス薬である「モルヌピラビル(ラゲブリオ®)」「パクスロビド」を紹介してきました。
2021年末に倉原優Dr.が抗新型コロナ薬全般を分かり易く説明している記事を紹介します。

オミクロン株によって新型コロナ軽症者の治療はどう変わった? 新型コロナ治療薬まとめ
倉原優:呼吸器内科医(2021/12/26)より一部抜粋;

◇ オミクロン株と新型コロナ治療薬

・・・現在の新型コロナ治療薬は図1のようになります。数が多くなってきたため、詳しい使い分けなどは割愛しますが、大事なのは「いろいろな治療薬がある」ということです。


 表1. 新型コロナ治療薬のメカニズム


 図1. 2021年12月26日時点の新型コロナ治療薬まとめ

 それぞれ作用メカニズムや役割が異なることから、患者さんの病態に応じて使い分けています(表1)。
 有効性が確認された治療・確認されなかった治療が吟味・淘汰され、国内外のガイドラインが改訂されています(3-5)。その中でも、エビデンスが日々動いている、軽症例に対する治療薬をみてみましょう。 

◇ オミクロン株に抗体カクテル療法の使用は推奨されない

 抗体療法は、外来や入院軽症例で用いる注射剤です。
 図1および図2にあるように、オミクロン株の治療で重要なポイントは、抗体カクテル療法カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ®)の効果が激減するということです。厚労省の通達においても「患者の感染しているウイルス株がオミクロン株であることが明らかである場合、ロナプリーブを投与することは推奨されない」と記載されています(6)。
 反面、もう1つの抗体療法であるソトロビマブ(ゼビュディ®)は有効と考えられます。これはスパイクタンパクの基礎的な部分に作用し、効果の減弱が起こりにくいためです。アメリカ国立衛生研究所(NIH)のガイドラインにおいても、オミクロン株に対するソトロビマブが積極的に推奨されています(4)。
 さて、抗体カクテル療法カシリビマブ/イムデビマブは、往診だけでなく濃厚接触者や無症状感染者に対しての予防投与も可能となっていました。しかし、今後オミクロン株が優勢株となった場合、抗体カクテル療法を使う頻度が激減します。ソトロビマブは予防投与が認められていないため、濃厚接触者や無症状感染者に対して予防投与を行う戦略自体は一旦白紙になるかもしれません(※)。

※アストラゼネカ社のチキサゲビマブ/シルガビマブ(エブシェルド®、日本未承認)の予防投与はオミクロン株に対しても有効とされています(7)。

◇ オミクロン株に軽症者向け経口抗ウイルス薬は有効

 2021年12月24日、経口抗ウイルス薬であるモルヌピラビル(ラゲブリオ®)が特例承認されました。また、ファイザー社のニルマトレルビル/リトナビル(パクスロビド®)の効果も期待されており、国内でもいずれ承認申請される見込みです。
 新型コロナウイルスのスパイクタンパクの変異とは関係のない作用機序であり、いずれの薬剤もオミクロン株に有効と考えられます(表2)。


 表2. 新型コロナ軽症者向けの経口抗ウイルス薬(筆者作成)

 アメリカ感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、オミクロン株の軽症者に対してニルマトレルビル/リトナビルの使用が推奨されています(4)。
 いずれの経口抗ウイルス薬も、高齢、肥満、基礎疾患があるといった重症化リスクのある人が対象となっています。発症から5日以内に内服する必要があります。自宅療養者では、診断した医療機関が特定の薬局へ処方箋を送付し、薬局から患者さんの自宅などへ配送する計画になっています。

◇ 使い慣れた点滴抗ウイルス薬が軽症例に有効

 レムデシビル(ベクルリー®)は、中等症以上の患者さんに点滴で用います。コロナ病棟ではかれこれ1年以上活躍している、馴染みの抗ウイルス薬です。もともと海外で作られたもので、発売当初オシャンティーな英語のパッケージで病棟にやってきました。
 最近、重症化リスクがある外来患者さんに、発症7日以内にレムデシビルを3日間点滴すると、入院あるいは死亡のリスクがプラセボより87%減少したという研究結果が報告されました(8)。
 上述の経口抗ウイルス薬が潤沢ならば敢えてレムデシビルを外来や軽症例で用いる必要はないかもしれませんが、使い慣れた薬剤であることはメリットと言えます。いずれ、軽症例に対するレムデシビルも適応になるかもしれません。

<参考>
(1) Sheikh A, et al. (査読前論文) 
(2) Wolter N, et al. medRxiv preprint doi: 10.1101/2021.12.21.21268116(査読前論文)
(8) Gottlieb RL, et al. N Engl J Med. 2021 Dec 22. doi: 10.1056/NEJMoa2116846

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新型コロナの重症化を89%防ぐ内服薬、「パクスロビド」登場。

2022年01月23日 07時25分21秒 | 新型コロナ
新型コロナ対策として、
「予防と治療が確立すれば人類の勝利」
と言えます。

ワクチンは「mRNAワクチン」という、想定外に有効性の高いものが登場し、
世界中の人々が恩恵を受けていますが、その限界も見えてきました。

一方の治療薬の開発は遅れ、
当初は既存の薬を代用して有効性が検討されましたが効果は今ひとつ、
続いて抗体薬が作られ効果も認められましたが、変異株に対応しきれずトーンダウン、
そして現在、経口抗ウイルス薬の開発が進み、次々と登場しつつある段階です。

先日、2021年12月に日本で認可された新型コロナウイルスに対する経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル(ラゲブリオ®)」を紹介しました。このような経口薬が増えて患者さんへの投与が簡便になると、季節性インフルエンザと同じレベルの感染症に近づけます。

今回は、日本で次に認可されるであろう「パクスロビド」の記事を紹介します。
はじめにポイントを押さえておきます;

・パクスロビドはPF-073213323CLプロテアーゼ活性阻害薬)とリトナビル(抗HIV薬)の合剤である。リトナビルはPF-07321332の血中濃度を高値に維持する目的で併用される。

・パクスロビドは武漢株以外の変異株にも有効。

・投与対象が重症化リスクのある患者のみか、すべての新型コロナ患者になるかは不明。

執筆者はTVでおなじみの忽那Dr.です。


新型コロナの重症化を89%防いだ ファイザーの新型コロナ飲み薬 パクスロビドはどんな薬?
忽那賢志:感染症専門医(2021/11/6)より一部抜粋;
 11月5日、ファイザーより新型コロナに対する飲み薬の抗ウイルス薬であるパクスロビドが重症化を89%防いだ、と発表しました。このパクスロビドとはどういった薬なのでしょうか。

新規抗ウイルス薬と既存の抗HIV薬を組み合わせた薬剤

 このパクスロビドは新しい抗ウイルス薬(PF-07321332)と、既存の抗HIV薬であるリトナビルとを組み合わせた合剤です。
 このリトナビルは、プロテアーゼ阻害薬という種類の抗ウイルス薬と併用することで、プロテアーゼ阻害薬の血中濃度を高く維持する効果があり、やや厨二心をくすぐる「リトナビルブースト」という名称がついています。感染症医にとっての「リトナビルブースト」は、世間一般の「界王拳10倍」に相当するとお考えいただいて問題ありません。
 抗HIV効果そのものよりも、このブースト効果を期待して使用されることが多く、このリトナビルとロピナビルという抗HIV薬との合剤である「カレトラ」は一時期HIVの治療の中心を担っていました。そして、カレトラは新型コロナにも有効性があるのではないかと一時期新型コロナにも使用されていたことがあります(現在は有効性は否定されています)。
 このパクスロビドでも、リトナビルはPF-07321332の血中濃度を高く維持するために用いられています。


新型コロナウイルスの細胞への侵入と複製(国立研究開発法人理化学研究所「SPring-8で新型コロナウイルスと闘う」より)

 一方、PF-07321332という抗ウイルス薬は、コロナウイルスの複製に必要な酵素である3CLプロテアーゼの活性を阻害することでウイルスの増殖を抑えます。
 新型コロナウイルスは、ヒトの細胞の中に侵入して自分を複製します。この過程で、複数のタンパク質が一度に繋がって作られますが、これを切り分けて別々のタンパク質にしているのが3CLプロテアーゼです。3CLプロテアーゼを阻害することで、繋がっているタンパク質が切り分けられず、ウイルスの複製がストップします。
 中国の武漢市から広がったオリジナルの新型コロナウイルスだけでなく、様々な変異株にも抗ウイルス効果を有するとのことです。

発症3日以内に内服し重症化を89%防いだ

 今回発表された第2/3相試験およびその中間解析結果の概要は以下の通りです。
・2021年9月29日までに1219名の成人の新型コロナ患者が登録
・少なくとも1つ以上の重症化リスクを持つ、発症から5日以内の軽症から中等症の患者が対象
・発症3日以内にパクスロビドを投与された患者のうち登録後28日目までに入院した患者は0.8%(3/389人が入院し、死亡はなし)であったのに対し、プラセボ(偽薬)を投与された患者のうち、入院または死亡した患者は7.0%(27/385人が入院し、7人がその後死亡)であり、パクスロビドは入院または死亡のリスクを89%減少させた。
・発症5日以内に治療を開始された患者でも同様の傾向がみられた。
・有害事象は、パクスロビド(19%)とプラセボ(21%)で同等であり、そのほとんどが軽度のものであった。重篤な有害事象や有害事象による試験薬の中止もプラセボの方が多かった。
 まだ詳細なデータは発表されていませんが、この結果からはパクスロビドは非常に効果の高い経口抗ウイルス薬であると考えられます。また副作用についても大きな問題はなさそうであることも安心材料です。
 この中間解析の結果を受けて、この研究は追加の登録が中止となり、今後アメリカなどで緊急承認申請が行われることになります。
・・・
 飲み薬での新型コロナ治療薬の意義は非常に大きいと言えます。
 現在は重症化リスクのある酸素投与を必要としない軽症・中等症患者には抗体カクテル療法(カシリビマブ/イムデミマブ)と、ソトロビマブのモノクローナル抗体が使用できるようになりましたが、どちらも点滴での投与となっています。第5波では入院患者だけでなく外来患者にも、ホテル療養者や自宅療養者にもこのモノクローナル抗体の治療が行えるようになり、重症化を防ぐことができた事例が増えたことは間違いありませんが、点滴での治療は医療へのアクセスの点ではややハードルがあることは否めません。
 飲み薬であれば、医療者にとっても点滴準備などが不要となり、診断時に速やかに処方することができるようになります。
 Merck社のモルヌピラビルと同様、今回のパクスロビドの第2/3相試験も重症化リスクの高い人が対象であることから、緊急承認される場合も対象患者はこの条件に該当する患者となることが見込まれます。
 残念ながら抗インフルエンザ薬のタミフルのように「新型コロナと診断されたら誰も彼もすぐに処方してもらえる」ということにはすぐにはなりません。
 しかし、パクスロビドはワクチン接種者を含む重症化リスクのない新型コロナ患者を対象とした臨床研究も行われており、薬価の問題はありますが持病のない若い方でも良好な成績が得られれば今後対象が広がる可能性はあります。
 また、家庭内での濃厚接触者を対象とした臨床研究も進められており、抗体カクテル療法と同様の発症予防効果が認められれば、より容易に暴露後予防を行うことが可能となります(あくまで予防の最善の方法はワクチンですが)。
 今回のパクスロビドの発表は、そのような治療や予防がそう遠くない未来に行えるようになるかもしれない、という希望をも抱かせてくれるものではないかと思います。

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オミクロン株感染予防にはワクチン3回接種が必要

2022年01月17日 22時19分42秒 | 新型コロナ
新型コロナワクチン2回接種者でも、オミクロン株に対する効果は数ヶ月で減少していく・・・
と不安になる情報が流れています。
そのために3回目接種(ブースター接種)が必要になると。

まあ、減ってきた抗体価が再上昇するのは当たり前、
と考えるのがふつうです。

しかし以下の報告を読むと、
そう単純なものではなさそうです。

ブースター接種による各株(野生、デルタ、オミクロン)に対しての抗体価は、
それぞれ異なる反応を示すようなのです。

結論から申し上げると、
ワクチン2回接種は野生株やデルタ株への効果は十分であるがオミクロン株への効果は期待薄
3回接種の効果は野生株やデルタ株よりオミクロン株で最大限発揮される
ということ。
3回目接種の重要性がクローズアップされることになります。

しかし、ここで素朴な疑問が生まれます。

ファイザー社やモデルナ社は最初の野生株に対して作られたワクチンです。
それが野生株よりも最新の変異株であるオミクロン株に効果が高いとは如何に?

それから、2回目接種後3ヶ月で抗体が減少し、ブレークスルー感染が問題になっているmRNA ワクチンです。
3回目接種で抗体が上がったとしても、その後またすぐに減少してしまうのではないか・・・。

いったいこのワクチン、何回接種を繰り返せばいいんだろう。

2022年3月までには完成するそうです。

おそらく今後は、新たな変異株の出現が繰り返され、
それを後追いするように新たなワクチンが造られ、
毎年のように追加接種するようになる状況が目に浮かんできます。
・・・これ、インフルエンザと同じですね。


mRNAワクチン3回目接種がオミクロンに‟著効"〜中和抗体価が2回目完了者の19~27倍

・米・Massachusetts General HospitalのWilfredo F. Garcia-Beltran氏らは、米国の医療従事者および地域住民239人から得られた血清検体を用いてオミクロン株、デルタ株、野生株に対する各種ワクチンの有効性について検討。

・オミクロン株に対しては、mRNAワクチンの2回目接種完了から3カ月以内の人でも中和抗体価は極めて低かったが、3回目のブースター接種を完了している人では2回目接種完了者と比べて19~27倍高いことが示された。

・Garcia-Beltran氏らは今回、米国で承認されている2つのmRNAワクチン
 ファイザー製のBNT162b2
 モデルナ製のmRNA-1273
とアデノウイルスベクターワクチン(J&J製のAd26.COV2.S)
についてオミクロン株を含む3種のSARS-CoV-2に対する有効性を検証した。

・これら3種類のいずれかのワクチン接種(mRNAワクチンは最低2回、Ad26.COV2.Sは最低1回)を完了しているマサチューセッツ州の医療従事者および地域住民239人(18~78歳、中央値38歳、女性63%)を組み入れ、
①(recent vax群)SARS-CoV-2感染歴がなくワクチン接種完了後3カ月以内の群
②(distant vax群)SARS-CoV-2感染歴がなくワクチン接種完了から6~12カ月が経過している群
③(distant vax+infection群)SARS-CoV-2感染歴がありワクチン接種完了から6~12カ月が経過している群
④(booster vax群)SARS-CoV-2感染歴がなく過去3カ月以内にmRNAワクチンのブースター接種を済ませている群
ーに分類した。

・ハイスループットSARS-CoV-2疑似ウイルス中和アッセイを用いて、各群の血清検体におけるオミクロン株、デルタ株、野生株のそれぞれの疑似ウイルスに対する中和抗体価を比較検討した。

野生株に対する中和抗体価(幾何平均値、以下同)
mRNAワクチン2種のrecent vax群で高かった(mRNA-1273:1,362IU/mL、BNT162b2:2,402IU/mL、Ad26.COV2.S:42IU/mL)。
distant vax群ではいずれのワクチン接種群も中和抗体価が大幅に低下していた。
distant vax+infection群ではAd26.COV2.Sを含めた全てのワクチン接種者で高い中和抗体価が認められた。
booster vax群ではmRNA-1273で3,862IU/mL、BNT162b2で2,219IU/mL、Ad26.COV2.Sで1,201IU/mLと、最も高い中和抗体価が示された。

デルタ株に対する中和抗体価
全てのサブグループにおいて野生株と比べて低く、先行研究と一致した結果が得られた。
distant vax群のほとんどで中和抗体が検出されなかった
recent vax群とdistant vax+infection群、booster vax群では中和抗体価の低下度は軽度であった。

オミクロン株に対する中和抗体価
mRNAワクチンの2回目接種を完了してから3カ月以内のrecent vax群でも50%超で中和抗体が消失
野生株に対する中和抗体価と比べたオミクロン株に対する中和抗体価はmRNA-1273で43倍低く、BNT162b2で122倍低いことが示された。
distant vax+infection群では、そのほとんどで検出可能なレベルの中和抗体が維持されていたものの、中和抗体価はmRNA-1273で9倍、BNT162b2で12倍、Ad26.COV2.Sで17倍の低下が認められた。
booster vax群では、オミクロン株に対する中和抗体価は野生株に対する中和抗体価と比べても4~6倍の低下にとどまっていた(mRNA-1273:6倍低下、BNT162b2:4倍低下)。

・mRNAワクチン2回目接種完了後3カ月以内のrecent vax群とbooster vax群の比較から、2回目接種と比べたブースター接種による中和抗体価の上昇度は野生株やデルタ株では1~9倍であったのに対し、オミクロン株ではmRNA-1273で19倍、BNT162b2で27倍と大幅に上昇していることも確認された。

・これらの結果について、Garcia-Beltran氏らは「mRNAワクチンの2回接種は野生株およびデルタ株に対する中和免疫の誘導には有効であるが、オミクロン株に対する中和応答を誘導するには不十分であることが示された」と説明。「今回の研究からmRNAワクチンの3回目の接種によって、オミクロン株に対する強力な交差中和反応が生じることが明らかになった」と述べ、「多くの変異を持つSARS-CoV-2変異株の発生および感染拡大を抑制するための公衆衛生策として、mRNAワクチンの追加接種を迅速かつ広範に導入する必要性が裏付けられた」としている。

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その医療用マスク、安全ですか。

2022年01月17日 06時47分36秒 | 新型コロナ
一般用マスクではなく、主に医療用マスクの話です。

医療現場でふつう使われているのは「サージカルマスク」という、
不織布で作られたものです。

新型コロナ患者と対峙する際にはサージカルマスクでは用が足りず、
「N95」という規格のマスクを使います。
医療用マスクの最高峰ですが、新型コロナ禍でメディアで取り上げられる機会が多く、皆さん耳にしたことがあると思います。

このマスク、実際に正しく装着すると息をするのが大変で、時間がたつと苦しくなります。
「苦しくならない」場合は、正しく装着されていない可能性があるくらいです。

さて、医療用レベルのマスクの規格はいくつもあるようで、
それを整理した記事が目にとまりました。

DS2、FFP2/FFP3、KN95 → N95と同等
KF94、P2 → 医療レベルと評価されず

とのこと。
KF94は、いわゆる“韓流マスク”ですね。
不織布が直接口に接触しないので使用感がよいのですが、
効果は一般使用レベルのようです。


N95マスク、医療従事者が知っておきたいこと
ケアネット:2022/01/17)より抜粋;

・わが国では、マスクの品質管理の一環として、日本産業規格(JIS)が2021年6月に制定された。しかし、適切な基準を満たさない製品も多く流通していることが懸念され、医療機関それぞれが対策しなければならない。

・国立感染症研究所が作成した「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年6月2日改訂版)」では、N95マスクはエアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)を行う際に装着し、使用に際しては、事前のフィットテストと着用時のシールチェックが推奨されている。
・正しい着用方法はN95マスクを開発したスリーエム(3M)作成の「医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド」が参考になる。

・「N95」とは、米国の労働安全衛生研究所で定められた防塵マスクの規格(NIOSH-42CFR84)。
・わが国では以下に示す他規格の製品についても、品質を確認し問題がなければN95マスクと同等に扱うとされている。

DS2(日本規格:厚労省2018)
※労働安全衛生法に基づく防塵マスクの性能規格
FFP2、FFP3(欧州規格:EN149-2001)
KN95(中国規格:GB2626-2006)

・ただし、海外製品についてはFDAで緊急使用承認を受けたものに限られる。
・DS2マスクは、患者の血液や体液等が浸透する恐れのある手術や処置を行う場合には使用できない(検体採取は該当しないので使用可)。

・安全なマスク製品かどうかの確認方法については、医療用感染防護具の適正使用を支援する一般社団法人 職業感染制御研究会が「KN95等の不良品マスクを見分ける方法」を公開している。
・同会ホームページでは、フィットテストの解説動画やマスクの再利用、サージカルマスクの規格基準などについても、網羅的に情報提供している。

・マスクの国際規格について、3Mの技術情報によると、韓国の規格「KF94(KMOEL-2017-64)」や、オーストラリア・ニュージーランドの規格「P2(AS/NZA 1716:2012)」などもN95マスクに近い性能を持つとされるが、わが国の資料には記載されていない。
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新型コロナ、小児患者の治療(2022年1月現在)

2022年01月16日 22時15分50秒 | 新型コロナ
新型コロナのオミクロン株流行が席巻しています。
あちこちの中学・高校の部活レベルでクラスターが発生し、モグラ叩きの様相を呈してきました。

これから、ワクチンを接種していない世代(12歳未満)の新型コロナ流行が本格化すると思われます。

さて、小児患者はどう治療すべきでしょうか。

インフルエンザには抗ウイルス薬としてタミフル、イナビルなどが用意されています。
新型コロナに対してもラゲブリオ®(GSK社)が認可されましたが、
現状では適応は18歳以上のハイリスク患者です。
これから認可される薬パクスロビド(ファイザー社)もありますが、
それでも12歳以上が適応と、
小児に処方できる内服薬は今のところ存在しません。

現時点では、従来の対症療法で回復待ち、ということになります。
熱がつらかったら解熱剤、
咳がつらかったら鎮咳剤・・・

まあ、もともと小児は重症化しにくく、
オミクロン株はさらに重症化しない傾向がありますから、
それで済めば御の字です。

私は漢方薬に注目しています。
漢方薬は即効性がない体質改善の薬、というイメージが先行していますが、
漢方の原典である約1800年前の「傷寒論」は急性熱病の治療マニュアルなのです。

そこには、カゼの経過と共に適切な薬を選択して治癒に持っていく職人技が書かれています。
例えば・・・

1.風邪の引き始め
  ⇩
2.カゼが長引いて熱が上がったり下がったり
  ⇩
3.風邪がこじれて高熱が続く
  ⇩
4.回復せず体が冷えて命の危険

漢方的には1〜4を以下のように位置づけています。

1.太陽病期
2.少陽病期
3.陽明病期
4.太陰病期

という経過を辿るカゼの諸相に対応する薬が用意されています。
どのフェイズでも同じ咳止めが使用される西洋医学とはきめ細かさが異なります。

1.太陽病期→ 熱を出す手助けをして病原体をやっつける
2.少陽病期→ 身体の炎症の熱を冷ます
3.陽明病期→ 病気の元を身体から追い出す
4.太陰病期→ 身体を温めて免疫システムを回復させる

私はこの中でも、2.の少陽病期に注目しています。
新型コロナに罹った初期はカゼ症状ですが、
1週間後くらいに回復するヒト(8割)と重症化するヒト(2割)に分かれます。
重症化は免疫システムが暴走する「サイトカインストーム」が起きている状態です。
このフェイズに用意されているのは「柴胡剤」(例:小柴胡湯、柴胡桂枝湯)です。

私はふだんから風邪患者さんに対して、
熱が数日以上続いて治りが悪いときに処方しています(希望があれば、ですが)。




これは風邪の前半、やや長引くまでの病期ですが、
フェイズと体力により、すでに13種類の漢方薬を使い分けるべし、
と記されています。
・・・職人技ですね。
風邪の全経過まで入れると、使い分ける漢方薬の種類は、軽く20種類を超えるでしょう。
私は風邪の漢方を使いこなせるレベルが一人前の漢方医の目安、と考えています。




(解説文)
 これは大野修嗣先生の提唱されている「ハンス・セリエのストレス学説と傷寒論」の対応を改変したものです。セリエがストレス疾患の病期で治療法を変えたように,漢方治療においてもストレス疾患は病名ではなく病期によって治療法が変わります。
 副交感神経優位の太陽病期は実証なら「発表」により病邪を散じるため麻黄剤を使用し,虚証なら「解肌」により免疫を賦活するため桂皮を使用する。
 体がストレスに抵抗して交感神経優位の少陽病期なら,「和解」で炎症・緊張・興奮反応を適切に制御するため,「胸脇苦満型」には柴胡・黄芩を含む柴胡剤,「心下痞硬型」には黄連・黄芩を含む瀉心湯類が適応になる。
 体が疲弊して交感神経すら反応しにくい太陰病期には「温裏」で体を温め活性化する乾姜や桂皮,人参を使用する、などです。

かぜウイルスが体に入って起こす感染症も、
広く“ストレス反応”と捉えることが可能、ということですね。

西洋医学で少陽病期・太陽病期に適応するのは、
昔から使われてきたステロイド薬くらいしかありません。
ご存じのように、ステロイド薬はその使用のタイミングを間違うと、
病状が悪化する可能性があります。

前置きが非常に長くなりました。

先月(2021年12月)、日本小児科学会が「小児COVID-19 軽症から中等症の治療フローチャート」を発表しました。
さて、どんなことが書いてあるのか、読んでみましょう。
まずはフローチャートを引用させていただきます;


当院のような小児科開業医で診療する患者さんは、ふだん健康で酸素飽和度(SpO2)が正常範囲(>95%)に保たれていますから、基本的に経過観察・対症療法のみです。
まあ、思った通りですね。

酸素飽和度が正常範囲でも、重症化リスク因子がある患者さんはモノクローナル抗体(カシリブマブ/イムデビマブあるいはソトロビマブ)の投与を考慮します。ただし、年齢12歳以上、体重40kg以上かつ発症7日以内という条件が付きます。
まあ、これは病院に紹介して入院治療するレベルですので、開業医レベルではありません。

同じ条件を満たす患者さんで、胸部画像検査(X線撮影やCTスキャン)でCOVID-19に矛盾しない肺炎像を認めると、レムデシベルの登場です。

上記フローチャートの他に、忽那先生が作成したイラスト入りの経過表が掲載されており、こちらの方がイメージしやすいですね。



この図でもわかるように、軽症患者に使用されるモノクローナル抗体(カシリブマブ/イムデビマブあるいはソトロビマブ)は静脈注射薬のみなので点滴が必要です。

私はこの図の中の「軽症」の途中から「柴胡剤」を使えば、一定比率で重症化を抑制できるのではないかと期待しています。
江戸時代までの日本の医師であれば、おそらくそうしたでしょう。


<参考>
■ 「小児における COVID-19 治療薬に対する考え方:第1版」(日本小児科学会、2020年6月初出〜2021年12月最終更新)

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