小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「目をさませ!乙武さん バリアフリーのために」

2017年08月27日 07時39分38秒 | 医療問題
目を覚ませ乙武さん バリアフリーのために!
(2017.8.25:NHK・・・再放送)

 障害があっても普通に生活し人生を楽しんでいます、という雰囲気にあふれていた乙武洋匡(ひろただ)さん。
 昨年の不倫騒ぎ以降、そのイメージが崩れ、人間のクズ扱いされるようになってしまいました。

 その乙武さんがバリバラ(バリアフリー・バラエティ)に登場です。

 とっても印象深い番組でした。

 まず、不倫騒ぎ前後の乙武さんの評価を健常者と障害者で比較。
 すると意外な結果になりました。

 不倫前:健常者高、障害者低
 不倫後:健常者低、障害者高
 
 えっ?
 障害者は乙武さんを「我々の代弁者」として支持していたのではないの?

 障害者から見ると、不倫騒ぎ前の乙武さんは優等生(ええかっこしい)過ぎたらしいのです。
 あんなに上手くいくはずはない、障害者が誰しもあんな風にできるはずがない、というのが実感。

 そして不倫騒ぎ後は、自分たちに近づいた親近感が生まれてようです。
 障害者だって性欲はあるし不倫することだってあるかもしれない、と。

 レギュラー出演者との対話も興味深く聞き入りました。

 「あそどっく」さんは“寝たきりお笑い芸人”です。
 乙武さんがFBやツイッターで披露する自虐ギャグを「浅い!」と一喝したのでした。
 「障害者の自虐ギャグは、そこはかとなくバリアを感じさせなければならない」という信念。

 ・・・参りました。この人、ただ者ではない。

 次に玉木幸則さんとの対話。
 乙武さんの「障害者だって普通に社会生活できる、クールに生きていける」というスタイル(半分メディアが作り上げたものですが)を乙武さん自身も、玉木さんも疑問を呈しました。
 「うまくいかないことをもっと出して見るべきではなかったか?」との玉木さんの問いに、
 「結構出したつもりなんだけど、メディアは取り上げてくれなかった、“乙武はいい人”というイメージだけ採用する傾向があった」と乙武さん。

 なるほど。
 乙武さんは「障害者を使った“感動ポルノ”の犠牲者の一人」だったのですね。

 乙武さんは今後「好きなことをやる」と宣言しました。
 番組とのタイアップして企画に参加するそうです。
 どんな展開になるのでしょうか。



<番組内容>
 マイノリティーについて発信し続けてきた、トップランナー・乙武洋匡さんが登場!
 障害者の“清く正しい”イメージを、昨年、自らのスキャンダルで破壊した。しかし、謹慎生活を経て復活したものの、迷走中でヤル気も出ないそう。乙武さんはバリアフリーな社会のために必要な存在!そこで!これまで乙武さんが世間の障害者像をどう変えてきたのか、その影響を徹底討論。過去と向き合い、新たなスタートを切ってもらう!

世間の乙武評
 今回のゲストは、マイノリティーについて発信し続けてきた、トップランナー・乙武洋匡さん。障害者のイメージを変えたいと言っていた乙武さん。去年、自らのスキャンダルによって、“清く正しい障害者像”を図らずも破壊した。謹慎生活を経て、今年1月に復活したが、そんな乙武さんを現在、世間はどう見ているのか?松本ハウスが街頭で直撃インタビュー!すると、スキャンダル前は100人中53人が好きと答えたのに対して、スキャンダル後は一変。好きと答えた人はわずか28人に激減するという、散々な結果に。
 しかし、同じ質問を障害者にしてみると、何とも驚くべき結果が出た。そもそもスキャンダル前の乙武さんを好きだと答えた人は半数以下。しかしスキャンダル後には好きだと答える人が増えるという、健常者と、真逆の結果になったのだ。健常者は乙武さんを「障害者代表」として、「感動ポルノ(障害者が、健常者に勇気や感動を与えるための道具になっていること)」として見ていたこと。そして障害者は、そう見られている乙武さんに対して反発を抱いており、スキャンダルによってその構図が壊れた事をむしろ喜んでいるという事実が明らかになった。

乙武さんが話を聞きたかったふたり
 著書「五体不満足」を出して以降、常に“感動ポルノ”の目にさらされてきたと言う乙武さん。これまでどんな事を言っても、清廉潔白・聖人君子として見られ、スキャンダルでそのイメージを壊せたものの、今度は批判の嵐。今後世の中を変えるために、自分はどうやって世間に訴えていくべきか?迷走中という。そんな乙武さんが、ぜひ意見を聞いてみたいという2人の人物、それは、寝たきり芸人あそどっぐと、バリバラのご意見番、玉木幸則だった。

あそどっぐに1日密着
 自身の障害を「自虐」として笑いに変えて伝えるあそどっぐに、同志としてシンパシーを感じていた乙武さん。しかし、あそどっぐからは、笑いの質が根本的に違うという意見が。あそどっぐのモットーは、「自虐とは、日常にバリアがある事を気付かせるものであるべし!」。乙武さんの「自虐」にはそれがない、というのだ!自身の1日を番組に密着させ、日常にあるバリアを紹介。最寄り駅にはエレベーター等がなく電車に乗れない、便意を催してもバリアフリーなトイレが見つからず間に合わないこともある、といった日常のバリアを川柳で面白おかしく伝えた。
 乙武さんからの、「自虐ネタを不謹慎と捉えられることもある?」という質問には、「不謹慎と言う人も、関心があるからこそそういう意見を言う。その関心からその人の何かが変わって欲しい。無視されるのが一番つらい。」と回答。その思いがあるからこそ、自身の笑いにこだわり続けるあそどっぐだ。

乙武さんインタビュー「玉木さんへの思い」
 そしてもう1人のキーパーソン、玉木幸則。乙武さんは、玉木さんの事を、ずっと「自分より“障害者の代弁者”としてふさわしい人」と思って見てきたという。自分は代弁者としてふさわしくないとずっと思ってきた。それにも関わらず、世間からは20年間“障害者代表”として見られてきた。そんな自分を果たして玉木さんはどう見てきたのか、率直な意見を聞いてみたいというのだ。
 スタジオで1時間近くにわたって展開された、乙武さんと玉木さんの「愛のガチ対談」。今回は特別に、未公開パートもあわせて一気に掲載します。



★乙武洋匡 × 玉木幸則「愛のガチ対談」はこちらから
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