小児アレルギー科医の視線

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ステロイド外用薬のランク付け、日米比較。

2022年01月16日 08時07分19秒 | アトピー性皮膚炎
ステロイド外用薬を処方する際、私は「強さのランク」について説明しています。

・ステロイド外用薬はその強さにより5つのランクに分けられ、当院で処方する軟膏類は以下のランクに入る;
 I群(最強)
 II群(とても強い)
 III群(強い):リンデロンV、メサデルム、リドメックス(IIIとIVの間?)
 IV群(中くらい):ロコイド
 Ⅴ群(弱い)
・小児科医は臆病者なのでIII群までしか使わないが、皮膚科ではもっと強い軟膏類が処方される
・皮膚の厚さにより吸収率が異なるため、塗る部位により複数の軟膏類を使い分ける必要がある

等々。

実はこの「5ランク分類」は日本独自の物で、外国では別の分類法が存在します。
例えばアメリカでは5ランクではなく7ランクに分類され、さらに同じステロイド外用薬でも、その性状(軟膏、クリーム、ローション)によりランクが異なることがあります。

I.Very High Potency:
II.High Potency:
III-IV.Medium Potency:リンデロンV(軟膏・クリーム・フォーム・ローション)
Ⅴ.Lower-Medium Potency:ロコイド(軟膏・クリーム・ローション)
Ⅵ.Low Potency:
VII.Lowest Potency:

当院採用の外用薬はその性状によりランクが異なるものはありませんが、
種類によっては別ランクになるものも存在します。

例)フルメタ:軟膏はII群、クリームはIII-IV群

外用薬の選択の際は、このような背景も確認する必要がありますね。

さて、ドラッグ・ストアで販売されている市販薬にもステロイド含有製品がありますが、
どのランクのモノなのでしょう。

答えは・・・日本分類でIII・IV・Ⅴランクに限定されています。
I群とII群は効果が強い反面、副作用が出やすいため許可されていないのです。

では、III〜Ⅴ群ならどこに塗ってもよいかというと、そうでもありません。

皮膚の薄い部位(顔、首、デリケートゾーン)は基本的にIV群を使用するのは医師の間の常識です。
もしIV群で効きが悪いときは、他の病気を鑑別した後にIII群を使うことがありますが、
これは医師レベルの専門的判断が必要です。

医師の使用する一覧表がネット上で閲覧できました。
安全性の目安として「期間」と「使用量」も記載されているのが特徴です。



この表のように、医師は場所により塗るステロイド外用薬を使い分け、
かつ副作用に気をつけて治療をしています。
軟膏だけもらって自己流で長期塗る行為は危険ですので、ご注意ください。


<参考>
■  ステロイド 外用剤 使い分け/類似薬 皮膚疾患〜同ランク内のステロイド外用剤の強さ
■ 国が変わればステロイドのクラス区分も変わる

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