小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

命の価値に優劣をつけることができますか?

2020年03月20日 16時54分47秒 | 医療問題
新型コロナウイルスが世界を席巻しています。
日本は爆発的流行を免れていると日本政府や専門家会議が発言していますが、しかしPCR検査を限定的にしか行っていないため実態は不明であり、科学的・疫学的なデータは存在しません。

現在最も勢いのあるのはイタリアです。
そこでは医療崩壊が起き、「60歳以上には気管内挿管できない」という命の選別が行われているという記事を目にしました。

木村正人(在英国際ジャーナリスト)  2020/3/11

さらに本日(3/20)、「80歳以上は治療しない」という信じがたい文章をみることになります。

Erica Di Blasi 2020/3/20(AFPBB News)

人間は追いつめられると、命の価値に優劣をつけて切り捨てる判断を迫られることがあります。
この事実を、日本人であるあなたは受け入れることができますか?

先日、相模原のやまゆり学園集団殺人事件の植松聖被告に死刑判決が出ました。
彼は「話のできない障害者は社会に必要ない」という考えのもとに凶行に走りました。
もちろん、世論は「信じられない」「狂っている」「死刑判決がふさわしい」というものでした。
しかし私は、この表面的な世論が腑に落ちず、素直に受け入れることができません。

もしこれが極限状況であった場合、同じ評価ができるでしょうか。
新型コロナウイルス感染が蔓延して医療崩壊が起きた場合、命の選択を迫られた場合・・・。

実は戦後、われわれ日本人自身が、障害者を見捨てて餓死に追い込んだ歴史的事実があります。

□ 「ある知的障害者たちの戦中戦後記」(NHK:ハートネットTV)2016年放送

これを知っていた私は、相模原事件やイタリアの高齢者切り捨て医療を複雑な気持ちで見ざるを得ません。

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