![栗野岳温泉 正面構え](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/a6/a4546da426873f5412d68ae637a2c92e.jpg)
八月の最後は 久々にトトと一緒の帰省でした。 目的は 老親への顔見せと 実家の管理サポート。
トトの滞在は短かかったものの、最後の日 空港へ見送る前に、義兄に勧められた栗野岳温泉まで 足を伸ばしてみました。
九州自動車道で 薩摩吉田ICを入り、いつもは溝辺鹿児島空港ICを降ります。
しかし、目的地は もうちょっと北の方、さらに18km進み、栗野ICで 高速を出て、さらに一般道を11km。
半分は 山への登り道。
栗野岳温泉街とあるので、せめて二~三件の温泉があるものと思っていましたが、
南洲館とよぶ温泉が一軒のみ。
その昔、西郷隆盛が このあたりで 狩猟をして 温泉で湯治をした温泉だそうで、名前もそこからつけたとは、受付けでの話。
入湯料は一人、300円。写真を示しながら、温泉の説明があり、三つの温泉のひとつを選んで入るとか。
「すべての温泉に入れませんか」 と尋ねると、三つの温泉をまわると600円とか。
迷わず 一人600円払いました。
「入る前に、見学して 入る順番を決めてください」 とのこと。
温泉三つは 敷地内に分散していて、一回一回 着替えて移動しなければならないのが ちょっと面倒。
浴衣のようなものの貸出もないとか。
「同じ敷地内にあるものの 源泉がすべて違いますから、温泉の質も違います」 との説明でした。
もちろん、本当の温泉好きは こういった初歩的なことは、調べてから来るのでしょう。
トトが さっと三つの温泉を見て回り、最初は、竹の湯 次は 蒸し湯 最後に 桜湯 がよさそう、と決めたものの
気の早い母様は、さっさと桜湯に入っていきました。
そこで 私も母様に続くことに。
母様の手には、シャンプー、石けん、タオルなどの入ったいつもの温泉行き用カゴを準備していました。
しかし このセットのタオル以外は全く不要のものとは 中に入ってからわかりました。
桜湯の建物は もちろん小さな木造平屋。 脱衣所も四畳半ほど。ガラス越しに湯壺も洗い場?も見えています。
中央に白濁した湯壺があり、その周りは湯壺のお湯の高さ(浴槽の高さ)に木が敷き詰めてあるちょっと変わった作り。
一か所から 湯が注いでいて、もちろんかけ流し。
洗い場もとくになく、壁沿いにに三つの水道の蛇口があるのみ。
先客に「山水がひいてあるんだそうですよ」と 説明をもらいました。
もちろん 体や髪をゴシゴシと洗える温泉ではありません。
静かです。 かけ流しのお湯の音しかしません。 後は、晩夏の虫の鳴き声のみ。
白濁したお湯にゆったりと浸っていると、体の中の日々の澱まで洗い流されていくような感じがします。
ただ、良質の源泉に浸り 体を休めるという 古来の湯治スタイルの温泉。
三泊四日で湯治にきたという若い女性に次の竹の湯のことを教えてもらいました。
ドロ湯なのだそうです。
とても細かい粒子のドロが一緒に湧き出る温泉で、もちろん体をごしごし洗うことは出来ないし、ドロ湯でない上がり湯もなく、
同じように山水がひいてあるのみとか。
あらまぁ、どうしましょ
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ちょっと困った
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二つの温泉は100mほど離れているだけ。
竹の湯には 先客なし。
竹の湯の湯壺は古いものの、白木造りの建物は 建て直して間もないらしく、窓も引き戸もきれいで新しいサッシ作り。
ここのお風呂は石造り。浴槽から流れ出るお湯で石の床は 白っぽいドロ色をして とても滑りやすい状態。
浴槽も 気をつけて入らなければ 足を取られてズルッと滑りそうです。
泉質は強い酸性で、そのため 源泉に水を足してあると説明書きがありました。
石壁の奥に打たせが作ってあり、その隅に 山水を貯める水槽があるのみ。
ドロ湯とあっても、泥んこの中に入る最初のイメージとは違い、湯壺の底に泥がうっすらと溜まっている感じです。
湯壺の底をなぞっても 泥をつかむほどの量もありません。 しかし、石造りの湯壺の石と石の間の溝には しっかりと泥が溜まっていて、指でかき出して手に取ることが出来ました。
ヨーロッパあたりのクレイパックに使われそうな感じのとても細かい粒子です。腕に塗りつけてみましたが、
特に皮膚が傷つくという感じもなく、なかなか乙な温泉でした。
次は、蒸し湯。 これは、ちょっと、びっくり。
トトが 江戸の庶民は 銭湯といっても 蒸し湯だったと以前話していましたが、
まさに その頃の蒸し湯が残っている感じ。
蒸し湯は二部屋で構成されていて、手前は、掛け湯の湯壺と 山水が貯めてある壺があります。
その奥の蒸し湯は 真っ暗で、真っ黒な木の床がほとんど見えないぐらい。
床に寝てスチームを浴びるのが この蒸し湯の入り方と説明があるものの、入口の引き戸も高さは普通の半分ぐらい。体をしゃがめなければ中に入れません。
五メートルほど向こうに小さな明かりとりの窓が見えていますが、中の様子はほとんどわかりません。
おっかなくて、熱すぎて とても中には入れませんでした。
でも 中腰で お尻を奥の蒸し場につきだす感じで 体半分を蒸してみました。
体後ろ半分は 熱く、体の前は ひんやりした感じ。
珍しい温泉を体験した というぐらいのことでしょうか。
最後に 桜湯で 体を洗い流し? 秘湯の体験終了。
![新館入口にて](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/42/8882ffc677efde16d88ab26691929216.jpg)
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蒸し湯の手前から、八幡大地獄への散策道があり、地獄谷に簡単に行くことが出来ました。
山道のあちこちで 泥がブクブクと湧きだっていたり、蒸気が上がっていたり、別府やえびの高原や乳頭温泉を思い出しました。
帰路は40分ほどで、鹿児島空港へ。
ちょっと時間に余裕があったので、栗野駅のすぐ近くの 丸池湧水も見学。
綺麗な水がコンコンと湧いているのが よくわかる とても澄み切った水源池でした。
レジャーランドタイプの温泉が苦手の 温泉好きには
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/fuki_osusume.gif)
ゴムぞうりのような履物と 簡単に脱ぎ着の出来る湯浴み着は 必携です。
一つの温泉地で 三つの源泉を楽しめる というのはなかなか面白いと思った温泉でした。