平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第17回 「姫の涙」

2007年05月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 晴信(市川亀治郎)の陰を担う存在として動く勘助(内野聖陽)。
 高遠頼継(上杉祥三)への調略。
 諏訪頼重(小日向文世)への言いがかりに近い強圧。
 兵を損なうことなく諏訪をとることが出来たが、そこには嘘偽りだけがある。
 かつて大河ドラマでは秀吉に見られる様に、調略は痛快なものとして描かれていたが、調略とは決してそんなものでなく醜いものであることを教えてくれる。

 さて勘助。
 生きることを望んだ由布姫(柴本幸)を逃がすことを決意するが、それは心から彼女のことを思っての行為。純粋な気持ち。
 しかし、晴信の側室として迎える意思を聞いた時、深謀遠慮を行う。
 まず姫が側室として迎えられ、子をなせば、姫は生き抜くことができる。
 しかし側室という立場で甲斐に行くことがわかれば、姫は生きてはいないだろう。
 だから自分が泥を被る。
 自分が姫を辱め殺そうとする悪役になり、悪役から救ったのは晴信であるというストーリーを描く。
 結果、勘助はかつての恋人・ミツ(貫地谷しほり)を思わせる由布姫に嫌われ恨まれることに。
 陰の部分を背負う存在として生きる覚悟をした勘助だが、姫から言われた言葉はあまりにもつらい。理解されないことは本当につらい。

 ここで対照的なのは平蔵(佐藤隆太)。
 平蔵はヒサ(水川あさみ)を心から愛し、身分を越えて一生守りたいと言う。
 このストレートな想いがヒサを動かす。
 辱めを受け死ぬ決意までしたヒサが生きる意思を持つ。

 勘助と平蔵は合わせ鏡。
 偽りに生きる男(陰)と自分の気持ちに従って生きる男(陽)。
 生き方としてどちらが幸せか?
 また彼らに関わる女性たちの反応も面白い。
 平蔵と関わるヒサは生きる希望を見出し、勘助と関わる由布姫は「生きることは地獄だ」と思う。
 物語はこの構図の中で動いていきそう。

 そして勘助と同じく偽りの中に生きる晴信も今後どう描かれるか楽しみだ。
 晴信は妹・禰々(桜井幸子)の怨みを買い、正室・三条夫人(池脇千鶴)の信頼も失いそうだ。

 この作品は今までの大河ドラマと違う。
 偽りと憎しみの中に生きる勘助と晴信、ふたりの男の物語。
 痛快とは正反対の主人公は今後どの様なドラマを見せてくれるのだろう。


コメント
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