平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第14回「大坂」~秀吉登場! 秀吉は昌幸、景勝に続く三番目の父親になるのか?

2016年04月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 信繁(堺雅人)は石川数正(伊藤正之)に言う。
「先が読めないのは皆同じです。
 だから必死に生きているんです。
 人を騙したり裏切ることもあるでしょう。
 でも、それは善とか悪で計れるものではないと私は思うのです。
 石川様、とりあえず先に進みましょう」

 生きるためには善とか悪とかにこだわっていられない。とどまってもいられない。
 間違ったらやり直せばいいし、泥の中に這いつくばっても必死に生きる。
 全面的な<生の肯定>である。
 この考え方は、父・昌幸(草刈正雄)から受け継いだもの。
 信繁は、騙しと駆け引きで生きる昌幸に違和感を持っていたが、どうやらこのように結論づけたようだ。

 一方、もうひとりの父親とも言える上杉景勝(遠藤憲一)からは、こんなことを言われた。
「自分が嫌になるわ。
 口では〝義のために生きる〟と言っておきながらやってることはどうだ。
 長いものに巻かれているだけではないか。
 これほど世の中は思いどおりに生きられないものなのか。
 源次郎、おぬしはわしのようにはなるな。
 この世に義があることをおのれの生き方で示してみせよ」

 現実では、<義に生きる>ってカッコいいけど、無力なんですよね。
 なぜなら人間って、欲望や自己保存のために行動する生き物だから。
 お金や地位のために正義を捨てる人もいれば、生き残るために長いものに巻かれる人もいる。
 実際、世の中はそういう人の方が多い。
 だから、高い理想をもった景勝のような人物は「これほど世の中は思いどおりに生きられないものなのか」と嘆くことになってしまう。
 
 昌幸の<不義>と景勝の<義>。
 信繁の中には、矛盾したふたつの要素がある。
 人間とは、矛盾した生き物ですから、どちらか一方を選ぶ必要はないと思うんですけど、この作品のクライマックスである真田丸の攻防では、信繁は<義>に生きるんでしょうね。
「この世に義があることをおのれの生き方で示してみせよ」という景勝の言葉を実践して、滅び行く豊臣のために戦う。徳川という勝ち馬に乗って、長いものに巻かれることはしない。

 そして、秀吉(小日向文世)。
 秀吉は、昌幸、景勝に続く信繁の<三番目の父親>になるのかなぁ。
 果たして信繁は秀吉から何を学ぶのか?
 秀吉は俗っぽい人だから、昌幸側の人だとは思うけど。

 それにしても、この作品の登場人物たちはみんな人間っぽい。
 理想に生きる景勝は、現実とのギャップや自分の不甲斐なさを嘆いているし、信幸(大泉洋)は昌幸が信繁のことを絶賛するので、すねる。しかも間違えて母上の膝の上で(笑)
 きり(長澤まさみ)は前回「この子はわたしが育てる」と宣言したのに、もう放り出している(笑)
〝人間なんて、そんなに立派なものじゃないんだよ~〟
 と三谷幸喜さんは言っているようだ。

コメント (2)
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