今回も、うめざわしゅん作品。
ヘイト活動をおこなうグループ(=在特会?)の老リーダー山神は結婚式で新郎新婦にこんなスピーチをする。
「言うまでもなく、今のこの平和は先人たちの尊い犠牲の上に成り立っております。
私が若い二人に伝えたいのは先人に恥じることのない誇りある日本人として立派な家庭を築いてもらいたいということです」
〝先人たちの尊い犠牲〟〝誇りある日本人〟
ウルトラ保守のヤバいやつが言いそうなテンプレ発言ですな。
一方、新郎ひろしの友人である主人公・三上は次のようにスピーチする。
「ひろし君、そしてサクラさん、ご結婚おめでとうございます!
僕がひろし君と出会ったのはそう! 小学校の時でした。
ある日、ひろし君が女子の体操着を盗み問題になったのです」
〝誇りある日本人〟であるひろしが体操着泥棒ww
三上は山神を茶化しているのだ。
〝誇りある日本人〟なんて世迷い言。
ひろしはそんな上等な人間ではないし、すべての人間がそうだ。
〝誇りある日本人〟なんて価値観を押しつけてくるな。
これに対して山神は、
「君はひろし君の友人として相応しくないようだな。
彼は生まれ変わったのだ、我々の同志として。
君は自分のことしか考えられない利己主義者だ。
ひろし君にとっても日本にとっても害悪でしかない」
「いいかね、世の中には様々な意見や立場がある。
原発の是非、憲法改正、社会福祉。
中には我々の立場に否定的な人間もいるだろう。
しかし、たとえ意見を同じくできないとしても、この日本を良くしたいと云う心は皆ひとつなのだ。
君は本気で考えたことがあるかね?
この国のために自分は何ができるかと」
山神はウヨクだが、一応パヨクも認めてるんだね。
山神が嫌いなのは、日本を良くしたい、国のために何かしたいと考えない三上のような人間。
では、これに三上はどう答えたか?
「日本のことなんか知ったことかよ。
俺個人のハッピーが一番大事に決まってるだろ。
国のためなんか指一本動かしてたまるかってんだ。
言っとくがなぁ、てめえら戦争好きのせいで戦争が始まったら、とっとと国外逃亡してやるぜ」
徹底した個人主義ですな。
痛快でもある。
僕もこの三上の考え方に近い。
山神のグループに入ってヘイトスピーチをおこなうことで日本のために戦っていると考えている新婦サクラの兄に対しても、三上は手厳しい。
「おい、尊重されたいってのは、てめーのことだろ?
愛国者になって尊重されたかよ、間抜け」
そう、政治運動の本質ってこれじゃないかな?
愛国者になることで満たされる自我。
愛国者というアイデンティティーを得ることで、ちっぽけな自分から抜け出せる。
うめざわしゅん作品は現代社会の病巣を鋭くえぐりますね。
この作品のタイトルは『平成の大飢饉』なんですけど、すべての登場人物の心は満たされず飢えている。
では、この三上と山神の論争の勝者は誰か?
この論争の最中、新郎のひろしと新婦のサクラはテーブルの下でエッチな行為をしている。
おそらく真の勝者はエッチをしているひろしとサクラだろう。
ふたりは、右も左も個人主義も関係なく、性を貪り、生きていることを謳歌している。
言葉は虚しい。
形而下の世界こそ本物。
ヘイト活動をおこなうグループ(=在特会?)の老リーダー山神は結婚式で新郎新婦にこんなスピーチをする。
「言うまでもなく、今のこの平和は先人たちの尊い犠牲の上に成り立っております。
私が若い二人に伝えたいのは先人に恥じることのない誇りある日本人として立派な家庭を築いてもらいたいということです」
〝先人たちの尊い犠牲〟〝誇りある日本人〟
ウルトラ保守のヤバいやつが言いそうなテンプレ発言ですな。
一方、新郎ひろしの友人である主人公・三上は次のようにスピーチする。
「ひろし君、そしてサクラさん、ご結婚おめでとうございます!
僕がひろし君と出会ったのはそう! 小学校の時でした。
ある日、ひろし君が女子の体操着を盗み問題になったのです」
〝誇りある日本人〟であるひろしが体操着泥棒ww
三上は山神を茶化しているのだ。
〝誇りある日本人〟なんて世迷い言。
ひろしはそんな上等な人間ではないし、すべての人間がそうだ。
〝誇りある日本人〟なんて価値観を押しつけてくるな。
これに対して山神は、
「君はひろし君の友人として相応しくないようだな。
彼は生まれ変わったのだ、我々の同志として。
君は自分のことしか考えられない利己主義者だ。
ひろし君にとっても日本にとっても害悪でしかない」
「いいかね、世の中には様々な意見や立場がある。
原発の是非、憲法改正、社会福祉。
中には我々の立場に否定的な人間もいるだろう。
しかし、たとえ意見を同じくできないとしても、この日本を良くしたいと云う心は皆ひとつなのだ。
君は本気で考えたことがあるかね?
この国のために自分は何ができるかと」
山神はウヨクだが、一応パヨクも認めてるんだね。
山神が嫌いなのは、日本を良くしたい、国のために何かしたいと考えない三上のような人間。
では、これに三上はどう答えたか?
「日本のことなんか知ったことかよ。
俺個人のハッピーが一番大事に決まってるだろ。
国のためなんか指一本動かしてたまるかってんだ。
言っとくがなぁ、てめえら戦争好きのせいで戦争が始まったら、とっとと国外逃亡してやるぜ」
徹底した個人主義ですな。
痛快でもある。
僕もこの三上の考え方に近い。
山神のグループに入ってヘイトスピーチをおこなうことで日本のために戦っていると考えている新婦サクラの兄に対しても、三上は手厳しい。
「おい、尊重されたいってのは、てめーのことだろ?
愛国者になって尊重されたかよ、間抜け」
そう、政治運動の本質ってこれじゃないかな?
愛国者になることで満たされる自我。
愛国者というアイデンティティーを得ることで、ちっぽけな自分から抜け出せる。
うめざわしゅん作品は現代社会の病巣を鋭くえぐりますね。
この作品のタイトルは『平成の大飢饉』なんですけど、すべての登場人物の心は満たされず飢えている。
では、この三上と山神の論争の勝者は誰か?
この論争の最中、新郎のひろしと新婦のサクラはテーブルの下でエッチな行為をしている。
おそらく真の勝者はエッチをしているひろしとサクラだろう。
ふたりは、右も左も個人主義も関係なく、性を貪り、生きていることを謳歌している。
言葉は虚しい。
形而下の世界こそ本物。