地租改正、学校教育、製糸場……着実に成果を上げていく留守政府。
一方、岩倉使節団は……外交成果ゼロ。
これでは大久保(瑛太)たちの居場所もなくなるよな。
同時にこれは権力闘争でもある。
大久保、不正で排除された井上馨(忍成修吾)ら長州勢。
これに対するは江藤新平(迫田孝也)、後藤象二郎(瀬川亮)、大隈重信(尾上寛之)、板垣退助(渋川清彦)ら明治政府の反主流派。
薩長 VS 非薩長。
なるほど、これが明治中期の〈自由民権運動〉に繋がっていくのか。
板垣らは政党をつくり、薩長藩閥政治に対抗しようとした。
大久保に関しては、権力闘争のほかに西郷(鈴木亮平)に対するさまざまな感情がありそう。
ひとつは、新政府を取り仕切り、次々に改革を推し進めている西郷に対する劣等感。
ふたつめは、大好きな西郷が江藤たちと仲良くしていることへの嫉妬。
大久保は自分から離れていく西郷を取り戻そうとしたのだろう。
だが、西郷は「江藤たちはよくやっており、切る必要はない」と言う。
西郷が大久保宅を訪ねた時の大久保の姿は孤独で不気味だった。
西郷に会わず、隣の部屋で煙草をふかしながら、ゆう(内田有紀)との会話を聞いている。
窓からさす光と煙草の煙の立ちこめる中、椅子に座った大久保のシルエット。
ハネた頬ひげ。
このシーンの映像、すごく凝ってたな。
西郷宅を出た時は相撲をとる子供たちを見て一瞬、足を止めたが、そのまま歩いていった。
大久保は過去との決別を決心したのだろう。
………………
西郷はまっすぐで単純で純粋である。
国のため民のため、みんなが力を合わせていけばいいと考えている。
だが現実は排除と謀議の権力闘争。
大久保の視点に立てば、西郷が江藤らを仲間にして派閥をつくっているようにも見える。
合議制というのも厄介だ。
大久保は言う。
「欧米に追いつくために大事なのは前へ突き進む力だけじゃ。そいに逆らう者は取り除けばよか」
「議論など無用じゃ」
合議制というのは、それぞれの利害、思惑があってなかなか前に進まない。
大久保がビスマルクを例に出したように、ひとりの強権的な人物が政治をおこなった方が前に進む。
それの行き着く所は〝独裁政治〟なのだが、権力者は常にこの誘惑に駆られている。
現代で言えば、中国の習近平がそれだろう。
明治政府がなかなか議会をつくろうとしなかったのもそのためだ。
とは言え、民主主義は手続きが多くて面倒なシステムだが放棄してはいけない。
独裁は独裁者が間違えば、国や民は奈落の底に落ちていく。
一方、岩倉使節団は……外交成果ゼロ。
これでは大久保(瑛太)たちの居場所もなくなるよな。
同時にこれは権力闘争でもある。
大久保、不正で排除された井上馨(忍成修吾)ら長州勢。
これに対するは江藤新平(迫田孝也)、後藤象二郎(瀬川亮)、大隈重信(尾上寛之)、板垣退助(渋川清彦)ら明治政府の反主流派。
薩長 VS 非薩長。
なるほど、これが明治中期の〈自由民権運動〉に繋がっていくのか。
板垣らは政党をつくり、薩長藩閥政治に対抗しようとした。
大久保に関しては、権力闘争のほかに西郷(鈴木亮平)に対するさまざまな感情がありそう。
ひとつは、新政府を取り仕切り、次々に改革を推し進めている西郷に対する劣等感。
ふたつめは、大好きな西郷が江藤たちと仲良くしていることへの嫉妬。
大久保は自分から離れていく西郷を取り戻そうとしたのだろう。
だが、西郷は「江藤たちはよくやっており、切る必要はない」と言う。
西郷が大久保宅を訪ねた時の大久保の姿は孤独で不気味だった。
西郷に会わず、隣の部屋で煙草をふかしながら、ゆう(内田有紀)との会話を聞いている。
窓からさす光と煙草の煙の立ちこめる中、椅子に座った大久保のシルエット。
ハネた頬ひげ。
このシーンの映像、すごく凝ってたな。
西郷宅を出た時は相撲をとる子供たちを見て一瞬、足を止めたが、そのまま歩いていった。
大久保は過去との決別を決心したのだろう。
………………
西郷はまっすぐで単純で純粋である。
国のため民のため、みんなが力を合わせていけばいいと考えている。
だが現実は排除と謀議の権力闘争。
大久保の視点に立てば、西郷が江藤らを仲間にして派閥をつくっているようにも見える。
合議制というのも厄介だ。
大久保は言う。
「欧米に追いつくために大事なのは前へ突き進む力だけじゃ。そいに逆らう者は取り除けばよか」
「議論など無用じゃ」
合議制というのは、それぞれの利害、思惑があってなかなか前に進まない。
大久保がビスマルクを例に出したように、ひとりの強権的な人物が政治をおこなった方が前に進む。
それの行き着く所は〝独裁政治〟なのだが、権力者は常にこの誘惑に駆られている。
現代で言えば、中国の習近平がそれだろう。
明治政府がなかなか議会をつくろうとしなかったのもそのためだ。
とは言え、民主主義は手続きが多くて面倒なシステムだが放棄してはいけない。
独裁は独裁者が間違えば、国や民は奈落の底に落ちていく。