平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第18回 「愛の夢」~スヤが手に入れた金メダルは『安産の御守り』だった。皆がそれぞれの金メダルを目指して走っている

2019年05月13日 | 大河ドラマ・時代劇
 暴走機関車・金栗四三(中村勘九郎)である。
 四三はオリンピックで走れなかったエネルギーを使い尽くすかのように日本中を走り続ける。
 常人では考えられないパワーと情熱ですね。
 四三を駆り立てているのは何だろう?
 マラソン・駅伝の普及やオリンピックの余熱だけではない気がする。

 そして、日光~東京のマラソンVS駅伝対決。
 当時の盛り上がり方のイメージとしてはアントニオ猪木の異種格闘技戦、モハメド・アリ戦みたいな感じでしょうか?
 で、最終的に四三がたどり着いた言葉が、
「もう日本に走る道はなか。燃え尽きた」

 一方、なかなか走れない人たちがいる。
 孝蔵(森山未來)は噺家の道を走ろうとして浅草に戻ってきたが、もめ事に巻き込まれて遁走。
 走ってはいるが、噺家の道にはなかなか戻れない。
 シマ(杉咲花)も走りたいのに、当時の女子の価値観から、朝、人目を忍んで走ることしかできない。

 ふたりが思いきり走れるのはいつの日か?
 くすぶっている火が猛火に変わり、それを燃料にして走る暴走機関車になる日はやって来るのか?
 四三のように走れた時は最高に気持ちいいんだろうなあ。
 ……………

 四三がスヤ(綾瀬はるか)を妻として紹介しないのには理由があった。
 オリンピックで金メダルを取り『自分を支えたくれた大切な人』として治五郎先生(役所広司)たちに紹介したかったのだ。
 皆の前で、スヤの首に金メダルを掛けてあげたいとも考えていた。

 四三の思いを知ってうれしいスヤ。
 金メダルはなくても、その思いだけで十分なのだが、スヤに思わぬ金メダルがやって来た。
『安産の御守り』だ。
 スヤにとって、御守りは金メダル以上にうれしいもの。
 だから、お産の際に握りしめていた。
 そして、「スッスッ、ハッハッ」。
 お産の時、四三はスヤのそばにいたんですね。
 スヤの頭の中には、手を握り、いっしょに息を合わせてくれる四三がいた。
 実に巧みな作劇だ。
 もともと「スッスッ、ハッハッ」はお産を見て思いついた呼吸法だったが、第1回の伏線が今回回収された。

 人は誰でもそれぞれの金メダルを手にすることができる。
 スヤにとっては御守りと息子・正明。
 足袋屋・黒坂辛作(三宅弘城)にとっては、130キロ走っても破れないゴム底の足袋。
 治五郎先生にとっては神宮外苑のスタジアム。
 孝蔵もシマも自分の金メダルを探している。

 この作品は皆がそれぞれの金メダルを目指して走る物語なのだろう。

コメント (2)
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