平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

八重の桜 第13回「鉄砲と花嫁」~尚之助様を会津に縛りつけてはなんねえのです

2013年04月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 尚之助(長谷川博己)という人物について考えてみる。
 聡明な人物ではあるが、政治家タイプではない。
 政治家タイプとは、ズルさや駆け引き、謀略も厭わず、派閥(仲間)を作り、組織を動かし、戦略的に物事を進めていくタイプ。
 尚之助は実直でやさしく、職人・学者気質の技術屋。
 自分の技術で組織に属さなくても生きていける。
 自由人で根無し草とも言えるかもしれない。
 だから八重(綾瀬はるか)は言う。
「だから、ならぬのです。尚之助様を会津に縛りつけてはなんねえのです」

 一方、尚之助はそんな自分の気質を理解しながら、根を下ろすことを望んでいる様子。
 八重と共に会津の地に生き、技術屋として自分の理想とする鉄砲を作っていく。
 これが彼の夢。
 そして尚之助が妻に八重を選んだのは、もちろん<鉄砲>という共通点を持つ八重という女性に惹かれたからだろうが、もうひとつは<会津>という土地柄が彼に合っていたからだろう。
 会津の実直さ、生真面目さが彼には合っていた。
 実際、会津はブレないし、ズルく立ちまわらない。
 劇中、京では、田中土佐(佐藤B作)が「我らはいったい何と戦っているんであろうのぉ」という嘆くせりふが合ったが、会津は<徳川家と帝を守る>という一点でまったくブレていないのに、世の中の情勢は変わって、疎まれ、「京都派」と陰口をたたかれ、憎まれるようになる。
 世の中の情勢に応じて臨機応変に対処し、自らの力を維持、拡大していくのが政治の世界だと言えばそれまでだが、会津にはそういう柔軟さ、悪く言えばズルさがない。
 勝麟太郎(生瀬勝久)は徳川家と明治政府の二君に仕えたし、西郷(吉川晃司)は会津から長州に鞍替えした。
 話をもとに戻すと、尚之助はそんな実直な会津だったからこそ、この地に根を下ろそうと思ったのだろう。

 しかし、歴史の大きな流れの中では、時代や情勢を的確に読んで臨機応変に対処できない個人・組織は淘汰される。
 黒を白と言えない個人・組織は情勢が変われば、敵視され排除される。
 ぼくは、尚之助や会津の生き方は好きなんですけどね。
 でも一方で、勝麟太郎の生き方も好き。
 むずかしいですね。



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2 コメント

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決断 (TEPO)
2013-04-04 22:01:52
正直申しますと、今回秋月悌次郎に託した覚馬の伝言には最初違和感がありました。
前回の手紙で八重と尚之助との結婚を提案しておきながら、今回は尚之助が会津を離れる可能性を示唆するというのでは、尚之助のためを思っている点では共通するものの、方向がまったく逆だったからです。

しかし、これは二人の選択がそれぞれ自分の熟慮によるものであることを示すためだったようです。
当初、八重と尚之助とは互いに相手のためを思えばこそ「すれ違い」でした。

八重は
>自由人で根無し草とも言えるかもしれない
尚之助を縛りたくない、と思っていました。

しかし、尚之助は象山の運命が示す「藩」というものの冷酷さを考えた上で

>自分の技術で組織に属さなくても生きていける
確信を得た上で、八重への求婚を決断したわけでした。

尚之助の決断は、覚馬の中にあった矛盾-「八重と共に会津で生きて欲しい」という思いと「自由人であることを大事にして欲しい」という思い-を同時に解決するものだったわけです。

しかし、禁門の変の勝利と尚之助との結婚は会津藩にとっても八重にとっても最も幸福な瞬間だと思います。
今を絶頂にこれから運命は一挙に急落するのでしょうね。
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同時に解決 (コウジ)
2013-04-05 10:05:54
TEPOさん

>自分の技術で組織に属さなくても生きていける
>確信を得た上で、八重への求婚を決断したわけでした。

お見事な尚之助の心の中の分析ですね。
自分の鉄砲の技術があれば、いざとなれば藩に頼らなくても、八重を養っていける。
だから結婚を決意した。
納得です。

>尚之助の決断は、覚馬の中にあった矛盾-「八重と共に会津で生きて欲しい」という思いと「自由人であることを大事にして欲しい」という思い-を同時に解決するものだったわけです。

というのも。
遠く離れていても、覚馬と尚之助は理解し合っているんですね。
覚馬は尚之助のことを真剣に考え、何がベストであるかを提案し、尚之助もその提案の意図を理解し、そこに強い友情を感じ、ベストの決断をしている。
いい関係だと思います。

今後の運命が彼らにどのようなドラマをもたらすのか楽しみです。
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