平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第42回「夢のゆくえ」~今が一番幸せ。力を持つってことはしんどいな……

2022年11月07日 | 大河ドラマ・時代劇
 義時(小栗旬) VS 実朝(柿澤勇人)
 実朝は後鳥羽上皇(尾上松也)を後ろ盾にし、泰時(坂口健太郎)を側近にする。
 これで自分の政治をおこなおうとしているのだ。

 しかし実朝の政治はなかなか上手くいかない。
 将軍領の年貢の漸次軽減。
 漸次は泰時の案だ。
 だが、他の土地の者から不満が出る。
 こうなることがわかっているのにやってしまったのは経験不足ゆえか。
 これに義時は激怒。
「鎌倉殿を責めているのではない。まわりの者がしっかりしろ、と申しておる!」

 義時は「実朝・泰時体制の政治」に期待していたのかも。
 あるいは、
 失敗を通して政治というのは一筋縄ではいかないことを教えたかったのかもしれない。

 そして義時の懸念は、実朝が西の方・後鳥羽上皇に傾倒していること。
 これではせっかく築いた武家政権が取り込まれてしまう。

 義時の行為は「北条や自分の権力のため」というよりは「鎌倉のため」なのだろう。
 だから、なかなか「執権」にならなかった。

 ただ、実朝の夢だった宋への船を頓挫させたのはなあ……。
 知世(加藤小夏)もいっしょに宋に行けることを楽しみにしていたのに。
 義時は非情である。

 義時の行為は八田知家(市原隼人)の夢も壊してしまった。
「最後に夢のある仕事に出会えた。この船が完成すれば思い残すことはない」

 義時はまた罪を重ねてしまった。
 ………………………………………………………

 義時 VS 実朝
 この対立軸に変化が起きた。
 政子(小池栄子)だ。

 政子には権力志向がなく、本音は昔の和気あいあいの生活を望んでいた。
 自分が政治に口を出すべきではないとも考えていた。
 そんな政子を丹後局(鈴木京香)は諫めた。
「覚悟を決めなさい」
「源頼朝の妻になった以上人並みの生活を望んではなりません」
「何のために生まれて来たのか、何のためにつらい思いをしてきたのか、いずれわかる時が来ます」
 大江広元(栗原英雄)も、時代が変わり、朝廷と共存共栄していくのが正しいと考えるようになっていた。

 丹後局と大江広元の言葉を得て、政子は変わる。
「とうに腹をくくったはずなのにだめですね」
 義時にも言う。
「あなたは言ったはずです!
 北条あっての鎌倉ではなく、鎌倉あっての北条だと。
 まずは鎌倉のことを考えなさい!」

 義時、孤立無援。
 すぐ脱ぐ男・三浦義村(山本耕史)もいつ裏切るかわからないし……。
 義時の行為が「鎌倉のため」にやっているとしたら、つらいな。

 すべては鎌倉のため。
 鎌倉の政治基盤をしっかりとしたものにするため。
 次世代を担う実朝、泰時を育てるため。
 義時の本心はここにあると思う。

 そして時政(坂東彌十郎)退場。
 穏やかな顔になった時政は言う。
「今が一番幸せ。力を持つってことはしんどいな」

 先程の「人並みの生活」を望んだ政子の愚痴もそうだが、
 作品のテーマのひとつは、この時政の言葉にあると思う。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「裏世界ピクニック」 宮澤伊... | トップ | 相棒21 「眠る爆弾」 ~今回... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
追い込まれている義時 (TEPO)
2022-11-07 20:29:05
>これではせっかく築いた武家政権が取り込まれてしまう。

「義時 VS 実朝」というよりは、すでに「義時 VS 後鳥羽上皇」の「ラスボス戦」の図式が出来ていると見るべきでしょう。
義時は、後鳥羽上皇が自分を敵視していることを泉親衡の一件からもすでに承知している筈です。
和田義盛の件で義時に反発した結果、実朝が進んで上皇陣営側につくよう追いやってしまったといったところかと思います。
それどころか今回は、実朝に加えて「善玉代表」の愛息泰時や政子までもが上皇陣営に「籠絡され取り込まれてしまった」というのが、義時視点から見た現状でしょう。
ここで、上皇側の「工作員」として暗躍しているのが源仲章。
この人、平賀朝雅を焚き付けて、時政・りく夫妻の子北条政範を毒殺させてもいましたね。

>義時はまた罪を重ねてしまった。

トウを従えた時房による設計図改竄は実朝、知世、八田知家らの「夢」を打ち壊してしまったわけで、たしかに義時の「非情さ」を印象づけています。
しかし、義時視点から見れば「唐船計画」そのものが、「上皇→工作員仲章ライン」による策謀の産物であり、いわば防衛的な妨害工作ということになるのでしょう。
まあ、あくまでも「義時視点から」ということであり、この視点そのものがすでにかなり苦しいものになってきてはいます。

先のことになりますが、「史実」では実朝暗殺に際して公暁は義時と誤認して源仲章をも殺害したとのことです。
「工作員」の末路ですが、仲章は死に、義時は生き残った背景にはいかなる事情を三谷氏が描くのかが興味深いところです。
そして今回、問題の人公暁が鎌倉に戻ってきました。
公暁は頼朝の孫であり、実朝を中心とする「親上皇」陣営の構想にとっては当然波乱要素となることでしょう。
少なくとも一時的に義時陣営と手を組むのか、彼の今後の立ち位置なども要注目かと思います。
返信する
義時視点 (コウジ)
2022-11-08 09:29:28
TEPOさん

いつもありがとうございます。

現状では、義時はあまり本音を語りませんので何を考えているのか、わかりづらいんですよね。
ところが「義時視点」で見てみると、TEPOさんがおっしゃるとおり、違った現実が見えて来ます。
義時視点で見ると、鎌倉幕府は後鳥羽上皇に取り込まれつつあるんですよね。

そして、これに対応するために義時は謀略を使うわけですが、やはり後鳥羽上皇の謀略には謀略で対抗するしかないんですよね。
正論やきれいごとでは簡単にしてやられてしまう。
政治の世界とは大変です。
汚れなくては生きていけない。

実朝暗殺はどのように描かれるんでしょうね。
SPのトーク番組では小栗さんが「鶴岡八幡宮の撮影に行っていた」と語っていましたが、義時は現場に居合わせたのでしょうか?
公暁を焚きつけて間接的に実朝暗殺に荷担するのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

大河ドラマ・時代劇」カテゴリの最新記事