平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「結婚できない男」のすごさ

2010年03月07日 | 恋愛ドラマ
 ドラマ「結婚できない男」のすごい所はマニアックに楽しめる所。

 たとえば、阿部寛さんが演じる桑野信介が通うコンビニの女性店員。
 毎回「ポイントカードはお持ちですか?」とマニュアルどおりの応対をするが、回を追うごとに「ポイントカードはお持ちじゃないですよね」になり、ついにはポイントカードについて訊かなくなる。
 コンビニでの何気ない日常のやりとりだが、毎回微妙に違っていて、それが少しずつ進化している。
 そして最終回には、コンビニの店員は結婚指輪をはめていて、信介がコンビニと共によく行くレンタルビデオ店の店員と結婚したことがほのめかされる。
 この店員と信介のやりとりには、たとえば「結婚したの?」みたいな突っ込んだ会話はない。あくまでレジのやりとりのみ。

 小道具の使い方もマニアック。
 たとえば、コンビニの抽選で当たったゼンマイ仕掛けのおもちゃの景品が数話後に登場する。
 信介はひまつぶしにその景品で遊んでいるという何気ないシーンなのだが、マニアックに見ていると、数話前に景品で当てたおもちゃだなとわかる。
 夏川結衣さんが演じる夏美さんの父親が結婚した時の引き出物の皿も、その後登場する。
 何と犬のケンちゃんを預かった時にエサを入れる皿として出て来るのだ。
 お祭りの金魚すくいで獲得した金魚もそう。
 最終回のラストカットで金魚が二匹になっており、信介と夏美さんが結婚したことを暗示している。

 この様に作品の中の小さな変化を楽しむのが、「結婚できない男」の楽しみ方。
 小さな変化と言えば、夏美さんとの会話もそう。
 最初はお互いを皮肉り批判し合うドッジボールの様な会話だったのが、次第に言葉の応酬を楽しむかけ合い漫才の様になり、他人からは夫婦ゲンカのように聞こえ、やがてはキャッチボールになる。
 会話の微妙な変化で、近づくふたりの関係を描いているのだ。

 「結婚できない男」は登場人物のキャラクターとディティルの微妙な変化で見せてしまう作品。
 この作品を見ると、ドラマにおける<大きな事件>や<ドラマチックなこと>などは重要な要素でないことが分かりますね。
 マニアックな作品がお好きな方にはお薦めの作品です。

 「結婚できない男」名セリフはこちら



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