「殿のご運が開けたのですぞ。
開けました。
ご運が開けました。
上様の死を毛利に悟られる事なくすぐさま京に引き返し、誰よりも早く謀反人・明智光秀を討つのです。
それこそが亡き上様のため。そして、天下のためでございます」
岡田准一さんはこのシーンを演じたくて官兵衛役を引き受けたとか。
岡田さんいはく、<大河ドラマの主人公史上、最高の悪役顔>。
やっぱり芝居は目ですね。
まっすぐに信念を語る官兵衛の目と、うろたえながらも次第に力を取り戻していく秀吉(竹中直人)の目。
ただ、この官兵衛の目には、単に<平和な世をつくる>といったこと以上のさまざまなものが入り交じってるんでしょうね。
<秀吉を通じて大きな政治の場で活躍できる>とか<秀吉の天下取りを画策できる>といった野心、欲望、高揚感。
再放送でもう一度確かめてみます。
ちなみに19時30分からやっていた番宣番組では、官兵衛が「開けました。ご運が開けました」と繰り返したのは、岡田さんのアドリブだとか。
演技というのは奥が深い。
長谷川宗仁の使者が来てからの<溜め>もよかった。
なかなか本能寺のことをなかなか伝えない。
人払いをして、相手が官兵衛であることを確認して……。
視聴者は「早く伝えろよ」とヤキモキする。
官兵衛が信長の死を知ってからも溜める。
使者を手厚くもてなすように言った後、「誰も入れるな」と言って、ひとりでうろたえながら考える。
結論を出した後、すぐに秀吉の所に行くかと思いきや、善助(濱田岳)に耳打ちして「毛利に知られてはならぬ。網を張れ」と指示する。
秀吉の所に行ってからは、いったん秀吉に密書を手渡そうとして引っ込める。
ともかく溜めるなぁ。
でも、この<溜め>がなかなか気持ちいい。
安国寺恵瓊(山路和弘)との会談では、
「秀吉様に天下に名乗りをあげる好機が訪れたのです。
織田信長殿が亡くなられました。明智光秀の謀叛でござる」
と手の内を明かしてしまった。
官兵衛は、今までの流れで、恵瓊なら<秀吉が天下を取ること>に賛同し、協力してくれると考えたのだろう。
なかなか面白い解釈。
恵瓊との信頼がなくては出来ない判断。
今回と次回は『軍師官兵衛』の最大の見せ場ですね。
その他のパートでは<生きること>のオンパレード。
★信長(江口洋介)は襖を開けながら「生か死か」と最後の最後まで迷う。生きることをあきらめない。
そして、最後の襖を開けた時、部屋が燃えているのを見て「死」を覚悟する。
最期の言葉は「生きるも死ぬも一度限り、存分に生きたぞ」
★おね(黒木瞳)は「逃げるのです」「城より命」
★家康(寺尾聰)は一度潔く死ぬことを考えるが、山越えで勝機があるとわかると、「生きて三河に帰る。一同頼んだぞ」
★小寺政職(片岡鶴太郎)は、官兵衛に裏切りのことを謝り、妻のお紺に叱られに行くと言い、息子の氏職のことを頼んで死んでいく。
政職もまた政職なりに必死に生きた人間と言えよう。
また、政職にとって、真に心を通わせ、信頼できた人間は、官兵衛、お紺、氏職だったということなのでしょうね。
戦乱の世でなければ、地方の大名として、妻を愛し、子を愛し、ときどき浮気をして、平凡に生涯を全うできたであろう政職。
とても哀しい人生だが、最期は穏やかに息を引き取ることが出来たようだ。
最後に、お濃(内田有紀)さん、強い!(笑)
こんな能力を持っていたなんて!
開けました。
ご運が開けました。
上様の死を毛利に悟られる事なくすぐさま京に引き返し、誰よりも早く謀反人・明智光秀を討つのです。
それこそが亡き上様のため。そして、天下のためでございます」
岡田准一さんはこのシーンを演じたくて官兵衛役を引き受けたとか。
岡田さんいはく、<大河ドラマの主人公史上、最高の悪役顔>。
やっぱり芝居は目ですね。
まっすぐに信念を語る官兵衛の目と、うろたえながらも次第に力を取り戻していく秀吉(竹中直人)の目。
ただ、この官兵衛の目には、単に<平和な世をつくる>といったこと以上のさまざまなものが入り交じってるんでしょうね。
<秀吉を通じて大きな政治の場で活躍できる>とか<秀吉の天下取りを画策できる>といった野心、欲望、高揚感。
再放送でもう一度確かめてみます。
ちなみに19時30分からやっていた番宣番組では、官兵衛が「開けました。ご運が開けました」と繰り返したのは、岡田さんのアドリブだとか。
演技というのは奥が深い。
長谷川宗仁の使者が来てからの<溜め>もよかった。
なかなか本能寺のことをなかなか伝えない。
人払いをして、相手が官兵衛であることを確認して……。
視聴者は「早く伝えろよ」とヤキモキする。
官兵衛が信長の死を知ってからも溜める。
使者を手厚くもてなすように言った後、「誰も入れるな」と言って、ひとりでうろたえながら考える。
結論を出した後、すぐに秀吉の所に行くかと思いきや、善助(濱田岳)に耳打ちして「毛利に知られてはならぬ。網を張れ」と指示する。
秀吉の所に行ってからは、いったん秀吉に密書を手渡そうとして引っ込める。
ともかく溜めるなぁ。
でも、この<溜め>がなかなか気持ちいい。
安国寺恵瓊(山路和弘)との会談では、
「秀吉様に天下に名乗りをあげる好機が訪れたのです。
織田信長殿が亡くなられました。明智光秀の謀叛でござる」
と手の内を明かしてしまった。
官兵衛は、今までの流れで、恵瓊なら<秀吉が天下を取ること>に賛同し、協力してくれると考えたのだろう。
なかなか面白い解釈。
恵瓊との信頼がなくては出来ない判断。
今回と次回は『軍師官兵衛』の最大の見せ場ですね。
その他のパートでは<生きること>のオンパレード。
★信長(江口洋介)は襖を開けながら「生か死か」と最後の最後まで迷う。生きることをあきらめない。
そして、最後の襖を開けた時、部屋が燃えているのを見て「死」を覚悟する。
最期の言葉は「生きるも死ぬも一度限り、存分に生きたぞ」
★おね(黒木瞳)は「逃げるのです」「城より命」
★家康(寺尾聰)は一度潔く死ぬことを考えるが、山越えで勝機があるとわかると、「生きて三河に帰る。一同頼んだぞ」
★小寺政職(片岡鶴太郎)は、官兵衛に裏切りのことを謝り、妻のお紺に叱られに行くと言い、息子の氏職のことを頼んで死んでいく。
政職もまた政職なりに必死に生きた人間と言えよう。
また、政職にとって、真に心を通わせ、信頼できた人間は、官兵衛、お紺、氏職だったということなのでしょうね。
戦乱の世でなければ、地方の大名として、妻を愛し、子を愛し、ときどき浮気をして、平凡に生涯を全うできたであろう政職。
とても哀しい人生だが、最期は穏やかに息を引き取ることが出来たようだ。
最後に、お濃(内田有紀)さん、強い!(笑)
こんな能力を持っていたなんて!
>でも、この<溜め>がなかなか気持ちいい。
私はコウジさんに倣ってなるべく褒める方針でいますので、「分かりやすい伏線」「安心感のある展開」などと肯定的な書き方をしてきましたが、言い方を変えればこれまでは素人でも見当のつく「お約束」の連続だった、と言うこともできます。
今回はドラマとしての厚みが格段に増した感じがしましたが、<溜め>もその秘密だったわけですね。
あと、恵瓊との接触をどう描くかにも興味がありました。26話のときに
>この段階で恵瓊が秀吉に対して好意を示していることは後の展開に照らして重要な含みがあるように思います。
とは書きましたが、秘密を明かすところまで行ったのには-ことによると行くかも知れないとは思っていましたが-少し驚きました。
官兵衛は恵瓊を信じることに賭けた、ということなのでしょう。
大河を見る人なら誰もが史実を知っている中で、「ドラマとして見せる」作品になってきたように思いました。
いつもありがとうございます。
誰もが知っている<本能寺の変>をどう描くかは作家の腕の見せ所ですよね。
今回の前川流は僕的にはなかなかよかったです。
恵瓊に秘密を明かしたことには、歴史ファンを中心にしていろいろ批判があるようですね。
でも、これが前川オリジナルですし、基本的には歴史を素材にしたフィクション。
もしかしたら史書に描かれていないだけで、こういう密約があったかもしれませんし。
この官兵衛と恵瓊の関係は、今後も作品の中で重要な役割を果たしていくのかもしれませんね。
今回はまさに
>大河を見る人なら誰もが史実を知っている中で、「ドラマとして見せる」作品
でしたよね。