平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

のぼうの城~長親と三成の人望

2014年01月08日 | 邦画
 人望の物語だ。
 成田長親(野村萬斎)には人望がある。
「あいつは頼りないから俺が何とかしてやらなければ」と部下に思わせる人望。
 一方、石田三成(上地雄輔)。
 三成は自分が一番優れていると思っている。
 唯一、尊敬しているのは豊臣秀吉だが、その他の人間は見下しているし、友である大谷吉継(山田孝之)らの意見も聞こうとしない。
 部下の気持ちも分からない。
 三成は主君・秀吉から水攻めという戦術は学んだが、人たらしの術は学べなかった。
 これが秀才で優れた官僚である三成の、人としての限界であった。

 のぼう様、長親には明るさもある。
 彼の演じた田楽では、敵も味方も大笑いする。
 一瞬で戦場の空気を変えてしまう。
 一方、三成。
 現場にあるのは不信と反目、ぴりぴりした空気。
 こういう組織は劣勢にまわると弱い。

 中盤から後半、長親は大きく変わる。
 のぼう様から領主になる。
 わざと撃たれて味方の士気をあげようとする捨て身の行動。
 開城時の理不尽な要求には、体を張って抵抗する。
 長親を強くしたのは、いっしょに戦った領民や家臣への思いゆえだろう。
 領民や家臣の生活を守るために彼は突っぱる。

 結果として成田家は負けた。
 圧倒的な力の前には仕方がない。
 しかし、人として、心として勝ったのは……。

 のぼうの城・忍城は現在は三成の造った堤しか残っていないという。
 三成のプライドを賭けた情熱も長親の奮戦も今は昔。
 諸行無常。
 しかし、物は壊れるが、人の心はこうした物語として語り継がれる。
 人は死しても<心>は残る。



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