平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第40回「罠と罠」~憑き物が落ちて心が穏やかになった義時

2022年10月24日 | 大河ドラマ・時代劇
 政子(小池栄子)は義時(小栗旬)に言う。
「もう誰も死なせたくないのです!」
「いくさをせずに鎌倉を栄えさせてみよ!」
「何を怖れているのです?」

 泰時(坂口健太郎)は言う。
「わたしは敵をつくらず皆で笑える世をつくる!」
「父上は間違っている!」

 実朝(柿澤勇人)は和田義盛(横田栄司)を「北条家に伝わる秘伝(成功率50%)」で呼び、
 義時と義盛の仲裁をする。
 その仲裁を経て義盛は義時に、
・頭がよく心のやさしい実朝の下で鎌倉を共に盛り立てていくこと
・義時が政治を行ない、自分が御家人をまとめ、外の敵と戦うこと
 を語る。

 これで義時も和田討伐を諦めたようだ。
 というより憑き物が落ちたように穏やかな顔になった。
 義時が楽になった瞬間だ。

 義時に取り憑いていたものとは何か?
「北条が板東武者の頂点に立って板東を治める」という兄の言葉であり、
「最も頼りになる者が最も怖ろしい」と語って上総介(佐藤浩市)を殺害した頼朝(大泉洋)の言葉である。

 義時は自分の言葉を失っていた。
 政子、泰時、義盛は自分の言葉で話しているのに、兄や頼朝の言葉に囚われていた。

 穏やかになった義時。
 権力の維持で汲々とし、反逆を怖れて不安でいっぱいだった自分から解放された。
 木簡を数えていたかつての自分に戻れた。
 うん、これでいいと思うなあ。
 これが人として一番幸せな生き方だと思う。

 しかし、歴史は皮肉なもので……。

 話がすこしはずれるが、ロシアのプーチンは義時と同じ状態なんだろうな。
 周囲が皆、敵に見えて強権政治をおこなう。
 権力を失えば報復に遭うことがわかっているから権力を維持しようとする。
 三谷幸喜さんは、義時を書く時、プーチンをイメージしたのではないか?
 …………………………………………

 実朝は初めて自分の意思を示して鎌倉殿の仕事をした。
 義時と義盛の仲裁といくさの回避だ。
 義盛が言うように、実朝は「心優しい人」なんですよね。
 甘さもあるが、こういう人がトップだと「仁政」をおこなえる。

 実朝がこんなふうになれたのは、知世(加藤小夏)に自分の秘密を話したからだろう。
 これで肩の荷が少し下りたし、知世はこれを受け入れてくれた。
 知世という理解者・心を通わせる人が出来て、すこし強くなれた。

 歩き巫女(大竹しのぶ)に寄れば、
 実朝・知世の夫婦は「幸せ3、寂しさ7」だそうである。
 でも、歩き巫女が言うとおり、幸せが3あるだけでもいいことだよなあ。
 今までの実朝には「幸せ3」もなかった。

「幸せ3」があるだけでも十分。
 このことを忘れずに生きていこう。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1ドル150円に突入!~輸出企... | トップ | 朝ドラヒロイン~「舞い上が... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「史実」にいたるまでの「味付け」 (TEPO)
2022-10-24 23:34:09
>これで義時も和田討伐を諦めたようだ。というより憑き物が落ちたように穏やかな顔になった。

ストーリーの確認ですが、この時点では本当に義時は「和田討伐を諦めた」のですね。
まあ、時房が臨戦態勢の解除を進言し、これを認めているところからもそうなのだろうと思います。
史実の結末についての知識があるので、どうしてもその方向へ一直線に進むかのような先入観があるのですが、本作ではそこに至る「紆余曲折」の味付けが多いのが特徴かと思います。
そうした「味付け」で印象的だったのは時政退場の際の「一時の家族団欒」の場面。
時政の「覚悟」も相俟って、単純に「史実の結末」を追うだけでは見えない「良かった」という思いを残してくれていました。

「味付け」のもう一つのタイプとして、あと一歩で「史実の結末」とは違った方向に行っていたのに、という「惜しい場面」の設定もありました。
木曽義高脱出計画がそれでした。
今回の実朝、政子らによる義盛・義時の「和解」劇もそうしたタイプなのでしょうか。

>しかし、歴史は皮肉なもので……。

おそらく、和田一族の憤激はもはや義盛もコントロールできなくなっていて「史実の結末」に向かう、といったところなのでしょうか。

ところで、「人格的な愛情」の絆で結ばれた実朝・知世夫妻の「幸せ3」は輝いていますね。
特に、知世さんは「お姫様中のお姫様」。
「にもかかわらず」―苦労知らず、我が儘であっても不思議ではないのに、という意味で―と言うべきか。あるいは
「だからこそ」―真に高貴な心をもっているから、という意味で―と言うべきか。
実に魅力的なキャラだと思います。
返信する
義時のほっとしたため息で (コウジ)
2022-10-25 09:07:45
TEPOさん

いつもありがとうございます。

僕は義時のほっとしたようなため息で、諦めたと理解しました。
義盛が、実朝が聡明で心が優しいと語ったことで、頼朝のやり方ではなく、実朝のやり方に委ねてみようと思ったのかもしれません。
次回の展開は
>和田一族の憤激はもはや義盛もコントロールできなくなっていて「史実の結末」に向かう、
という流れだと思います。

知世さんは上手く裏切りましたね。
普通なら苦労知らずの我がままなお姫様と描く所ですが、あの慈愛と高貴さは本当に美しい。
殺伐とした世界の中、あのふたりは光ですよね。
返信する

コメントを投稿

大河ドラマ・時代劇」カテゴリの最新記事