決心した瀬名(有村架純)は木彫りのウサギを握りしめていた。
木彫りのウサギ──家康(松本潤)の心のやさしさの象徴だ。
家康はいくさに明け暮れ、瀬名に預けたまま、これを取りに来ていない。
瀬名は家康から心の優しさが失われていくのを怖れているのだろう。
信長(岡田准一)について行くというのは、そういうことだ。
実際、家康は信長の命を受け、水野信元(寺島進)を殺害した。
その行為に家康は苦しんだが、いずれ麻痺して平気になるのは時間の問題かもしれない。
信康(細田佳央太)は無理をして、壊れつつある。
荒ぶる信康は不安の裏返し。
信康のやさしい心は悲鳴をあげている、
「悪いのは父上じゃ!」
「父上は織田の犬じゃ!」
「皆が強くなれと言うから私は強くなりました。
しかし、私は私でなくなりました。
いつまで戦えばいいのですか? いつまで人を殺すのですか?」
消耗した信康や麻痺している家康を見て、瀬名はこのまま織田について行くのは危ういと考えた。
「畏れ多い謀(はかりごと)」をすることにした。
木彫りのウサギをもう一度、思い出してほしいと考えた。
これは命がけの訴えだ。
口で言っただけでは家康に一蹴されてしまうだろうから、
瀬名は命を懸けて歌照ることにした。
幸い、亀(當真あみ)も嫁いで母から離れた人生を歩もうとしている。
新しい家康の心の拠り所として、お愛(広瀬アリス)も来てくれた。
次回、瀬名は信長に何を語るのだろう。
瀬名の言葉は家康の心に何を刻むのだろう。
家康は鈍い。
信康があんなに苦しんでいるのに「血気盛んな頼もしい武者」としか見ていない。
瀬名がこんなにいろいろなことを考えているのに、
瀬名を「草花が好きなたおやかな妻」としかみていない。
ただ、漠とした不安や葛藤はあるのだろう。
だから、お愛を求めた。
………………………………………………
お愛を瀬名は家康の新しい心の拠り所としてふさわしいと考えたようだ。
まずウソをつかない。
自分を平気でなまけ者と言える。
得意なことは食べることと寝ること。
おおらか。
良い笑顔。
笛を吹くと笑いが起きる。笑
普通の人間としての理想型だ。
「愛や、殿のことよろしくお願いします」
瀬名は家康に、食べて寝て、なまけて、笑顔で、笑って過ごす生活を送ってもらいたかったのだろう。
木彫りのウサギ──家康(松本潤)の心のやさしさの象徴だ。
家康はいくさに明け暮れ、瀬名に預けたまま、これを取りに来ていない。
瀬名は家康から心の優しさが失われていくのを怖れているのだろう。
信長(岡田准一)について行くというのは、そういうことだ。
実際、家康は信長の命を受け、水野信元(寺島進)を殺害した。
その行為に家康は苦しんだが、いずれ麻痺して平気になるのは時間の問題かもしれない。
信康(細田佳央太)は無理をして、壊れつつある。
荒ぶる信康は不安の裏返し。
信康のやさしい心は悲鳴をあげている、
「悪いのは父上じゃ!」
「父上は織田の犬じゃ!」
「皆が強くなれと言うから私は強くなりました。
しかし、私は私でなくなりました。
いつまで戦えばいいのですか? いつまで人を殺すのですか?」
消耗した信康や麻痺している家康を見て、瀬名はこのまま織田について行くのは危ういと考えた。
「畏れ多い謀(はかりごと)」をすることにした。
木彫りのウサギをもう一度、思い出してほしいと考えた。
これは命がけの訴えだ。
口で言っただけでは家康に一蹴されてしまうだろうから、
瀬名は命を懸けて歌照ることにした。
幸い、亀(當真あみ)も嫁いで母から離れた人生を歩もうとしている。
新しい家康の心の拠り所として、お愛(広瀬アリス)も来てくれた。
次回、瀬名は信長に何を語るのだろう。
瀬名の言葉は家康の心に何を刻むのだろう。
家康は鈍い。
信康があんなに苦しんでいるのに「血気盛んな頼もしい武者」としか見ていない。
瀬名がこんなにいろいろなことを考えているのに、
瀬名を「草花が好きなたおやかな妻」としかみていない。
ただ、漠とした不安や葛藤はあるのだろう。
だから、お愛を求めた。
………………………………………………
お愛を瀬名は家康の新しい心の拠り所としてふさわしいと考えたようだ。
まずウソをつかない。
自分を平気でなまけ者と言える。
得意なことは食べることと寝ること。
おおらか。
良い笑顔。
笛を吹くと笑いが起きる。笑
普通の人間としての理想型だ。
「愛や、殿のことよろしくお願いします」
瀬名は家康に、食べて寝て、なまけて、笑顔で、笑って過ごす生活を送ってもらいたかったのだろう。
「側室」として遇されていながら側室の務めは果たせず、「せめても」と家康の肩揉みに励んでいる。
「鎌倉殿」の実朝夫妻が「性愛抜きの熱愛夫婦」だったように、「性愛抜きの良き側室」―これってほとんど形容矛盾ですが―だったようです。
もともと「デキる女」である上に「正式な側室」の地位もあるお葉は、浜松城の女房衆を束ねる管理職的な立場にあったことでしょう。
彼女は「本当の側室」が必要だと考え、万千代と間違えて家康の尻を叩いてしまったお愛を敢えて選びました。
お愛(=西郷局)が極度の近眼だったのは史実のようです。
瀬名にお愛を推挙する際「笛が上手で働き者」という「仲人口」的なウソをつくなど、お葉には「紋切り型」の態度も見られました。
しかし、お葉はお愛がそうした「紋切り型」を打ち破ってゆく度ごとにお愛に対する評価を確信していったように見えます。
「笛が上手」という前提でお愛を家康の寝所に連れてきたが音を外す。
家康に続けるように言われて再度音を外したところで、家康とお愛とが笑い合うのを見て、お葉は席を立つ。
「もう大丈夫」と思ったのでしょう。
お葉が去った後、お愛が三度目に音を外した際に、家康の背中が笑っていました。
さて、いよいよ築山事件が間近。
五徳は瀬名について密告したのに、信長は家康に水野信元の誅殺を命じました。
信元自身が語っていたように、これは家康への警告でしょう。
瀬名が門番と侍女を入れ替えたことは、自分が監視されていることに気づいており、同時にこの措置が信長のさらなる警戒を呼ぶことも理解していることを意味します。
亀姫を送り出し、お愛を認めることにより、瀬名には覚悟ができていたようでした。
ただ、「畏れ多い謀」の具体的な内実はまだ明かされていません。
前半―いやことによると本作全体―の最大の山場、納得の行く「仕掛け」を期待したいところです。
いつもありがとうございます。
>家康とお愛とが笑い合うのを見て、お葉は席を立つ。「もう大丈夫」と思ったのでしょう。
お葉さんの描写、おっしゃるとおり丁寧でしたね。
このくらい丁寧に描いてくれると、心地良いです。
脚本の古沢良太さん、登場する女性たちが皆、魅力的で、女性の描き方が上手いと思いました。
さて肝心の瀬名の描写はどうなるのでしょう?
築山事件の描き方も丁寧ですよね。
いきなり信長の逆鱗に触れるということをせず、水野信元で警告しておいて、ジワジワと外堀を埋めていく描写をしています。
さて、最終的にはどう描写されるのでしょう。
確かに前半の山場ですね。
瀬名はラストで何を語るのか?
「やさしい心を失わないでほしい」
あるいは、もっと踏み込んで、
「欣求浄土を考えるなら、あなたが天下を取りなさい」
と叱咤するのでしょうか?
今の家康には信長についていくだけで「戦略」がないんですよね。
瀬名の方がよほど戦略的に考えていて、だからクーデターの家来や信康から「いつまでいくさをするのか?」と不平が出てしまう。
・瀬名と信康を失って失意の家康に天下取りの戦略を授けるために、軍師・本多正信が帰って来る。
そんな展開を期待してしまいます。