平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

家売るオンナ 最終話~会社の犬! 大切なのは私の背負ったお客様の人生です!

2016年09月15日 | 職業ドラマ
「大切なのは私の背負ったお客様の人生です!」
〝会社の犬〟と言って屋代(仲村トオル)を責めた時の三軒屋万智(北川景子)のせりふだ。

 万智が大切にしているのは、〝組織の論理〟よりは〝個人〟なんですね。
 決して長いものには巻かれない。
 大きなものに取り込まれて自分の信念を曲げることをしない。

 もっともこれが出来るのは、万智に<組織を離れてもひとりで生きていけるスキル>があるからだろう。
 そうしたスキルのない者は組織にしがみついて生きていくしかない。
 万智が、サンチー不動産のパートナーとして庭野(工藤阿須加)ではなく屋代を選んだのは、庭野にはまだそれがないからかな?
 自分について来ても庭野は苦労するだけだと考えた。
 …………………………

 どうすれば、その人が幸せに生きていけるかを考えているのも万智だ。
 もちろん、万智は万能ではなく、相手の人生を完全に引き受けることは出来ないのだが、まずは真剣に考える。
 相手を叱咤し、厳しいことも言う。
 白洲美加(イモトアヤコ)にはこう言った。
「あなたは仕事に向いていない。自分の足で立てない。
 守ってくれる人を見つけなさい。
 それが白洲美加の生きる道です」
 結果、美加は結婚して幸せに。
 前半の「あなたは仕事に向いていない。自分の足で立てない」はなかなか言えないが、僕もずっと会社員をやっていたので、言ってることはよくわかる。
 新入社員を見て〝この人、絶対この仕事に向いてない。辞めて他の道を探した方がいいのではないか?〟と思うことは何度もあったし。
 もちろん、そうした社員が三年経つと仕事をガンガンやっていたりして、軽々に決めつけられないのだが……。
 …………………………

「愛はお金」
「この世で大抵のことはお金で解決できます」
 こう言い切れるのも万智だ。
 お金で苦労してきた万智は<お金が人を幸せにすること>を知っている。
 お金に執着することは恥ずべきことだ、などという変な道徳心は持っていない。
 そう言えば、この作品で<手切れ金のマンションをもらっておきなさいと愛人に勧めるエピソード>があったが、手切れ金のマンションもまさにそれ。
 日テレの「愛は地球を救う」の24時間テレビだって、結局は「愛はお金」、寄付金集めですしね。
 …………………………

 三軒屋万智は、厳しい現実の中でどう生きていけばいいかと教えてくれる。
・引きこもりには家賃収入を
・捨てられた愛人には手切れ金のマンションを
・仕事に向いていない人には結婚を
 第2話で万智は庭野に「つまらない常識や狭い価値観でものを言うな!」と叱ったが、彼女は<つまらない常識や狭い価値観>に囚われていない。
 それらに囚われていたら、シビアな現実で生きにくくなるからだ。
 白洲美加が実家にこだわったエピソードが示すように、囚われの時間は時間の浪費でしかないからだ。
 
 全編にわたって脚本・大石静さんの主張がバリバリという感じでしたね。 
 おそらく三軒屋万智=大石静。
 大石さんは万智に自分の意見を言わせている。
 現実はシビアで、ドラマのように上手くいかないのですが、自分が<つまらない常識や狭い価値観>に囚われていないかは常に検証していきたいですね。
 あとは万智のような、どこででも生きていけるスキルを身につけること。


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