出版社の校閲の方というのは研ぎ澄まされた日本語感覚の持ち主だ。
と書いたが、僕の日本語もかなりあやしいので、上の文章にもかなり赤が入りそう。
毎日新聞には、校閲記者の方が新聞の日本語や言葉、校閲に関する情報を発信しているサイトがある。
名づけて『毎日ことば』
勉強になりますよ~、このサイト。
…………………
さて先日、おこなわれたわれらが首相・安倍晋三氏の広島平和記念式典での追悼挨拶。
毎年同じでコピペ、長崎ともほぼ同じ文面という批判があがったが、
校閲の方によると
日本語として違和感を覚える部分があるらしい。
『広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風にさらわせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。
犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。
しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。
緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。』
さあ、上の文章の間違い、わかりますか?
僕はひとつわかりました。
「業火と爆風にさらわせ」
ここで「業火」という言葉を使ってはいけないだろう。
「地獄の業火」と言われるように、「業火」は地獄で罪人を焼く火のことだ。
追悼文で「業火」を使えば、原爆で亡くなった方が罪人で、地獄で焼かれるイメージになってしまう。
もちろん、今では「強い火」の意味で使われないこともないが、言葉のオリジナルの意味を知っていれば、この言葉のセレクトはしない。
校閲の方によると、「さらわせ」という言葉の不適切なようだ。
「さらう」
「ドブさらい」という言葉があるように「さらう」には、土砂やゴミを取り除くという意味がある。
つまり、広島の被爆地で扱うと、広島の街はゴミだったという意味になってしまう。
これは揚げ足取りでも何でもない。
言葉に対する感覚を研ぎ澄ましていれば、違和感をもって当然の言葉なのだ。
「犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。」
「犠牲と言うべくして」も言われてみれば、おかしな日本語だよね。
何か犠牲が当然のことのよう。
耳で聞くとサラリと流れてしまうが、文章で読むと意味不明。
校閲の方が訂正しているように
「犠牲と言うには、あまりに夥しい犠牲でありました。」
の方が、はるかに自然だ。
あとは、安倍ちゃん、難しい漢字が好きみたい。
「夥しい(おびただしい)」
「斃れる(たおれる)」
おそらく、自分は一応保守を名乗る政治家だし、官邸のHPに載せる時、見栄えがいい、頭が良くみえる、とか思ってるのだろう(笑)
でもね、安倍さん、言葉はソウルだよ。
一個一個の言葉を吟味して「夥しい」「斃れる」を選んだのならいいんだけど、「業火」「さらう」を見るかぎり、推敲の痕跡は見られない。
官邸に校閲担当はいないのかね?
※参照記事
【首相の戦没者追悼】繰り返される奇妙な言葉遣い(毎日ことば)
と書いたが、僕の日本語もかなりあやしいので、上の文章にもかなり赤が入りそう。
毎日新聞には、校閲記者の方が新聞の日本語や言葉、校閲に関する情報を発信しているサイトがある。
名づけて『毎日ことば』
勉強になりますよ~、このサイト。
…………………
さて先日、おこなわれたわれらが首相・安倍晋三氏の広島平和記念式典での追悼挨拶。
毎年同じでコピペ、長崎ともほぼ同じ文面という批判があがったが、
校閲の方によると
日本語として違和感を覚える部分があるらしい。
『広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風にさらわせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。
犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。
しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。
緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。』
さあ、上の文章の間違い、わかりますか?
僕はひとつわかりました。
「業火と爆風にさらわせ」
ここで「業火」という言葉を使ってはいけないだろう。
「地獄の業火」と言われるように、「業火」は地獄で罪人を焼く火のことだ。
追悼文で「業火」を使えば、原爆で亡くなった方が罪人で、地獄で焼かれるイメージになってしまう。
もちろん、今では「強い火」の意味で使われないこともないが、言葉のオリジナルの意味を知っていれば、この言葉のセレクトはしない。
校閲の方によると、「さらわせ」という言葉の不適切なようだ。
「さらう」
「ドブさらい」という言葉があるように「さらう」には、土砂やゴミを取り除くという意味がある。
つまり、広島の被爆地で扱うと、広島の街はゴミだったという意味になってしまう。
これは揚げ足取りでも何でもない。
言葉に対する感覚を研ぎ澄ましていれば、違和感をもって当然の言葉なのだ。
「犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。」
「犠牲と言うべくして」も言われてみれば、おかしな日本語だよね。
何か犠牲が当然のことのよう。
耳で聞くとサラリと流れてしまうが、文章で読むと意味不明。
校閲の方が訂正しているように
「犠牲と言うには、あまりに夥しい犠牲でありました。」
の方が、はるかに自然だ。
あとは、安倍ちゃん、難しい漢字が好きみたい。
「夥しい(おびただしい)」
「斃れる(たおれる)」
おそらく、自分は一応保守を名乗る政治家だし、官邸のHPに載せる時、見栄えがいい、頭が良くみえる、とか思ってるのだろう(笑)
でもね、安倍さん、言葉はソウルだよ。
一個一個の言葉を吟味して「夥しい」「斃れる」を選んだのならいいんだけど、「業火」「さらう」を見るかぎり、推敲の痕跡は見られない。
官邸に校閲担当はいないのかね?
※参照記事
【首相の戦没者追悼】繰り返される奇妙な言葉遣い(毎日ことば)
記事の作成、お疲れ様です。
抑々 首相のスピーチなんて官僚が用意した文章を棒読みするだけですから・・
ま、官僚が 一寸、難しい言葉を文章に入れたと言う訳ですかねぇ。
知的に見せる為に
安倍首相が難しい漢字を読めたのは褒めたいです (* ´艸`)クスクス
仮名がふってある訳ではないでしょうね?
本とに 日本語の言葉って言うのは、捉え方に依って違う意味になりますね。
いつもありがとうございます。
>官僚が用意した文章を棒読みするだけですから
確かに!
広島での記者会見では、回答原稿が写真に撮られて、記者の質問があらかじめ用意されていたものだったことがありましたね。
官僚の作文を読んで、外遊でお金をバラまくだけなら誰でもできる仕事です。
自分の言葉を持たないリーダーはダメですよね。
たいへん 御無沙汰しています。
「毎日ことば」 勉強になりますね。
早速 お気に入りに入れました。
安倍さんに関しては 諦めの境地です。
もはや 何をか言わんです。
ドラマは「MIU・・・」だけ見ています。
それと 初めての中国ドラマ「大民皇妃」。
後の宣徳帝にキャラ落ちして 彼が退場するまでは
コロナに罹りたくないなぁと
おバカなことを思っています。
コウジさんも 気をつけてくださいね。
ご無沙汰しています。
コメントありがとうございます。
>安倍さんに関しては 諦めの境地です。
僕も同じです。
体長悪化説、心が折れた説など、さまざまな言説が流れていますが、もしそうならさっさと辞任して、体力とやる気のある人物に代わってほしいです。
「MIU」
僕も見ています。
さすが野木亜希子作品ですよね。
最近、ネットフリックスに入ったので、中台韓のドラマも見たいと思っています。