コード・ブルー 第９話 心の傷も悪くない

　心の傷は必要なもの。なぜなら他人の痛みがわかるようになるから。

　藍沢（山下智久）が、子供と暮らせなくなった母親に「子供のためにいっしょに暮らさない決断をしたあなたはいい母親です」と言えたのも、藍沢に＜母親に捨てられた＞という心の傷があるから。
　白石（新垣結衣）が、スキーを滑れなくなった父親に「ヒーローでなくてもいいんです。生きていて下さい」と言えたのも、白石の＜父親の命が短い＞という痛みがあったから。
　＜心の傷＞がなければ、藍沢も白石もこのような言葉を語ることが出来なかった。
　だから、心の傷は必要なのだ。

　それは、大学病院の出世争いに敗れた田所（児玉清）が僻地の島に行って「島が見せてくれた景色がある」と気づいたことも同じ。
　まっすぐに目的に向かって突き進むのもいいが、心に傷を負ったり、脇道にそれてみるのも大切なことなのだ。
　すべてのことには意味がある。
　どんなに困難でつらいことでも、心を開いて見つめてみれば、大切なことを教えてくれる。

　「コード・ブルー」はセカンドシーズンになって本当にいろいろなことを教えてくれますね。
　藤川（浅利陽介）のこともそう。
　母親が看病に来ないぜんそくの子供を、同じくぜんそくだった自分の子供時代と重ね合わせて語る藤川。
　こう語れたのも藤川が子供の頃ぜんそくで苦しんでいたという＜傷＞があったから。

　そして緋山（戸田恵梨香）。
　今回の＜心の傷＞というテーマからは少し外れるが、右手を動かせない女性に化粧を施して「ありがとう」と言われる。
　この「ありがとう」ほど、緋山を救う言葉はない。
　また、藍沢の「彼女は外科医で手先が器用ですから大丈夫です」という言葉も。
　言葉は人を救うんですね。

※追記
　ぜんそくの子供を看病する藤川を見て、冴島（比嘉愛未）は彼のやさしさを感じる。
　彼女は藤川との距離を少し近づけた。
　恋愛にはマニュアルはない。
　直接「好きだ」というのもありだし、今回のようにありのままの自分を見せるというのもある。
　藤川と冴島はこうやって少しずつ距離を縮めていくのが有効なようだ。