平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第14回「都の義仲」~義の人・木曽義仲、都での「政治」に翻弄される

2022年04月11日 | 大河ドラマ・時代劇
「義は我にあり!」
 木曽義仲(青木崇高)は「義」の人として描かれた。
 恩賞にも興味がなく「そんなものは頼朝にくれてやる」と平然と言う。
 武に優れたなかなか高潔な人物だ。
 ただ「政治」を知らない。
 田舎育ちで「都の風習」を知らない。
 だから言われる。
「そなたに肝心なのは都のなんたるかを知ることだ」

 この点、都育ちの頼朝(大泉洋)は長けている。
 平家が都落ちして、後白河法皇(西田敏行)が権力に返り咲くと、早速引き出物。
 結果、後白河法皇、いはく
「さすが頼朝はよくわかっておる」
 世の中、権力者に取り入る人間、政治的な駆け引きを出来る人間が勝つんですね。
「義」と「武力」だけでは太刀打ちできない。
 特に「義」なんてものは立場や権力者の鶴の一声で簡単に変わる。
 たとえば後白河法皇が「義仲追討」を命じれば「義」はたちまち頼朝に移ってしまう。
 働きに応じた報酬を求めるのも人の常で「恩賞などどうでもいい」という義仲のスタンスでは不平不満が起きてしまう。

 それにしても新しい木曽義仲像だ。
 こうなると義仲を追い詰める頼朝は「悪者」になってしまう。
 まあ、人は権力を持つと変わってしまうというのが、三谷幸喜さんの歴史観。
『真田丸』の家康もそうだった。
 頼朝はこれからどんどんブラックになっていくんだろうな。

 木曽義仲=都での乱暴狼藉というイメージも新たな解釈。
 三谷流では「寄せ集めの軍隊であるため統制が取れていなかった」という解釈になった。
 …………………………………………

 義仲の息子・義高(市川染五郎)はただの貴公子ではないようだ。
 後半、義経(菅田将暉)は父に負けると告げて妖しく笑った義高。
 彼の心の中には何があるのだろう?
「蝉の抜け殻」も何かの象徴か?

 義経と頼朝の別れも象徴的だった。
 この後、ふたりは会うことはない。
 義経の矢が頼朝の矢を落としたことも象徴的。

 最後は頼朝。
 頼朝は板東武者を完全に掌握できていない。
「われわれは鎌倉殿の駒ではない!」
 鎌倉で増えていく反頼朝派。
 組織が大きくなると、そこには主流・反主流の派閥が生まれ、内部抗争が勃発するんですね。
 反頼朝派は主に「源氏同士が戦うことに義はあるのか?」で動いているが、
 文覚(市川猿之助)なんかは蔑ろにされた私怨で動いている。
 梶原景時(中村獅童)は頼朝側のスパイ。
 文覚や景時といった毒が組織を蝕んでいく。
 組織というのは実に厄介だ。
 そんな中、主人公・義時(小栗旬)には、これを収める秘策がある様子。
 義時の手腕やいかに?


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4 コメント

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悲劇の予感 (TEPO)
2022-04-11 11:42:41
>義経は父に負けると告げて妖しく笑った義高。

義経と義高とは互いに相手のことを不憫がっているのですね。
義経も、義高が人質として殺されると思って不憫に思っている。
義仲は敗死するので、ここでは義経の予想の方が当たっています。

となると、義高と大姫を待ち受けているのは悲劇。
義高は元服を済ませており、演じる市川染五郎(八代目)くんは17歳ですが、当時義高は12歳、大姫は6歳ですから、現代で言えば小学校の6年生と1年生。
まだ「小さな恋」にも届かないにもかかわらず、互いに好き合っている二人の間には、ある意味恋愛感情以上のものがあるかもしれません。

義経の方も、義仲に負かされることは無いものの
>義経と頼朝の別れも象徴的だった。この後、ふたりは会うことはない。

ところで
>主人公・義時には、これを収める秘策がある様子。義時の手腕やいかに?

おそらくこれも、「義時の力及ばす」の悲劇でしょう。
多分、ここで「あの人」(敢えて名は言いません)が犠牲になるのだと思います。

ところで、八重は実在の人物ですが、通説では頼朝が政子と結ばれた、もしくは千鶴丸が殺害された時点で自害してfade-outしているところ、坂井―三谷ラインの「力業」により「阿波局」として義時と結ばれた現時点の彼女は「準・架空人物」であり、その生殺与奪は完全に三谷氏の手中にあります。
Wikiなどでは「阿波局」は側室扱いですが、北条家一同の前で頼朝自身が娶せる打診をしている―この時は断られましたが―以上、正妻となるのに何の支障も無いはずです。
今回義時は、頼朝や一族に報告して正式に自分の妻として公認してもらおう、という話をしていました。
だとすれば逆に、八重=阿波局はその「公認」前に亡くなるのではないかとの推測が成り立ちます。
泰時誕生までの健在は保証されていますので、たとえば、「忘れ形見」泰時を産むのと同時に、とか。
だとすると、義時がようやく手に入れた「睦まじい場面」も「フラグ」ということになります。

以上ほぼ「妄想」のような推測の通りとなったならば、義時にとっての八重は、「平清盛」における忠盛にとっての「舞子」(清盛の実母)のような位置を占めることになるでしょう。
初回だけの登場にもかかわらず、舞子は「最初の妻」として忠盛の心の中に強烈な存在感を保ち続け、忠盛は「なさぬ仲」の清盛を嫡男としたのでした。
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Unknown (ロギー)
2022-04-11 21:07:42
義仲の失敗はきっちりと地盤を築けなかったのが大きいですね。
それに覚明というブレーンを得たのに政治を理解できず以仁王の息子北陸宮という錦の御旗を生かしきれなかったのも痛いです。

寄せ集めの軍隊であるため統制が取れていなかった。
これは三谷氏はなかなか鋭いですね。
何しろ、あの当時の京都から西国は飢饉で食料が無かったから、余計に統制が取れなくなります。
逆に頼朝は東国でじっくりと地盤を築いてたから、後に躍進をします。

三谷氏は景時を毒にしましたか、まあ~解らなくはないですが、雇われ棟梁の頼朝が無学で自分勝手な坂東武者たちを統制するには景時みたいに教養があって知略に長けた側近は必須ですがね。
現に坂東武者の多くは文字の読み書きも出来ないのが多いから、下級貴族の大江広元や三善康信みたいに事務能力にたけた人間や比企氏みたいな古くから自分の面倒を見てくれた連中を頼朝が重用するのは当然ですがね。
じゃないと朝廷や平家や比叡山や奥州藤原氏といった巨大な力をもつ連中を相手に組織は回れませんからね。
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違うトーンの作品 (コウジ)
2022-04-12 09:08:27
TEPOさん

いつもありがとうございます。

義高は12歳なんですね。
だとすると、蝉の抜け殻に何らかの意味を読むのは意味ないかもしれませんね。
僕は「蝉の抜け殻」=人格の不在みたいなことを考えてしまいました。
いずれにしても、好きな蝉の抜け殻を握りつぶしてしまう義高には心の闇を感じてしまいます。

次回は義高のエピソードになりそうですね。
反頼朝派に担がれ、その首謀者として裁かれるという感じでしょうか?
伊東祐親の死もそうでしたが、従来の三谷幸喜大河とは違ったトーンの作品になりそうですね。

八重は史実を考えると「死亡フラグ」が立っているんですね。
病死なのでしょうか?
しかも婚姻の記録が残されていないことを考えると、それは近いうちにやって来る?
ここで八重を退場させてしまうと「夫婦の物語」として物足りない気もしますね。
さて、どのように描かれるのか?
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政治的な人間 (コウジ)
2022-04-12 09:22:03
ロギーさん

いつもありがとうございます。

>政治を理解できず以仁王の息子北陸宮という錦の御旗を生かしきれなかったのも痛いです。
これが政治なんですよね。
権力維持には権威が必要。
それは「三種の神器」もそうで、「三種の神器」の価値を知らなかった義仲は「政治的な人物」ではないんですよね。

「政治的でない人物」は反頼朝で集まった板東武者たちもそうですよね。
なので彼らが義仲と戦うことをためらうのも当然。
義仲も板東武者たちも「政治的な人間」ではない。
彼らの戦いは大江広元ら「都勢力」との戦いなんですよね。

>景時みたいに教養があって知略に長けた側近
景時は教養・知略のある人物なんですね。
僕は今、永井路子さんの小説を読んでいるのですが、景時は結構悪役で描かれています。
いずれにしても景時は今後のキーマンになりそうですね。
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