平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

リーガルハイ 第9話~私は<溝に落ちた野良犬を平気で助けようとするバカ>を誇らしく思う

2013年12月12日 | 職業ドラマ
「本当の悪魔とは巨大に膨れ上がったときの民意だよ。
 自分を善人だと信じて疑わず、薄汚い野良犬が溝に落ちると
 一斉に集まって袋叩きにしてしまう。そんな善良な市民たちだ」

 そうなんですよね。
 僕は民意を信じているんですけど、民意は時として間違う。
 自分と意見の違う人間を徹底的に排除する。
 特に日本人は熱しやすく、一気に傾く。

 戦争中、「日本は戦争に負ける」とか「戦争は嫌だ」と言ったら<非国民>のレッテルを押されて排除された。
 関東大震災の時は、「朝鮮人が水道に毒を入れている」というデマを信じて朝鮮の人を数多く殺した。

 だから、「特定秘密保護法」の話になってしまうんですけど、<正しい情報>は隠さずに伝えられなくてはならない。
 正しい情報が伝えられなければ、人は間違った判断をする。

「貴和(小雪)を吊せ」
 という民意が起こったのだって、検察やマスコミが作った一方的なイメージのせいなんですよね。
 醍醐検事(松平健)は家政婦・江上順子の「毒薬の瓶を捨てた」という証言を無視した。
 判決が覆るかもしれない有力な証拠を隠した。

 もっともこうした<策謀>や<イメージ操作>は、古美門先生(堺雅人)が今までにやってきた得意な戦術。
 醍醐と同じ穴のムジナと言える。
 というわけで世の中の闘争というのは、策謀や巧みな言説を使い、物事を自分に有利な方向に導いていくものなんですね。
 だからわれわれは、物事を正確に見極め、決して惑わされてはいけない。

 さて、古美門先生。
 今までアイドルヲタクとかブロガーとかにケンカを売ってきましたが、今回はついに国民に言及しましたよ。
「だがわが国の愚かな国民は自らが人殺しになる覚悟がないんです。自分たちは明るいところにいて誰かが暗闇で社会から消し去ってくれるのを待つ」
「嫌われ者を吊すイベントに参加して、自分のつまらない人生の憂さ晴らしをしている」
 確かに今、起きているさまざまなバッシングは皆そうですね。
 どこかやさしさや余裕のない社会であるような気がします。

 今、必要なのは大きな流れに逆らって
「溝に落ちた野良犬を平気で助けようとするバカ」
「己の信念だけを頼りに危険を顧みないバカ」なのかもしれませんね。


 

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4 コメント

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Unknown (高木一優)
2013-12-12 20:31:23
このドラマの根底に流れているテーマは「愚民どもに英知を!」ということではないかと思ってしまいます。
秘密保護法だって民意が自民党を選んだ結果、それを批判してもそのまま「愚民ども」という言葉になって返ってくる。
政治家の先生がこんな言葉を吐くと批判にさらされますが、古美門はこんな言葉を吐くべくして作られたキャラクターなんでしょう。わたしたちは、そんな古美門の支持している。自分だけは愚民ではないと思っているのでしょうか。
権力というのは支配する側が一方的に行使するのではなく、実は支配される側が加担することによって機能する。古美門はその化けの皮をはがそうとしているように見えますね。

「愚民どもに英知を」この言葉「ガンダム・逆襲のシャア」でのシャアのせりふですが、こんなことを言ってカッコいいのはシャアと古美門だけかな。
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挑発している古美門 (コウジ)
2013-12-13 08:08:47
高木一優さん

いつもありがとうございます。
古美門先生は、その生活ぶりからもうかがえるように、社会的には上層の人間、セレブなんですよね。
「愚民ども」「愚かな国民」という言葉も、エリート官僚が使っていそうな言葉。
普通なら古美門は主人公になりづらい人物なのですが、これが支持されているというのは人物造型が上手いんでしょうね。

>実は支配される側が加担することによって機能する。古美門はその化けの皮をはがそうとしているように見えますね。

おっしゃるとおりですね。
物価が上がり、消費税が上がり、大企業優遇の政策ばかりで自分たちにはほとんど恩恵のない安倍内閣をなぜ多くの人が支持しているんでしょう?
古美門先生は、そんな国民を「愚民」と挑発しているんですけど、人々はなかなか目を覚まさないようですね。
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Unknown (よしぼう)
2013-12-13 18:47:27
こんばんは。
最高裁でいまさら裁判に民主主義を持ち込んじゃいけないというレベルの低い議論を古美門がとうとうと述べるところに違和感を感じます。
民意を裁判に持ち込んじゃいけないので司法権が独立しているんですから。
だから醍醐検事が自分は民意に従って仕事をしているというのもドラマのための戯言です。
死刑囚じゃなくても民意のために判決が歪められてはたまりません。裁判は「公平」じゃないと。
今更しつくされた議論を女判事が「興味深い議論です」というのも古美門の独演会が浮かないようにする作劇上のトリックでしょう。
このドラマでわざわざこんなことを指摘するのは無粋の極みでしょう。
国民の民意批判に見せかけて裁判批判をするのは私たち国民の大好物でそこにこのドラマの需要があるんでしょうね。
だからって最高裁をここまで矮小化して阿呆に見せていいかは疑問が残ります。
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フィクションとリアリズム (コウジ)
2013-12-13 19:44:51
よしぼうさん

お久しぶりです。
確かに、家政婦・江上順子の証言という新証拠が出た時点で、一審二審の裁判の根拠が覆るわけですから、差し戻しは当然と言えますね。
作品はフィクションですから、作家さんとしては、リアルな最高裁より、暴走した世論の理不尽さみたいなことを言いたかったのかもしれませんね。
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