平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第47回「ある朝敵、ある演説」~家族が再生した! 死のうとする義時を守る政子、実衣、泰時!

2022年12月12日 | 大河ドラマ・時代劇
「鎌倉が守られるのなら命を捨てようと、この人は言った」
「この人は一度たりとも私慾に走ったことはありません」

 前回、僕は本作を『家族崩壊の物語』と書いたが、違っていた。
 今回は『家族再生の物語』だった。
 政子(小池栄子)は義時(小栗旬)を守った。
 実衣(宮澤エマ)も「わたしも保証します」と守った。
 泰時(坂口健太郎)も守った。
 時房(瀬戸康史)もムードを作った。
 北条一家がひとつになった瞬間だ。

 義時はうれしかっただろう。
 政子を始めとして、自分を理解してくれている人がたくさんいた。
 少なくとも北条の家族には、憎まれていなかった。
 自分は孤独ではなかった。

 政子の演説は義時の思いでもある。
「上皇様に従って西の言いなりになるのか? 戦って板東武者の世をつくるのか?」
「三代にわたる鎌倉の遺跡(ゆいせき)を守るのです!」
「頼朝様の恩に今こそ応えるのです!」

・板東武者の世をつくること。
・鎌倉を守ること。
・頼朝の恩に報いること。
 これらのために義時は行動して来た。
 非道なこともすべてはこれらのためだった。
 それを政子が代弁してくれた。
 政子は義時のすべてを理解していたのだ。
 義時にとってこんなうれしいことはないだろう。

 政子の演説を、武士たちを鼓舞する演説で終わらせず、義時の思いも表現した所はお見事!
 ……………………………………………

 義時は人生のまとめと終わらせ方を考えている様子。

 朝廷が対峙した清盛、義経、頼朝と比較して、
「北条の小せがれが彼らと並んだのです。面白き人生でございました」
「これが執権としての最後の役目。良い頃合いかと」
 そして跡を継ぐ者として泰時を指名。
 義時、まだ御家人を怒鳴りつけたりしているが、別の境地に入りつつありますね。
 最後に彼はどんな風景を見るのか?

 一方、実衣と政子。
 義時の言葉を受けて、
「カッコ良すぎるのよ!」
「大丈夫、カッコ良いままでいかせません」
 カッコ良く死ぬな。
 美しく死ぬな。
 どんなにカッコ悪くても、地面に這いつくばってでも生き抜け。
 これ、三谷幸喜さんが書き続けていることなんですよね。

 だから三浦義村(山本耕史)もこんな生き様。
 上皇の院宣をもらって北条討伐を企むが、状況が変わると、
「これが私の所に届きました」笑
 決して褒められた生き方ではないが、三谷さんはこれを肯定している様子。
 義村はどんなにカッコ悪くても、しぶとく生きることを選んだのだ。
 それにしても義村はいつもこれだなぁ。
「とりあえず様子をみよう」笑
「俺に任せろ」笑

 次回は最終回。
 義時が殺害されるとすれば、『のえ説』が有力になって来た。
 政子、実衣、泰時は今回和解したし、義村は様子を見て終わりそう。
 となると動機を持つ残りの人物は、のえ(菊地凛子)。
 政治的な動機でなく、半ば私怨の不慮の死。
 これの方が義時に合っている気がする。


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4 コメント

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文句なしの政子・義時の最期 (TEPO)
2022-12-12 18:22:17
これまでの政子の立ち位置は、やや「母親の情」や「良識」などに流れ(逃げ)ることろがあってあまり共感しきれなかったのですが、今回は文句なく最高だったと思います。

>義時は人生のまとめと終わらせ方を考えている様子。

まず前提として、義時の方から自分を犠牲として差し出すつもりでいたところを政子が止める、という設定がすばらしい。
そして本題の「演説」ですが、途中からおそらくは大江広元に書いてもらったであろう原稿を離れ、自分の言葉で語りかけています。
このあたり、三谷氏は一時期の首相たちのことを意識していたのかもしれません。
さらにその内容ですが、義時について、過大にも―それだと「身贔屓」と感じられてしまう―過小にも―それでは義時を救えない―扱うことなく、その場の誰もが真実と感じられるような評価を与えています。
そこに描かれていた義時は、まさにオーベルシュタインそのもの。
生真面目で不器用なマキャベリスト。結果皆に嫌われる。しかし

>「この人は一度たりとも私慾に走ったことはありません」

この点は、オーベルシュタインについてビッテンフェルトが認めたように、義時に反感を抱く御家人でも認めるところだったのでしょう。
結果、政子の演説には鉄壁の説得力が感じられました。

ところで最終回、やはり承久の乱の決着がずれ込んで来ましたが、最大のイベントは義時の最期。
先週、私は「鬼の形相でにらむのえ」について、「兄伊賀光季が上皇方の挙兵により犠牲になったこと」による、と書きましたが、このこと(京都守護職が光季にとって死地となること)を承知で任命したということでやはり義時を恨んでいたようです。
このように「のえによる殺害」の暗示が濃厚になってはいますが、ここまで来ると「一捻り」あるような気もしてきます。
ほとんどの人が予想している「誰かに殺害される」という前提そのものまで引っ繰り返される―ただし「幸福な大往生」にはせずに―とか。

「史実」では、義時死後の「伊賀氏の変」で、のえ(伊賀の方)は排除されるものの、政村は泰時の計らいで連座を免れ、後に7代執権にも就任し、得宗家(泰時系の本家)の時宗らを良く補佐していたとのことです。
こうした北条一族の団結をもたらした穏便さは、政子、泰時の路線だったのでしょう。
返信する
生真面目で不器用なマキャベリスト (コウジ)
2022-12-13 09:02:59
TEPOさん

いつもありがとうございます。

政子の演説で、義時の行動や人生を見事に表現しましたよね。
>生真面目で不器用なマキャベリスト。
やり方は他にもあったかもしれませんし、間違いもあったでしょうが、すべては鎌倉のため、坂東武士の世をつくるため。

「鬼の形相でにらむのえ」についてはTEPOさんの予想通り。
おっしゃるとおり、誰もが義時の死に関わるのはのえと考えるでしょうから、一捻りしてくるかもしれませんね。
頼朝の亡くなり方が気になります。
いずれにしても承久の乱が終わって、義時の生きる目標がなくなったことは確か。
こうなると、どんどん衰えていく。
死に際して、義時はどんな風景を見るんでしょうね。

政村は執権になるんですね。
寛容で血の流れない政治。
実は義時もこんな政治をやりたかったのかもしれませんね。
返信する
最終回が楽しみです (megumi)
2022-12-14 07:48:10
コウジさん おはようございます。

小池栄子さん、頑張りましたね。
彼女を政子にキャスティングしたのに納得しました。
今までに無い自分の言葉で語り始めたのが良かったです。
カンペ頼みや、ただ読み上げるだけよりも遙かに御家人たちの心に響いたことでしょう。
『西の言いなりになっても良いのか?』
コレに尽きると思いました。

のえが夫を殺す説が濃厚になる展開が続きますが
どうでしょう?
案外、自害するのかもしれませんね。
家族愛の北条同志の殺し合いは無いという線に落ち着きました。

政村は
「北条時宗」では、伊東四朗さんが演じていたらしいですね。
放送当時に全話、見ましたが伊東さんのことは、すっかり忘れていました。
前半、時宗の父(渡辺謙)が生きていた頃、元寇に悩まされる頃、結構、面白かったですよ。
時宗は元寇が決着した後、長く生きません。
元寇対策のためだけに生まれてきた人のようでした。

私は、鎌倉時代が好きみたいです。
「太平記」は鎌倉末期ですし・・・ね。


余談ですが
実朝は、万葉ぶりで知られていますが、実は新古今調の本歌取りが多いのです。

源実朝(金槐和歌集)
「大海の磯もとどろによする浪 われて砕けて裂けて散るかも」
   
笠 郎女(万葉集)
「伊勢の海の磯もとどろに寄する波 かしこき人に戀わたるかも」
                       
返信する
豊かな鎌倉時代 (コウジ)
2022-12-14 08:57:56
megumiさん

いつもありがとうございます。

TEPOさんも書いていらっしゃいましたが、自分の言葉で話すって大事ですよね。
言葉に魂が入っていないと伝わらない。
思いを伝えるのに美辞麗句は要らない。

最終回はどうなるんでしょう?
「どんなことをしても生きろ」をテーマにする三谷幸喜さんですから、自害はない気がしますが、気がふれるというのはありそうです。

>私は、鎌倉時代が好きみたいです。
僕は今作で鎌倉時代の面白さを知りましたが、掘ればいろいろなものが出て来そうですね。
時宗=元寇対策のためだけに生まれてきた人のよう。
実に興味深い人物です。

本歌取りの件、教えていただき、ありがとうございます。
これまた豊かな世界です。
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