『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

永田町《地獄耳》2016参院選挙121議席のゆくえ

2016-01-16 10:32:31 | 日記

2016年参議院選挙予想がチラホラ出始めました。どうやら消費税を引き上げるため大義名分がない衆参ダブル選挙にはなりそうにありませんが、芸能界からも著名人の出馬が噂されています。自民党隠し玉候補として『う・ら』で画策している『お・も・て・な・し』の滝川クリステル氏などです。焦点は自民党が圧勝して、公明党、おおさか維新の会との議席数で2/3を確保できるかです。改憲議席に届けば改憲へ一直線に突き進むでしょうが、どうなんでしょうか?筆者は懐疑的ですし、安倍政権による改憲には反対の立場なので2/3取れないことに期待します。下記雑誌掲載のような強気の予想もありますが、世界経済に振り回され、大胆な金融緩和を打てずに景気が下振れし、自民党が消費税引き上げ路線を掲げていれば圧勝はないし改憲勢力が結集しても2/3には届かない気がします。ただ野党が多党化し弱小のいまでは一般的には自民党で単独過半数(122議席)か、憲法改正に必要な3分の2(162議席)を自民党、公明党、おおさか維新に会でとるような事態は十分想定されます。さらに憲法改正に積極的な議員はこの他に日本のこころを大切にする党の議員や無所属議員もいます。2/3議席確保もかなり現実的な数字になっているのです。 しかし、1強自民党も岩盤ではありません。韓国との不自然な合意などで保守の信頼を裏切った安倍首相も権力の魅力に取りつかれそろそろガス欠気味ですしね。自民党の脇雅史・前参院幹事長が語っているように「衆参とも今は『違憲状態』で選ばれた議員しかいない」状態で衆議院を解散せずの改憲発議など論外です。

 

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養老孟司氏「老後壁」越えを指南⁉『平成の高速参勤交代&芭蕉のようにさすらう』

2016-01-15 07:31:20 | 日記

高速参勤交代とは無理難題をクリアし役目を果たした映画をパクリ筆者が勝手につけたものですが、現代は新幹線で北海道までも行ける時代であり、高速参勤交代が可能です。養老孟司先生は老後の壁を打ち破るには「世間の価値観から離れる」その為には普段から行ける田舎を持つことを指南しています。松尾芭蕉のようにさすらうことは入浴もままならず下手をするとホームレスと間違われ女性には難しいかもしれませんが、老人でも自転車で日本一周する『さすらい旅』を動画で見かけます。養老氏の発言で刺激的だったのは『年を取り死の心配をしてもしかたない。』死とは生きている人が向き合うもので死んだ人間には関係なく死後は何にもない。生きている間にやるべきことをやる。現代人は取り越し苦労や杞憂ばかりで『覚悟』と言う言葉を忘れてしまっている。等々、養老先生の言葉は含蓄があり、テレビは見ごたえがありました。著書は面白そうです。

以下コピー ベストセラー「バカの壁」の著者で解剖学者の養老孟司氏が11日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、老後の生き方について提言した。

 養老氏は「現役時代や世間の価値観から離れられないと、それが老後の壁になる」と指摘。壁を取り払うためには、今までの自分と距離を置いて「さすらう」ことが大切だと助言した。「都会と田舎の2地域に居住し、休日は田舎で農業をするなどして積極的に体を動かせば、地域も自分も元気になる」と勧めた。

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「すべての国会議員は『違憲状態』」自民・脇氏が選挙制度改革を進められない衆参両院を批判

2016-01-14 09:53:33 | 日記

『一票の格差』解消が一向に進まない中、世界経済がおかしくなり始めました。安倍首相がリーマンショック級のショックがなければ『消費税再増税』は実行すると宣言したことをあざ笑うように年初から株価下落が続いています。では『消費税再増税』を差し止める唯一のリーマンショックはどのようなものだったか?第1次安倍政権2008年の株価がどのように暴落したかを見てみるとかなり今年と似ていますね。当時の与謝野財務大臣は影響を『蚊に刺された程度』と誤診し日本経済を大混乱に陥れました。さて、一票の格差ですが、現状少なくとも選ばれている衆議院議員が違憲状態では憲法改正発議の説得力はありません。野党の体たらくを考慮すれば働かない国会議員の大幅削減は必要です。そもそも、椅子にしがみつく議員たちで削減を決められるとは思えません。下記の世間の常識を陳べている自民党の脇雅史・前参院幹事長は「衆参とも今は『違憲状態』で選ばれた議員しかいない」国会では異端です。

以下コピー

 自民党の脇雅史・前参院幹事長は13日、国会内で記者会見し、「一票の格差」をめぐり、衆参両院の抜本的な選挙制度改革が進まない現状に改めて懸念を示した。平成26年の衆院選、22、25両年の参院選はいずれも最高裁に「違憲状態」と判断されており、「衆参とも今は『違憲状態』で選ばれた議員しかいない」と皮肉った。

 脇氏は昨年末、4県・2合区を含む選挙区定数「10増10減」の改正公職選挙法に賛成した自民党と維新の党、新党改革など5党に対し、違憲状態が解消されたかどうかを問う「公開質問状」を出していたことも明らかにした。

 1月13日までに新党改革以外の4党から回答はなく、「『こういうことについてはお答えできない』という返答もなく、人間としての常識がない」と批判した。新党改革からは「現段階ではこれがベター」との回答があった。

 脇氏は参院幹事長だった26年4月、参院の選挙制度協議会座長として22府県・11合区を柱とした座長案を各党に提示したが、自民党内の反発を招き、幹事長を更迭された。その後、自民党が維新の党や新党改革など野党4党と合意した「10増10減」案に反対し、参院の自民党会派を離脱した。

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世界の株式や債券に投資されていたオイルマネーの巻き戻しが加速しかねない‼

2016-01-13 10:46:26 | 日記

 新春からお祝いムードを吹き飛ばし、春闘の賃上げにも影響を与えかねない負の連鎖による株価下落が6日間続いていますが、主因は管理相場の中国ではなく中東産油国の実需による換金売りのようです。そこに、ファンドが売り仕掛けで追随しているのが実体です。このような必要以上に下げ過ぎる場面も相場にはあります。「ちょっと待って、飛びつき買いと、ろうばい売り」。これは資本主義の崩壊ではなく単なる資金移動ととらえるべきかもしれません。しかし、日本では今後、アベノミクス相場も消費税引き上げと共に消え去る可能性が高く、手始めは春闘での賃金上昇率鈍化でしょう。物価上昇で株価とは相反し実態経済が悪くなれば自民党内もゴタゴタが始まります。所詮政治家に過度の期待は禁物なのです。

以下コピー

 元日銀審議委員の中原伸之氏は、サウジアラビアとイランの原油増産競争により原油価格に下落圧力がかかり続け、当面は1バレル20ドル台前後で低迷を続けるとの見通しを示した。ロイターに対し8日にコメントした。米利上げは失敗で、いずれ利下げに追い込まれるとの見解も示した。

市場関係者の間では、中東情勢の緊迫により原油価格が上昇に転じるとの見方もあるが、「サウジ・イランは増産競争をしており、(原油価格の上昇は)あり得ない」と指摘。そのうえで「多少の上下動はあっても、平均では20ドル台で推移する。20ドルを切ることもあるかもしれない」と語った。

また、中東におけるサウジとイランという大国間の緊張に関して「中東はイラン中心に新秩序が形成されるとみている」としつつ、「サウジの内情がわかりにくく不透明」と述べた。

2016年初めからの世界同時株安については「米利上げ以降、良いことが起こっていない。利上げは失敗。2000年にゼロ金利解除した日銀と同様、いずれ撤回に追い込まれる」とし、ゼロ金利や量的緩和の復活もあり得るとの見通しを示した。

中原氏は大胆な金融緩和を主張するリフレ派の論客で、安倍晋三首相に近い財界人としても知られる。東燃社長を務め、世界的なエネルギー需給の動向に詳しく、中東情勢にも精通している。

同氏は昨年初め、過去100年間の原油価格の歴史的な平均値は1バレル2ドルであり、147ドルまで上昇した2000年代が異常と指摘。20ドル台に下落するとの予測を多くの識者に先駆けて示していた。

コピー2 <ダウ、初日は大恐慌以来の下落率>

アジア発のリスクオフは、欧米市場にも広がった。4日の市場で米ダウは450ドルを超える下落から終値で276ドル安(1.58%)まで戻したが、新年初日の取引としては、1932年(8.1%安)以来の下落率となった。

世界恐慌以来の株安を説明するには、中国の経済指標悪化や中東の地政学リスクの高まりという表向きの理由だけでは難しい。中国の景気減速はネガティブ材料だが、昨年から予想されていたことだ。サウジアラビアとイランの外交関係断絶などが経済に与える影響は、まだ読めない。

市場関係者が不安視し、株式などリスク資産から資金を巻き戻した要因は、グローバルな投資マネー逆流への警戒にある。

中国経済の鈍化は予想されたこととはいえ、景気減速が加速すれば、石油需要はさらに落ち込み、原油価格には一段と下落圧力がかかる。産油国の財政はさらに厳しくなり、世界の金融市場に流れ込んでいたオイルマネーが逆流する可能性が高まる。

そのうえで、中東での地政学リスクが一段と高まれば、「軍事費拡大などにつながり、世界の株式や債券に投資されていたオイルマネーの巻き戻しが加速しかねない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏)という。

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『幸せとは気づくことである』茂木健一郎著  『幸せなら手をたたこう』

2016-01-12 09:34:33 | 日記

雑誌プレジデントに掲載された論文を纏めたもので改めて買う必要はないかもしれませんが、読んでみて内容は濃いです。脳科学者の立場から、大脳新皮質の大きさから安定して関係が保てる『友人』 の数は150人、友人との絆こそが、私たちの生の支えなのである。あらゆる悩みは数字で解決できる。脳のアンチエイジングに最も大切なのは『新分野』に挑戦すること。等々です。何年か前に忙しくて確定申告し忘れた?と物議をかもしましたが本は成長を促し素晴らしい。

以下コピー

このところ、幸せとは何か、という問題を考えていると、思わず手をたたきたくなる。

日本語の楽曲としては、現在まで唯一の全米チャート1位という偉業を達成した『上を向いて歩こう』。この大ヒットで知られる坂本九さんが歌っていたのが、『幸せなら手をたたこう』。いまだに歌い継がれているこの曲が、大好きだという人は多いだろう。

2014年のグラミー賞で複数の賞に輝いた米国の歌手、ファレル・ウィリアムスのヒット曲『Happy』。この楽曲は、繰り返し、「幸せなら手をたたこう」と歌っている。

「幸せの意味がわかったら」「幸せこそ真実だと思ったら」「自分が、屋根のない部屋のように感じたら」手をたたこうと呼びかけるのだ。

手をたたくって、そんなにシンプルなことでいいのか、と思うだろう。幸せになるって、もっと複雑な、難しいことではなかったか、と思う人がいるかもしれない。

しかし、そうではない。幸せとは、「気付く」ことであると、さまざまな研究結果が示している。自分の人生の中の、ごくあたりまえの恵みに目覚めることが、汲めども尽きぬ幸せの泉となるのだ。

ある程度の経済的裏付けは、もちろん必要である。しかし、お金さえあれば、幸せになるというわけではない。

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貧乏老後が急増⁉『一生お金に困らない力』を身につける。

2016-01-11 07:39:18 | 日記

リタイヤ後の夫婦二人の生活費は、余裕を持たせた設定で約一億円だそうです。サラリーマン家庭の場合は年金や退職金では足りません。最低自己資金2000万円は必要です。これには病気・独立後の子供の費用は含まれておらず、介護など問題を抱えている家庭では別途費用が必要です。人生を謳歌する生活レベルの高い人も足りません。平均寿命も定年まで元気に生きた人は男83歳まで、女89歳まで2人に一人長生きします。さらに5人に一人は男91歳、女95歳まで長生きするのです。長生きすることで資金が枯渇し老後破たんのリスクに陥るとは悲しい現実です。さらに、生活費に関しても定年前の現役世代は半数の人が定年前の半分以下で生活できると楽観しているようです。親方日の丸そのままです。元リクルートの藤原和博さんではありませんが、現実の老後は『坂の上の坂』状態です。今後サラリーマンが豊かな老後を送るためには最低70歳までは現役で働かなくてはならないし、共存するために若年世代の不公平感も解消しなければなりません。老後はそのキャリアの差、人間力の差が収入格差に繋がり第2の人生を決定づける。サラリーマンと断ったのは退職金や企業年金のない自営業は体が続く限り、続かなければ頭とお金を動かし生涯現役です。

 

公的年金 平均5000万円+退職金平均1800万円+定年延長再雇用1200万円+自己資金2000万円

計算根拠       

夫82歳、妻87歳まで生きた場合、公的年金現状の一割減、退職金現状平均の一割減、60歳定年退職後65歳まで空白期間雇用が現役時代(800万円)の3割で240万円5年分

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『賃金は上がらない』賃金の下落はなぜ起こるのか 生産性の上昇が雇用を押しつぶす!

2016-01-10 08:52:08 | 日記

製造業の将来にとって生産性の上昇は不可避だが、それは、必然的に雇用を押し潰します。すなわち賃金の下落につながるのです。今後、ロボットなどの普及で製造業の雇用はますます減り、賃金の安いサービス業の雇用が増えるようです。第一生命保険のように優秀な新入社員を確保するため営業担当職員の初任給を15年ぶりに月額2万円程度引き上げる方針を明らかにした例外もありますが、全体として賃金はデフレ脱却宣言をしたい政府の思惑とは反対に下落しています。さらに原発停止継続により日本の現在の化石燃料費は一昨年、年間20兆円ほども増加している。(資源価格の下落で直近緩和されつつありますが・・) これは国民一人当たり17万円程度の負担増であり、実際、それに呼応して実質賃金が下がっているところもあるようです。このようにイノベーションの享受により企業は益々生産性が高まり、雇用者数が減少してしまうのです。アップルのように1200億円もの新規設備投資をしても雇用者数はたったの50人しか増えない。賃金は上がらず、新興国やEUに流入している難民との格差は縮まるばかりです。そうした賃金が上がらない動きを察知したドイツの反イスラム運動「ペギーダ」は難民受け入れ反対の大規模デモ「難民と一緒に地獄がやってくる」とデモを日に日に拡大し続け、メルケル首相を脅かしています。

以下コピー

賃金の下落はなぜ起こるのか

まず、賃金の下落について、過剰雇用を抱え込むために、みんなで賃金を下げて辛抱した結果だというが、実際には、製造業からサービス業への雇用の移動が、かなり大規模に起きている。

このことを取り上げた論説として野口悠紀雄先生の:「日本経済の活性化に高生産性サービス業が不可欠」を取り上げよう。この論説の要旨をまとめると以下のようになる:


(1) 日本では製造業の雇用が減り、サービス業に雇用が移りつつある。

(2) しかし、製造業から溢れ出た雇用の受け皿となっている、介護などのサービス業の賃金は低い。 

(3) 経済全体の賃金の下落は、製造業の労働者が減少して低生産性サービス業の労働者が増加するために引き起こされる現象である。

(4) 賃金の下落が日本経済の停滞の原因なので、日本経済の活性化のためには高生産性サービス業が必要である。


という主張である。 この分析は正確で異論はない。 たしかに、サービス業の労働生産性は伸び悩んでいる(少しデータが古い)
エネルギー供給の拡大が人を豊かにしてきた

この問題を考えるために雇用が生まれるメカニズムを振り返ることにしよう。 

工業化が起きる以前、労働は人間の肉体労働と家畜の労働により支えられて来た。そのため、大部分の人たちは、食糧生産に従事せざるを得なかった。

ところが、石炭そして石油といった化石燃料を使うようになると、空中窒素固定法の発明や農業の機械化により食糧生産は飛躍的に増大し、効率的になり、多くの人たちが食糧生産から解放された(奴隷解放をしたのは、化石燃料で人道ではない)。 

実際、機械の労働は圧倒的で、1バレルの石油のエネルギーは、12人の人が1年間働くだけのエネルギーに相当する。 

食糧生産から解放された人たちは、化石燃料の持つ膨大なエネルギーを使って、工業を発達させ、生活を便利で豊かなものに変えていった。 つまり、化石燃料の持つ膨大なエネルギーが食糧生産から溢れ出た人たちの雇用を支えたのである。

第三次産業革命と第二次産業革命の違い

第三次産業革命(IT化)が、第二次産業革命(石油の使用による大量生産、大量輸送)と根本的に異なるのは、それがエネルギー供給量の増大を伴っていない点である。 エネルギーという観点から見ると、第三次産業革命は、流通の最適化などエネルギー使用の効率化を伴うものの、その効果には限界があるといえよう。

また、大きな問題として、アップル、グーグル、アマゾンといったIT企業は、非常に少ししか雇用を生み出さない、という問題がある。 
  
一例として、アップルがノースカロライナ州に 10 億ドルを投資して建設した巨大データセンターを挙げれば、新しく生まれた雇用はたったの 50 人分だけしかない。  

それどころか、デジタル技術の普及で職を失う、所謂、デジタル失業の問題が大きくなっている。 ホワイトカラーのアメリカの失業率は依然として高いままだが、こういったデジタル失業した人々への雇用確保が進まない限り失業率低下は難しい。

「デジタル化が脅かすFRBの失業率目標」は示唆に富む記事だ。

米国輸出入銀行EXIMの支援を受けた企業は2012年、製品とサービスの売り上げを増やし、これらの企業が利益を計上し、経済が拡大するのを後押しした。だが、こうした売り上げを生むために必要だった労働者の数は、活況を呈する業界(エンジニアリングデザインなど)でさえ減少した。2012年度だけで12%もの減少だという。EXIMは、主に米国の労働者を雇用し、概して新興国を生産への脅威ではなく、需要拡大の源泉として見ている米国企業に資金を供給しているとのことで、この雇用の減少の原因が、デジタル化による生産性の上昇かも知れないというのだ。

生産性の上昇が雇用を押しつぶす 

生産性の向上により失われた雇用を吸収する新たな産業が育っていないことは明らかだ。 それは何故だろうか。 

これは、非常に単純なことだ。新たな産業が出来るには、まず新たな市場、新たな需要がなくてはならない。 しかし、個々の企業が生産性の向上を行っても、社会全体が豊かにならないために、そのような新たな市場や新たな需要は生まれないのだ。 

それでは、なぜ生産性の向上が社会全体を豊かにしないのか、というと、エネルギー供給に限界が生じているからだ。 即ち

       エネルギー資源の減耗 ⇒  社会の豊かさの減少   
 

が既に顕在化している。 これが分かりにくければ、ドライブに出掛けることを考えればよい。 ガソリン代が高騰すれば、外食に掛ける金額も自ずと減少することが納得できるだろう。 エネルギー資源の減耗がエネルギー価格を高騰させ、その分だけ世界は貧しくなるのだ。   実際、98年と比較すると、日本の現在の化石燃料費は年間20兆円ほども増加している。 これは国民一人当たり17万円程度の負担増であり、実際、それに呼応して実質賃金が下がっているのだ。
 
旧来の需要は、既に、少ない人員で賄うことができるが、新たな需要を生もうにも、世界全体の

     物質的豊かさ = エネルギー産出 × エネルギー効率 

が伸びない現状では、

     生産量(付加価値)= 労働生産性 × 労働量 

の左辺が一定ないし、減少するために、生産性を高めても。社会全体の労働量が減るだけなのだ。 

従って競争のために不可避な生産性の上昇が、多くの失業者を生む一方、エネルギーコストの上昇に伴って、需要はどんどん減るという困った状態が続くだろう。 

雇用の流動化は不可避であり、それにより個々の企業の競争力は高められる。 しかし、その一方で、失業率の上昇、低賃金労働者の拡大が起きることは、覚悟すべきだ。 

将来的には、多くの人が職を持たず、ベーシックインカムで暮らし、ボランティア活動に生きがいを見出すような社会に移行するのかも知れない。 
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『逆境を超えてゆく者へ』 新渡戸稲造

2016-01-09 08:28:13 | 日記

年初から、世界経済は原油価格下落、中東危機、中国経済減速の直撃を受けて混乱しています。このような逆境のときには読書が一番。筆者は新渡戸稲造書の『逆境を超えてゆく者へ』を読んでみました。中で、大概の仕事はもう一息という大切なところで厭になりがちなものである。厭になって、中止してしまえば、それまでしたことも無駄になる。そこを辛抱して続けさえすれば、必ず目的は達せられるのだ。の紋々が気に入りました、一時ならば重荷を背負うことが出来ても、重荷を背負ったまま遠くまでいくことは大変なこと。しかし、やり遂げればその先に成功が待ち受けているということです。話を経済に戻すと、中国は予想通りというか政府が介入し安定し出しました。原油も先日も書き込みましたが筆者は下げ止まると読んでいますし、原油安は日本経済にはプラスさらに日本には金融緩和策が残っている。米国は引き続き経済が好調。そう考えれば必要以上に暴落を気にする必要はない。煽って儲けようとする輩がいるかもしれません。しかし、この輩は株価が反発すれば慌てて買い戻す。その場合は戻りも早い。日本は国を挙げて株価を引き上げようとしているので『国策に売りなし』のスタンスが基本ベストでしょう。

新渡戸稲造といえば「武士道」が有名ですが、明治時代から若者を啓蒙し続け、今なお たくさんの人たちに影響を与え続けている偉人です。

以下コピー

『人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし。心に望み起こらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基。怒りは敵と思え。勝つことばかり知って、負くることをしらざれば、害その身にいたる。おのれを責めて人を責むるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。』徳川家康遺訓

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「中国2015年外貨準備5127億ドルも減少」と発表、今日から「サーキットブレーカー」停止で上海株大暴落?

2016-01-08 08:33:41 | 日記

中国で今年から導入したサーキットブレーカーにより昨日の上海市場では開始29分で終日停止に追い込まれました。さらに、サーキットブレーカー導入により市場が機能しなくなりたった2日で「サーキットブレーカー」自体が停止に追い込まれるようです。はたして、今日の上海市場は大暴落せずに株価が持つのでしょうか?世界第2位の経済規模で、外貨準備高が大幅減少した中での大混乱です。実需の売り圧力と政府の人為的買い支えとの戦いです。『資産家ジョージ・ソロス氏は、世界の市場は危機に直面しており投資家は大いに用心する必要があると警告』と警告しています、今日にも起こるかもしれない日経暴落まで視野に入ります。朝の株式番組で司会者が今日の市場予想をか聞かれ「そんなの分かりません」と答えていたのが、印象に残ります 笑。当面は、世界的パニック的な株価下落は避けられないでしょう。日本に限れば日銀の金融緩和があるのか?財政出動は?が焦点になるはずです。

以下コピー

【上海時事】7日の上海株式市場は中国経済や人民元安への懸念を背景に寄り付き直後から急落し、開始から30分でこの日の取引が打ち切られた。
 市場全体の値動きを示す上海総合指数は、前日終値比245.96ポイント(7.32%)安の3115.89だった。
 香港、台湾など他のアジアの株式市場も大きく下げており、世界同時株安の様相が再び強まっている。
 上海市場では年明けから、相場の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制が導入された。この日は取引開始約10分後に指標とする株価指数が5%安に達し、15分間取引が停止。再開後も売りが止まらず、同指数が7%安になった時点で、取引は終了となった。 

市場ではパニックが広がっている。資産家ジョージ・ソロス氏は、世界の市場は危機に直面しており投資家は大いに用心する必要があると警告。中国株のCSI300指数は7日、7.2%急落してサーキットブレーカー発動となり、その後は売買が終日停止となった。このような展開は今週に入って2日目。中国人民銀行(中央銀行)が予想以上に低い水準に人民元の中心レートを設定したため、景気減速で当局が元安誘導を行っているとの懸念が強まった。

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原油暴落、7年ぶりの安値更新『投機家には逆風でも、日本経済には追い風』

2016-01-07 09:18:25 | 日記

原油の下落が7年ぶりの安値で止まりません。リスクテイクオンにより30ドル割れも視野に入ってきました。昨年の今頃は当ブログで50ドル割れを紹介し、危機を煽りましたがわずか一年でさらに4割近くの下落です。このまま今年も昨年のように、4割下落して最終的に20ドル割れしてしまうのか?否、筆者はそのような予想はしません。それどころか原油価格はまもなく反転するのではないでしょうか?つられて下落を続けていたNYダウ、日経平均も反転するでしょう。リスクオンにより急激に進んだ円高も円安に振れだす。このようにプロの予想は次々に外れ、世界経済はカオス状態に陥ります。もし今日も下げて、大発会から4連敗は阪神大震災以来の21年ぶりのワースト。もはや2017年の消費増税を停止しても主力株価は下げ止まらないレベルですが、さすがに短期では企業決算予想から下げ過ぎ反発は必至です。さらに、原油のこれまでの下落は、市場価格に折り込まれておらず、今後のガソリン価格下落に繋がり実態経済でクルマを利用する業界・世帯には追い風です。今年の日本経済は全体の底上げは無理。ガソリン価格の恩恵など個別に利益を享受するしかない状況です。

以下コピー

6日のニューヨーク原油先物相場は3日続落し、指標の米国産標準油種(WTI)2月渡しが前日比2・00ドル安の1バレル=33・97ドルで取引を終えた。終値で2008年12月中旬以来、約7年1カ月ぶりの安値水準。取引時間中には1バレル=33・77ドルまで下がる場面もあった。

 朝方発表の米週間石油統計でガソリンの在庫が大幅に増えたことで、原油についても供給過剰感が一段と強まると警戒された。

 景気減速に伴って中国のエネルギー需要が落ち込むとの懸念や、サウジアラビアとイランの断交で、産油国間の協調減産に向けた調整が一段と困難になったとの見方も売りを促した。(共同)

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上場企業、生涯給料ワースト50 生涯給料1億円以下のオールブラック企業が7社・・

2016-01-06 09:44:06 | 日記

政府内ではもはやデフレではないとか、春闘での賃上げ期待が高まっているようですが、上場企業給料ワースト500を見てみるとそのような状況ではないようです。花の上場企業でもこの状況ですから、中小企業などではアベノミクス賃上げの恩恵をほとんど受けていない従業員が大勢います。原発停止コスト高の影響で賃上げがストップしている企業もあります。新三本の矢では希望出生率1.8を2020年代初頭に実現する目標ですが、自分たちが生活するのに目いっぱいの状況では実現は難しいでしょう。消費の実態は今年の正月ではスーパーで売れ残りがたくさんありました。なんと12月31日ですら閉店間際は2割、3割引き当たり前でした。価格が上がり不要な出費を意識して抑えているようです。政治家の判断は分かりかねますが、消費増税を明言せず衆参ダブル選挙を行わない判断をしても、国民はもはや自民党に投票するしかない。野党に投票すれば増税容認だからです。しかし、選挙後、わずかな望みを託した自民党が誤って増税に舵を切れば日本経済はハシゴを外され、円高、株価は大幅下落、消費は落ち込み不況入りするでしょう。

以下コピー 今回の対象としたのは上場企業約3600社のうち、単体の従業員数が30人に満たない場合や、平均賃金の発表ない企業を除いた3239社。最新の有価証券報告書(2014年6月期~2015年5月期)の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成25年度賃金構造基本統計調査」を基に試算した。

 

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慰安婦最終合意で韓国内逆風…「最終的かつ不可逆的な解決」で朴外交の不祥事へ

2016-01-05 10:38:20 | 日記

昨年12/28日に日韓合意で慰安婦問題政治問題に終止符が打たれました。しかし、韓国側世論では早速『1969年ウィーン条約法条約第2条によると、条約とは、様々な名称にもかかわらず、「書面で作成され、国際法によって規律される国家間の合意」を意味する。』として、書面による合意ではないと再燃させる機運もあります。しかし、ウィーン条約を持ち出せば日本大使館前の「平和の少女像」(少女像)はウィーン条約違反であり、合意の撤去は当然です。「終わりを求めたことで賞賛されるべきである」とNYタイムズ社説でも書いています。日本国内では合意否定が今のところ大勢ですが、慰安婦問題に政治的終止符が打たれたことは賞賛すべきでしょう。一方韓国内では挺身隊問題対策協議会(挺対協)など関連団体が強く反発しており、朴槿恵大統領の外交不祥事・政権崩壊に発展するかもしれませんが、これ以上の謝罪・妥協は今後日本政府は自民党政権が続く限り総理が変わっても出来ないでしょう。その意味では国民も再燃させかねない野党に政権を渡したくない、自民党長期政権の礎です。

以下コピー

 韓日外相の日本軍“慰安婦”被害者関連「12・28合意」が僅か2日目にして総体的乱気流に巻き込まれている。 日本側では“合意精神”を否定する韓国政府関係者の発言やマスコミの報道が乱舞し、韓国では被害者たちと韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)など関連団体が強く反発している。 野党は“合意の取り消し”と再協議まで要求した。 非難世論が激化して大統領府と外交部は困惑した表情を隠せずにいる。 激しい逆風に包まれた12・28合意が朴槿恵大統領の“外交惨事”に上り詰める可能性も排除できない。

 安倍晋三首相は側近に「昨日ですべて終わりである。再び謝罪もしない。以後(韓国と関係で)この(慰安婦)問題について一切話さない」と明らかにしたと産経新聞が30日付で報じた。 安倍首相は「この事実を(28日夜朴大統領との)電話会談でも話しておいた」とも言及し、韓国政府の暗黙的同意を得たことを表わした。 これは安倍首相が直接“謝罪”と“反省”を表明するつもりはないという意味で、今回の合意が日本首相の謝罪書簡などが含まれた1995年アジア女性基金や李明博(イ・ミョンバク)政権時に検討されたいわゆる「佐々江案」より後退したものという批判に直面することもありうる。

 日本政府が予算から出捐することにした10億円(97億4300万ウォン)が、駐韓日本大使館前の「平和の少女像」(少女像)撤去・移転を前提としたものという日本マスコミの報道が相次ぎ、争点に浮上した。 朝日新聞はこの日付1面トップ記事で、複数の日本政府関係者の話を引用し「少女像を移転することが財団に資金を拠出する前提になっているということは、韓国(政府)も内部的に確認している」と伝えた。 読売新聞も日本政府高官の話を引用して「日本政府が韓国政府に早期に少女像を撤去するよう韓国政府に要請したし、韓国政府も前向きに努力するという意を明らかにした事実を確認した」と報道した。

 これについて大統領府関係者は「全く事実でない」と否定し、ユン・ビョンセ外交部長官は「誤解を誘発しかねない日本側の言動がないことを望む」と明らかにした。 波紋が広がると日本政府当局者はこの日午後、連合ニュースに「(日本の)国民感情として10億円を出すので平和の碑(少女像)を撤去して欲しいと考える人はいるだろうが、そのように考えることと約束の前提条件ということとは全く違う」と関連報道を否定した。

 挺対協はこの日声明を出し「韓日両政府は拙速合意を直ちに取り消し、被害者の要求に耳を傾け被害者が受容できる正しい方法で慰安婦問題を解決せよ」と要求した。 挺対協は韓国内外の市民社会・専門家が参加した対応組織を作り、韓国全土に設置された少女像の前で毎週リレー水曜デモを続ける計画だ。 この日正午、ソウル鍾路区の日本大使館前で開かれた第1211回水曜集会に参加した慰安婦被害者イ・ヨンスさん(88)は、「先に亡くなったおばあさんたちの恨みをはらして差し上げるためにも、日本の公式的な謝罪と法的な賠償を当然受けなければならない」として、合意案の撤回を要求した。

 共に民主党(新政治民主連合から改名)の文在寅(ムン・ジェイン)代表は、この日の最高委員会で「この合意は国民の権利を放棄する条約や協約に該当するので、国会の同意を受けるべきだが、同意がなされていないので無効であることを宣言する」として、政府に再協議を要求した。 共に民主党はユン・ビョンセ外交部長官に対する解任建議案を提出して、国会常任委次元の真相究明を推進することにした。

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50歳を過ぎても成長できる人は、人生をこう過ごす

2016-01-04 09:35:40 | 日記

人生50歳を超えると健康であるにもかかわらず子育てにも目処が立ち、自分にも知らぬ間に格付けのような物が出来上がり、燃え尽きてしまう人が多くいます。筆者も50才を軽く超えていますが、将来の年金など後ろ向きのダメ話は雑談でも聞かないようにしています。人間知らぬ間に自己満足・後ろ向き、同化されてしまうからです。フェイスブックなどの友達数を競う競争などは意味がなく同化・傷の舐め合い・人生を後ろ向きにさせるものです。生きている限りは下記の「50代は滑走路だと思っている」という考え方が重要で、十分な下準備の上で60歳を超えて、知力・体力・金力・人脈などの総合力で人生の頂点を目指し生きるのが正しい生き方であります。健康年齢を大切に、生きている限り、挑戦し続けましょう。

以下抜粋コピー

私たちは、キャリアは成長するもの、成長させるものだと考えている。ところが、多くの人は勘違いをしている。若い頃は夢ばかり見ている。夢だから当然根拠もなく、地に足がついていないから努力もしない。いわゆる青い鳥症候群に冒されている。

 シニアになると今度は逆で、自ら自分の可能性を信じなくなる。「これもダメだった、あれもダメだった」と自問自答し、その先の選択肢をせっせと減らしていく。

 そして、50歳を超えると、半径5メートルほどの世界にしか目がいかなくなる。心配事と言えば、家のローンと親の介護、それと年金くらいだろうか。

 本当にそれでいいのだろうか。それは違うと私は思う。では、自分の人生に向かって、どう構えるべきなのか。若いビジネスパーソンは、将来の夢を追いかけるためにも、しっかりと今の仕事の意義を知り、必要な研鑽を惜しまず、今を積み重ねて行くべきなのだと思う。夢の前の足場固めに取り組むということだ。

 そしてシニアになったら、未来のこと、社会のことをもっと考えるようにならなければいけない。

 つまりは末広がりのキャリア、老いてなお成長させるキャリアこそが幸せなキャリアなのだということ。そのことを、年頭に当たって改めて皆さんと共有したい。

● 成長し続けられる人は 他人から期待される状態を自ら作る


 成長するためには努力をし続けなくてはいけない。では、どうすれば努力を続けることができるのか。それは、「間違いなく努力は実る」という可能性を信じられるかどうかにかかっている。

達成すれば得られる見返りが魅力的で、しかもそれが、努力次第で得られる可能性が高い時に、人は努力できるものなのだ。これを動機付け理論の中では期待理論という。

 だから、キャリアを成長させるためにはまず、自分はキャリアを成長させることができると信じなければいけない。ところが、最初は思い込みでもいいだろうが、自分一人の思い込みで可能性を信じ続けることは難しい。

 周りの皆から「無理だ」と言われ続けたら、しばらくは頑張れても、長くはもたない。いつかは陥落する。「わかった。私には無理だ」と自分も思うようになってしまう。

 逆はどうだろうか?  皆から「お前ならば大丈夫だ」と言われれば、何となく「できるかもしれない」と思えてくるだろう。努力すれば何とかなると思った瞬間に、人は努力できる、努力し続けることができるようになるものだ。

 つまり、自分の可能性を信じるためには、周囲が期待してくれることが大切なのだ。ただし、ここで発想を転換することが求められる。ただひたすら周囲から期待されるのを待つのはいかにも情けない。他人に人生を委ねるようなことを、私は勧めない。

 確実に人から期待される状態を自ら率先して作るべきなのだ。つまり、周囲の期待を集め続けられるように、組織の中で適切な立ち位置を取り続けなければいけない。これが私のキャリア成長論のベースだ。期待されるようにしたたかに振る舞うことが求められる。

● 言われたことをクリアして 「優秀」と言われる20代を過ごす

 キャリア成長論はとてもダイナミックに変化する、20代の頃に周囲から期待される立ち居振る舞いと、30代のそれは違うし、40代、50代と当然すべて違うということだ。年代に合わせて立ち位置を変えていくことが求められる。

 この、年代に応じて立ち位置を変化させるというのが実はとても難しい。20代のころに周りから期待されてちやほやされると、そのままの行動様式で30代も振る舞い続けてしまって、今度は周囲の期待を裏切り、過去の人になってしまうということが非常に多い。これは30代から40代、40代から50代でも同じだ。

 だから、10年ごとに自分のキャリアを振り返り、その後の10年のキャリアテーマを決めていく必要がある。

 もう一つ、若いうちのキャリアテーマは皆、似たり寄ったりであっても、経験を重ねるにしたがって、バリエーション、つまりは個人差が豊かになっていくものだ。だから、40代ともなれば、それこそ自分なりの、個性的なキャリアテーマを設定できないと、周囲の期待はもはや集められなくなる。その点は注意してほしい

さて、まずは20代から足早に振り返ってみよう。20代の場合、最初の3年間は型にはまるときだ。「石の上にも3年」。仕事の型を身に着ける。キャリアテーマは周囲、上司を「安心させる」こと。3年経ったときに言われたい評価は、「○□○□さんもうちの人らしくなったね」、だ。仲間として認められた証拠だ。そうなれば、相応の仕事が与えられるようになる。

 その後のおよそ5年間のキャリアテーマは「優秀な部下であることを認めさせる」こと。30歳になる頃に何と言われるようになりたいかと言えば、ズバリ、「○□○□さんって優秀だね」である。何について優秀ということではない。ビジネスパーソンとして、部下として優秀といった意味でいい。

 ベースとなるのは、与えられた仕事を手際よくこなせること。その上で、その会社なりの優秀の定義は違うから、その癖を早く知り、その会社なりの優秀さを体現するのがいい。そのためには、ロールモデルとなる先輩を見つけて、真似をするのが近道だ。

 ここで「優秀」と思われれば、さまざまなチャレンジングな仕事を任されるようになるはずだ。

● ただの「器用貧乏」にならない “プロ”になれる人の30代

 ところがこのままで30代も過ごすと、ただの「器用貧乏」になる。ここが一番辛いところだ。周りから期待されるままに、何でも言われたことを器用にこなす。皆から感謝されて、優秀だと評価される。当然、そういった状態を続けて行きたくなるのだが、30歳を超ええるとそれだけでは周りが認めなくなってくる。

 今度は、「○□○□さんって、優秀だけど、なんていうか、要するに器用貧乏だよね」と言われるようになってしまう。周りに期待されるままに何でもこなしてきた人にとっては、理不尽極まりない評価の豹変。しかし、これが現実だ。

 では30代のキャリアテーマは何かというと、「プロフェッショナルになる」だ。組織の中で、自分なりの旗印を掲げられるようにならなければいけない。その結果、40代になる前に言われたい言葉は「××と言えば、○□○□さんだね」だ。こうなれば、周囲の期待も膨らむ。

 ここで「××」に当たる領域であるが、これは何でもいい。技術領域であったり、商品領域であったり、経理や人事といったファンクションであったりするだろうが、むしろ、そうした専門領域だけでなく、もっとヒューマンスキル的なものもあったほうがいいし、そちらの領域に特化しても構わない。

 たとえば揉め事を仲裁させる力とか、部下の面倒見の良さとか、組織を活性化できる力とか、そうした才能だ。

● 40代という「出世の10年」を経て 会社の内外で認められる人材に

 いよいよ40代であるが、この年代は、会社の中で自分の運命を大きく変える、極めて重要な10年だと思う。私はこの10年間を「出世の10年」と呼んでいる。

 「出世かよ? 」と思っただろうか。出世の亡者になる、と考えたならそれは早とちりだ。私の言う「出世」は仏教用語のそれだ。仏教用語の出世には二つの意味がある。一つは「俗世の煩悩から解脱して悟りを得る」こと、もう一つが「諸仏が衆生を救うためにこの世に現れる」ことだ。

 私なりに、この二つの意味を合わせてビジネスの言葉に変えてみると、次のようになる。「会社の枠を超えて、世の中に価値を生むような仕事をすること」である。

 つまり40代になったら、会社の中だけに留まっているのでは足りない。会社の外から見て、「どこどこ会社に誰々さんあり」と言われるようにならなければダメだ。そのためには当然、自分が中心的な役割を担って、会社の外からも見えるような仕事をしなければいけない。そうなれば、会社の内外から期待される存在になり得る。

 会社の外からも見える、それだけの仕事をするために絶対に欠かせないのがリーダーシップだ。さらに巻き込んだ人々をチームとしてまとめてあげ、成果を出すためのマネジメント力である。そうした力を使って、会社内の役職とは関係なく、社の内外のメンバーをオーガナイズしなければ、広く認められる仕事を成し遂げることは絶対できない。

 そして、40代の終わりまでに「どこどこ会社に誰々さんあり」と言われるようになる。転職しなくても、独立しなくても、会社の外の人から認知される存在になることが必要だ。

 そうなって初めて、正当なマーケットプライスもついてくる。当然転職もしやすくなるし、独立もしやすくなる。しかしここでは、それでもなお、会社に留まるとしよう。

● 50代はそれまでの場所を空け 新しいことにチャレンジする10年

 次に50代。この10年間は60代以降を幸せに過ごすための助走期間だ。会社ではどういうことを期待されているかといえば、役員になって上に行くか、そうでない場合は、横や子会社に行くなども含めて、自らそのポストを降りるということになる。

 つまり、いずれの場合でも後進のために、その場所を空けることが求められる。そこに居座ってはいけない。40代と同じように、自分が主役を張り続けていたのでは、しまいには周囲から疎まれることになってしまう。だから、50代は、自らのポストを空けることが一つの大切な目標、キャリアテーマとなるわけだ。

 では自分はどうなるのか。新しいことを始める。執行役員になったとしても、社外に出たとしても、関連会社に行ったとしても、別の部署に行く、新規の部署を立ち上げるにしても、周囲から「誰々さんが、また新しいことを始めた」「すごいね」と期待されることになる。

 それがなく、ただポストを追われる、役職定年になるのとは大きく違う。自らの成長戦略として、いつまでも同じ場所に留まらない。そのための道の一つが、転職でもあり、独立でもあるのだ。あるいはそれに似たことを同じ会社の中、そのグループの中で始めて、新たな価値を生む。それは素晴らしい成長戦略だと思う。

 私は、50代は滑走路だと思っている。上に行く場合も含め、自分の今までの仕事を後進に譲るために、組織に一体何を残すのかをしっかりと考えなければいけない。さらに、そこから先の自分のキャリアをこれまたしっかりと描くことが重要だ。

 それができれば60歳以降のいいスタートが切れる。そこまでのイメージを、今から持っておいてもらいたい。その上で、バックキャストして、50代、40代、30代というふうに、その時々の自分なりの、より詳しいテーマ設定をすべきなのだ。

 最後に一言。一番いけないことは絶望だ。絶望とは、哲学的に言えば、すべての可能性が失われることを言う。その可能性を作り続けるのは自分自身だ。あなたの可能性はあなたが作る。その覚悟をもって、今年も1年を過ごしてほしい、そのためのアドバイスをこれからも続けていきたいと思っている。

野田 稔

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野田前首相新春消費税軽減税率に吠える!「財源なくして政策なし」

2016-01-03 09:19:19 | 日記

民主党内にあって原理原則を主張し続け、消費税引き上げ法案と引き換えに捨て身で衆議院を解散させ、消費税引き上げや2013年以降の経済回復の最大の功労者 野田前総理がTBSの新春「時事放談」で正論です。消費税に対する発言は①財源が無い中の消費税の軽減税率に反対。②5月以降65歳以上有権者1200万人対象に支給する臨時給付金3万円は「参議院単独?衆参ダブル選挙対策の合法的な選挙対策の買収」今回は恨みつらみがテレビで爆発はしたのでしょうが辛辣な正論批判です。今年の日本経済は掲載している山のように6月ぐらいに向けて日経平均が輝き、年末にかけて尻つぼみになるのかもしれません。いずれにしても日本経済は原油相場・消費増税に振り回される波乱の展開予想です。

 

以下コピー  民主党の野田前総理がTBSの「時事放談」の収録で、与党が合意した消費税の軽減税率について、財源が確保されていないと厳しく批判しました。

 「私は軽減税率に反対なんです。“財源なくして政策なし”だと思います」(民主党 野田佳彦前総理大臣)

 野田氏はこのように軽減税率の導入を厳しく批判しました。

 これに対し、自民党の石破地方創生担当大臣は、政権として財政再建に責任を持つ姿勢を強調しました。

 「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないと強く認識。そんなことこそ弱者切り捨てだと思っているから、そんなことだけはしてはいけない」(自民党 石破茂地方創生担当大臣)

 また、野田氏は、夏の参議院選挙前に低所得の高齢者に1人3万円を配る臨時給付金についても、「投票率の高い65歳以上を狙って配るのは愚民思想だ」と安倍政権を批判しました。

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『謹賀新年』 2016年は米大統領選の年、「共和党支持労働者階級のヒーロー、トランプ氏どうなる?」

2016-01-01 10:59:23 | 日記

 新年明けましておめでとうございます。新年に当たり皆様のご健康、ご繁栄をお祈りいたします。さて、今年の重大イベントは2月から始まる予備選そして11月の米大統領選挙です。順当に行けば、ヒラリー・クリントン前国務長官ですが、共和党指名争いでトランプ氏が高卒以下の共和党支持者のハートをがっちり掴み「階級闘争」を表出させて想定外の善戦をしています。大方の意見では失速するとの見解ですが、トランプ氏以外の共和党候補が民主党ヒラリー・クリントン前国務長官に勝てるか?となれば疑問符がつきます。マイノリティの支持がある民主党に対して今のままでは共和党はずっと勝てない気すらします。いずれにしろ、世界情勢を含めて大揺れを予感させる2016年です。

以下、抜粋コピー

大統領奪還を目指す共和党では本命とされていたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の人気が低迷、イスラム教徒や中南米移民排撃で暴言の限りを尽くす富豪トランプ氏が断トツで支持率トップを突っ走る。人種的少数派の支持なくして共和党の将来はないと見る党指導部は大困惑だ。

 他方、民主党の候補者選びはヒラリー・クリントン前国務長官に収斂しているが、社会主義者を標榜するサンダース上院議員が予想外に健闘している。

 移民排撃に社会主義――。いったいアメリカに何が起きているのか。アメリカ論壇の議論を追ってみよう。

■労働者の不満に応えているか

 トランプの突出は共和党における「階級闘争」の表出だ。世論調査を基に、そう論ずるのは『ワシントン・ポスト(WP)』紙のベテラン政治コラムニスト、E・J・ディオンだ。「億万長者のトランプは共和党を支持する労働者階級のヒーローなのだ」とディオンは言う。【Class war comes to the GOP, The Washington Post, Dec. 7】

 12月4日に発表された『CNN/ORC』世論調査によれば、過去数カ月の各調査が示していた1つの傾向が「劇的に」明らかになった。大卒の共和党支持者を見れば、支持率トップはクルーズとルビオの両上院議員(ともに19%)で、トランプは1ポイント差を付けられて2人の後塵を拝している。だが、高卒以下の共和党支持者は違う。トランプ支持率はなんと46%、続くクルーズ、ルビオらは10%前後に過ぎない。両学歴グループの間でトランプ支持に28ポイントもの差があるのだ。この大差によりトランプ支持は全体で36%にもなり、2位(クルーズ)以下を20ポイント以上引き離した。【Full results of CNN/ORC polls, CNN politics, Dec. 4】

 共和党主流派がトランプに太刀打ちできないのは、白人労働者階級の共和党支持者らの期待にほとんど応えてきていないからだ。彼らは、自分たちが置かれている経済的苦境の原因は移民であり、福祉にたかるような奴らがいるからだ、と感じている。彼らの不満の背景にある「経済的原因」への対処が必要だ。2大政党の主流派がそれを理解すれば、トランプ旋風も収まる、とディオンは言う。この分析はトランプ現象の核心を突いている。また、社会主義者サンダースの健闘の背景にも通じる。


■「中産階級ラディカル」の復活

 閑話休題。ディオンの分析の下敷きになったと思われるのが、現在は政治専門誌『ナショナル・ジャーナル』に籍を置くベテラン政治記者ジョン・ジュディスの論文「中産階級ラディカルの復活」だ。トランプ現象を解明する必読文献として推奨したい。【The Return of the Middle American Radical, National Journal, Oct. 3】

 ジュディスは、過去半世紀ほどの米政治を分析する上で重要な投票者集団として「アメリカ中産階級ラディカル」を指摘する。時に有権者の4分の1を占めるほどの大集団だ。学歴は高卒以下、所得は中から中の下、工場労働者か、あるいは営業・事務職のホワイトカラーだ。政治意識は右翼左翼(従来の保守・リベラル)では単純に割り切れない。政府は金持ち階級と貧困階級だけを相手にし、「(下層)中産階級は無視されている」という強い不信感を持つ。大企業は力を持ち過ぎている、と感じ、政府には福祉政策や年金制度を、さらには物価統制や就労・教育支援までやってほしいと思っている。政府が嫌いなのか好きなのか、ないまぜの心理だ。

 この中産階級ラディカルこそが、民主党の人種隔離廃止政策に反対し、党を割って「アメリカ独立党」から1968年大統領選に出馬したウォレス元アラバマ州知事を、また1992年や1996年大統領選で共和党あるいは無所属(第3党)候補として旋風を巻き起こしたブキャナンや富豪実業家ロス・ペローの支持母体となった。そして今、トランプ旋風の原動力となっているのも彼らだ、とジュディスは見る。

 さらに遡って、19世紀末~20世紀初頭に第3党「人民党(People’s Party)」の強い支持を受け、繰り返し民主党大統領候補になったブライアンや、1930年代にルイジアナ州で絶大な権力を誇った大衆政治家ヒューイ・ロングら、ポピュリスト(語源はアメリカの「人民党員」)と呼ばれる政治家らがいる。米政治史上に特異な足跡を残した彼らを生みだしたのも、中産階級ラディカルだ。

 支持基盤の中産階級ラディカル同様に、ポピュリスト政治家も単に右翼左翼では分けられない。政府と結託する大企業や金持ちは「人民の敵」だとして怒りの標的にする。そこまでは左翼だ。加えて、黒人など少数派や移民も下層中産階級を収奪する敵だとみて怒りをぶつける傾向を強く示せば、右派のポピュリストだ。

 トランプは、年金制度や高齢者向け医療保険制度などを政府がしっかりと維持するよう求め、また道路・空港などインフラ整備への財政出動を惜しまない姿勢だ。「小さな政府」指向の(アメリカ型)保守とは明らかに違う。日本の報道では見逃されている点だ。

 ジュディス論文が明らかにしているように、この「アメリカ中産階級ラディカル」の概念を提示したのは、ドナルド・ウォレンという無名の学者の1976年の著書『ラディカル・センター』(Donald Warren “The Radical Center: Middle Americans and the Politics of Alienation”)である。社会主義が根付かなかったアメリカで、どのように不平等解消に向け民衆の力が結集されていくのか。ポピュリズムや「ラディカル・センター」の概念がきわめて有効に思われる。

■白人労働者階級の「意識」

 ジュディスが描くような中産階級ラディカルの抱く懸念の存在を裏付けているのが、ワシントンの公共宗教調査研究所(PRRI)がまとめて11月に発表した年次世論調査報告書『不安・ノスタルジア・不信』だ。【Anxiety, Nostalgia, and Mistrust, Public Religion Research Institute, Nov. 17】

 この報告については、11月19日付WP紙でコラムニストのハロルド・メイヤーソン(数少ない社会主義者著名人の1人)が要点を簡潔にまとめているので、それに拠って紹介する。アメリカでは民主・共和2大政党の支持者がますます左右に分極化していると言われるが、異様なほど共通点もあることが世論調査で分かった。アメリカ人の大多数は政党支持の違いにかかわらず、金持ちと大企業に有利なように「経済や政治制度は仕組まれている」と感じ、金持ちと大企業が及ぼす力のため選挙においても「一般市民の票は問題とならない」と考えている。64%の市民がそう考えており、そうとは思わないという36%の2倍近い。【Americans see a rigged system, WP, Nov.19】

 調査対象者の86%が企業の海外移転による雇用の流出こそが米経済の問題の元凶だと答えている。2012年の調査では74%だったから、この3年で大きく伸びている。77%(共和党支持者でも67%)が、企業は収益を社員にきちんと還元していないと見ている。79%(同63%)が、米国の経済システムは金持ちを不当に優遇していると答えた。2012年には66%だった。連邦の最低賃金を時間あたり10.10ドルに上げよという要求は76%(同60%)。民主・共和を問わずもっとも高い比率で一致を見たのは、「政府は誰の利益を考えているか」という設問への答えだ。ともに90%前後の民主党支持者、共和党支持者がそれぞれ「金持ち」「大企業」と答えており、両党での差は4~5ポイントと小さい。共和党支持の白人労働者階級に特異なのは、政府は少数派や移民の利益を重視している、人種的多様性は米経済と文化の衰退をもたらしたという意識が強い点だ。

 この最後の「意識」が、白人労働者階級をトランプ支持に回している要因だ。だが、経済制度が金持ちと大企業に有利にできているという不満から、社会主義者サンダース議員や、民主党左派の代表的政治家で「ウォール街を占拠せよ」運動の思想的指導者エリザベス・ウォレン上院議員を支持してもおかしくない。

■クリントンの共和党版を

 トランプ現象を見ていると、本稿冒頭で指摘したような共和党のジレンマが浮き彫りになってくる。保守大同団結の上に経済的苦境にあった白人労働者階級をも民主党から引っ剥がして、「小さな政府」と減税による繁栄追求で保守黄金時代を築いたレーガン大統領以来の伝統は、もう持たない。白人労働者らは政府に救済を求めている。大企業中心の繁栄は下層中流階級に恩恵をもたらさない。

 その状態を放置すれば、共和党支持の中流階級の怒りは、トランプのようなデマゴーグによって移民や黒人・中南米系貧困層など下層に向けられる。結果、共和党は、いずれ現在の人種少数派が米国人口の多数派を構成する時代に対応できない政党になってしまう。

 そんな共和党の苦境をインタビューやルポで生々しく描き出しているのが、高級誌『ニューヨーカー』11月9日号が掲載したジャーナリスト作家ジョージ・パッカーの「共和党階級戦争」だ。【The Republican Class War, The New Yorker, Nov.9】

 パッカーが注目するのは、ネオコン系や宗教保守系の保守論客らを中心に、すでに2012年大統領選の敗北を受けて始まった共和党の変革を図ろうとする運動だ。今回の選挙でも、主流派候補らの政策アドバイスを行っている。彼らは改革派保守、略して「リフォーモコン(reformocon)」を自称する。中心メンバーはレーガン、ブッシュ父子の3代にわたる共和党政権で内政を主に担当したピーター・ワーナーや、息子ブッシュ大統領のスピーチライターを務めたマイケル・ガーソンら。前者は『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』紙で、後者もWP紙でコラムニストとして論陣を張る。影響力がある。

 リフォーモコンは、1980年代にレーガン保守革命に追い込まれた民主党の改革派が、民主党指導者評議会(DLC)を結成し、犯罪対策や福祉政策で保守寄りに路線を変更してクリントン政権を生みだした例に倣おうとしている。今度は共和党が中道化を図って、政権奪取を狙おうというわけだ。ワーナーは、「来年の大統領選でクリントンの共和党版を候補に立てたい」と公言してはばからない。共和党は、いずれ人口の多数派となる人種的少数派も含め、経済困難に直面する下層中産階級の側に立つのだ、と言う。

 リフォーモコンはすでに昨年、こうした方針に沿った社会福祉・医療保険・教育などの政策提言を盛り込んだ冊子「成長への余地」を発表している。【Room to Grow】

■本格派ジャーナリズム健在

 まさにトランプの右派ポピュリズムが狙ったところと重複する。パッカーも指摘するように、トランプ支持者は思想傾向では右も左もない。高卒以下の白人が主体である。トランプは、社会福祉を維持し、雇用を海外に流出させる企業を罰し、ヘッジファンドに重税を課すと誓って、経済苦境にある下層中産階級の喝采を浴びている。改革派保守の政策提言冊子よりも、トランプの騒がしい演説の方が白人労働者階級にはピッタリくる。改革派保守にとっては、お株を奪われたような状況だ。

 トランプの主張は改革派保守など飛び越えて、いっそう社会主義的なところもある。だから、当然、保守本流のメディアとも衝突する。財界を代弁し、減税・自由貿易など経済保守本流を行く『ウォール・ストリート・ジャーナル』とは真っ向からぶつかるし、保守派ケーブルTV局『FOX』とも激突している……。

 パッカーの長文ルポは最後に、なぜ下層中産階級は改革派保守の呼びかけに応えないのかという問いに、労働者らが置かれた厳しい現実の描写で答えている。改革派保守は家族、教会、共同体の立て直しなど、これまでも繰り返し提起された施策を打ち出しているが、いま労働者が企業内で置かれている状況ははるかに厳しい。「面と向かって話し合ってことを進める、ということなどない。すぐにも手当が必要な事態に何の助けも得られない。家族などまったく無視される。この先、給与をもらえるか見通しがない。職もなくなるかもしれない。不安の中で死にものぐるいで肩を寄せ合うだけだ。グローバルな競争が労働者を使い捨てにしている……」

 そんな中で、彼らはサンダースやトランプの中に「何か望みが見つからないか」と必死になって探しているのだ、とパッカーは言う。

 ニューヨーカー誌のこのルポを読むと、伝統メディアの衰退が言われながらも、アメリカでは依然、市民生活から政策立案、思想までを広く見渡し取材する従来の本格派ジャーナリズムが健在だという印象を強く受ける。


■声ばかりで力がない「右派」

 トランプ旋風を目の当たりにして、さらに11月30日付NYT紙が載せた『アルジャジーラTV』のニュースショー司会者によるコラム「どうしてブッシュが懐かしいか」を読むと、アメリカ政界の排外主義の急激な高まりに驚く。【Why I Miss George W. Bush, NYT, Nov. 30】

 3000人近くが死亡した2011年の9.11テロから1週間後、当時のブッシュ大統領(共和党)はワシントンのイスラム教センターに出向き、イスラム指導者らと並んで記者会見に臨み、「テロはイスラムの真の信仰とは無縁だ。イスラムとは平和の意だ。われわれは悪と戦う。イスラムと戦うのではない」と断言した。いま、共和党大統領候補を狙う政治家の口から出るのは反イスラムの憎しみと恐怖を煽る言葉ばかりだ、とコラム筆者は嘆く。

 では、アメリカは右傾化したのか。いや違う。アメリカはむしろ、どんどん左傾化しているのだ、と論じるのはリベラル派の中堅論客ピーター・ベイナートだ。総合誌『アトランティック』に論文「アメリカはなぜ左傾化しつつあるか」を寄せた。今日のアメリカ社会と政治を別の角度から切り取ってみせる。ベイナートが左派応援団であることを差し引いても、示唆するところが多い。若者たちが「社会主義」を肯定的にとらえているという調査結果と符合するのかもしれない。いまアメリカで起きている現象を右左で単純に割り切れないことを示している。【Why America Is Moving Left, The Atlantic, Dec. 21】

 ベイナートは言う。1960年代、ベトナム戦争反対運動などで民主党は左傾化しすぎ、その反動としてニクソンの「もの言わぬ多数派(サイレント・マジョリティ)」動員、レーガン革命による保守政治興隆で、ついに1990年代のクリントン政権による民主党の中道化を招いた。しかし、ブッシュ(息子)政権の対テロ戦争への嫌気と反動で、民主党は再び左へと戻り、初の黒人大統領オバマ政権を生みだした。いま、オバマ政権の左傾が再び保守の反動を引き起こしている、というのが一般的な見方だ。だが「その見方は間違っていると気付いた」。

 確かに右派の声が大きく聞こえるが、声ばかりで実は力がない。つぶさに検証すると、「アメリカ全体は右にではなく、依然左へと向かっている」とベイナートは主張する。民主党中道化を支えてきた組織やメディアは次々と消えたり、方向転換したりし、代わってリベラルな団体やメディアが力を伸ばしている。その大きな流れはとまらない。ネットメディアとして力を誇った『ドラッジリポート』に代わり、いま力を持っているのは左派『ハフィントン・ポスト』だ。新聞、TVでもノーベル賞経済学者クルーグマンを筆頭にリベラル派知識人が際立っている。

■トランプの主張にもある「左派政策」

 政治・社会団体を見ても、民主党中道路線を引っ張り、クリントン政権を生み出した民主党指導者評議会(DLC)は2011年に解散。代わって2004年大統領選予備選で敗北しながらも、民主党内に「思想革命」を引き起こしたハワード・ディーン(後に民主党全国委員長)の衣鉢を継いでリベラル派ブログサイト『デイリーコス』から進歩派団体「MoveOn」への流れが生まれた。オバマ選挙応援団を核に生まれた「ウォール街を占拠せよ」運動、警察官による一連の黒人被疑者殺害事件とそれを受けた暴動・略奪騒動から生まれた運動体「黒人の命は大切だ(Black Lives Matter)」も大きく広がっている。

「ウォール街~」の場合、運動は表向き終わったように見えるが、 ニューヨークで24年ぶりに民主党市長デブラシオを生み出したり、民主党左派のエリザベス・ウォレン上院議員を誕生させたりしたのは、この運動の流れだ。

 運動を支えているのはミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭生まれ)だが、彼らは来年の大統領選で投票者の3割を占める。共和党候補がたとえレーガン並みに白人票の過去最高60%を得たとしても、黒人・中南米系などで30%以上を取らなければ勝てない。前回選挙でロムニー共和党候補は17%しか獲得できなかった。だからこそ改革派保守(リフォーモコン)の動きが始まった。これもアメリカ全体が左傾している証左だ、とベイナートは言う。

 オバマ政権は期待に反して、左派政治を実現しそこねている面もあるが、レーガンがアメリカ全体の思想傾向を右に動かしたように、オバマも「劇的に」アメリカを左へ動かした。この左シフトは果たしてどのように終わるのか、見通すことはできない。だが「当面は持続するだろう」というのが、ベイナートの見立てだ。

 確かに、一見過激な右派に見えるトランプの主張をつぶさに見ると、福祉維持など左派政策がちりばめられているのは、アメリカ全体の左シフトのせいであるという見方も可能であろう。

■「ないがしろにされている感覚」

 トランプも含めて、いまや民主党も共和党も、左派も右派も、下層中産階級の救いを求める声に応えなければならない(さもなくば、選挙に敗北する)と考えている。その背景を示すような統計が、11月2日、NYT紙の健康医療欄で報じられている。アメリカの白人中年層(45~54歳)の死亡率が、他のどんな年齢集団・人種集団にも見られない上昇率を示しているという調査結果が、今年のノーベル経済学賞受賞者ら2人の学者によって発表された。他の主要先進国には見られない現象だという。主要原因に自殺、麻薬、飲酒が挙げられた。【Death Rates Rising for Middle-Aged White Americans, Study Finds, NYT, Nov. 2】

 これを受けて、保守派コラムニストのロス・ダウサットがオピニオンを書いている。なぜ白人中年層なのか。黒人や中南米系など人種的少数派ではむしろ死亡率は下がっている。経済的困窮が原因なら、彼らの死亡率は急激に上がるはずだ。実際、欧州では少数派の死亡率が上がっている。【The Dying of the Whites, NYT, Nov.8】

 ダウサットは、白人中年層が感じている深い目的喪失感が背景だとみる。人種的少数派は、まだそれなりの共同体や家族を維持し、アメリカという「大きな物語」の中で生きている。だから苦難にも耐えている。白人労働者たちは生きていくことの「意味と目的」を失っている、とダウサットは言う。リベラルの言うように失業問題解消、福祉も必要だろう。しかし、それだけではダメだ。自分たちは大切だ、意味がある(they matter)という感覚を取り戻すことが必要だと訴える。

 主張を繰り広げる中でダウサットが「社会のエリート(政治家や企業幹部)が自分たちをないがしろにしている感覚(elite neglect)」を問題にしている点に着目したい。これは改革派保守の重要な論点だ。この「ないがしろにされている感覚」こそが、トランプが白人労働者の支持を集めている背景になっていることは、さまざまな記事の分析から説明した。

 改革派保守(リフォーモコン)が本格的に動き出す前段で、ダウサットが保守派の代表誌『ナショナル・レビュー』の現編集主幹レイハン・セイラムとともに保守改革を訴える書『新共和党(Grand New Party)』という本を出し、改革への路線を敷いていることも指摘しておく。

■「欧州化」しているアメリカ政治

 最後に、戦争に疲弊し、庶民の所得は低迷、政治に絶望し、排外主義が覆い、強力な指導者を待望する今のアメリカは、ヒトラー登場前夜のワイマール共和国に似ていないかと警鐘を発する、NYT紙の古参コラムニスト、ロジャー・コーエンのコラム「ワイマール・アメリカ」を紹介する。

 コーエンは、フランスの国民戦線を率いるルペン党首とも似通うトランプ、欧州の社会民主主義にも似た主張のサンダースらが前面に出ているアメリカ政治は、「欧州化」していると見る。即ち、欧州の持つ危険性がアメリカにもあり、ヒトラーのような破壊的政治家を生みださないとも限らないと論じる。【Trump’s Weimar America, NYT, Dec.14】

 コーエンもそうだが、アメリカのユダヤ系知識人らはトランプの排外主義・人種差別に強い危機感を持っている。これも保守・リベラルを超えている。ユダヤ系知識人の多いネオコン・グループも保守側から反トランプの強力な論陣を張っている。そうした動きも、共和党大統領候補争いでトップを走るトランプの今後にどんな影響を与えていくか、注視したい。


青山学院大学地球社会共生学部教授・会田弘継


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