㈩正智不邪見戒・・この戒は世の指導者層がもっとも慎み守るべき戒である。自分の我見妄識の憶断を制御して天命を畏れ慎むことをもって止善とする。
行善は、「万物はすべて無我無常であり一つとして我意の通りになるものはない、万象はすべて電光朝霧の如くで一定の定まった姿をとどめることのできるものではない、・・万象は三世因果善悪応報の姿でありこの法則を欺くことはできない、しかも万象は幻の如く空である、という真理を覚り、上は諸仏菩薩・天神を崇拝し、下は一切衆生を憐憫し我見を排して金剛不壊の正智見に安住すること」である。
この正智見を持てなくて邪見に陥るときは、困難に遭遇した時に本人は動揺攪乱することになる。いわゆる「小人窮すればここに濫す(注)」ということがおこるのはこの因果応報の真理を信ずる正智見を持ってないためである。
注)小人窮すれば斯(ここ)に濫(らん)す(「論語」衛霊公)・・小人は、困難に突き当たると我を忘れて自暴自棄になる。
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