大智度論・・１５

（大智度論釋初品中戒相義第二十二之一）
（在家の八戒斎の受戒方法）
問曰「白衣居家（在家信者）は唯此五戒のみなりや。更に餘の法あり耶」。
答曰「有り。一日戒、六齋日戒（八日十四日十五日二十三日二十九日三十日の六日に於いて清浄に持戒する）を持てば功徳無量なり。若し十二月一日より十五日まで此戒を受持すれば其福甚多し」。問曰「云何が一日戒を受くるや」。答曰「一日戒の法を受くるには長跪合掌し應に如是に言ふべし『我某甲、今一日一夜、歸依佛・歸依法・歸依僧』と。如是に二たびし、如是に三たび歸依す。『我某甲歸依佛竟・歸依法竟・歸依僧竟」如是に二たびし、如是に三たび歸依し竟る。『我某甲、若しは身業不善、若しは口業不善、若しは意業不善にして貪欲瞋恚愚癡の故に、若しくは今世に若しくは過世に如是の罪あり。今日誠心に懺悔す。身清淨・口清淨・心清淨ならん。八戒（ここでは以下に出てくる、不殺生・不偸盗・不淫・不妄語・不飲酒・不坐高大床上・不著花瓔珞不香塗身不著香熏衣・不自歌舞作樂不往觀聽をいう）を受行するは是則ち布薩（毎十五日等に集会し、各罪過を懺悔して清浄に住する）なり。『諸仏の寿を尽くすまで不殺生なるが如く、我れ某甲一日一夜不殺生なるも亦た是の如し。諸佛の壽を尽くすまで不盜なるが如く我某甲一日一夜不盜なるも亦た如是なり。諸佛の壽を盡すまで不婬なるが如く我某甲一日一夜不婬なるも亦如是なり。諸佛の壽を尽すまで不妄語なるがごとく我某甲一日一夜不妄語なるも亦た如是なり。諸佛の盡壽不飮酒なるがごとく我某甲一日一夜不飮酒なるも亦た如是なり。諸佛の盡壽不坐高大床上なるが如く我某甲一日一夜不坐高大床上なるも亦た如是なり。諸佛の盡壽不著花瓔珞・不香塗身不著香熏衣なるがごとく我某甲一日一夜、不著花瓔珞不香塗身不著香熏衣なるも亦た如是なり。諸佛の盡壽不自歌舞作樂・不往觀聽なるがごとく、我某甲一日一夜、不自歌舞作樂不往觀聽なること亦た如是なり。已に八戒を受けたり。諸佛の盡壽不過中食なるがごとく我某甲一日一夜不過中食なるも亦た如是なり。我某甲、八戒を受行し隨って諸佛法を學するを名て布薩となす。願くは是の布薩を持て福報生じ、願くは生生に三惡八難に堕せざらんことを。我亦た轉輪聖王・梵釋天王の世界の樂を求めず。願くは諸煩惱盡き、薩婆若（一切智）を逮得して佛道を成就せん』と。