福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

佐竹さんが九月十四日の講の模様を記録してくださいました。

2011-09-22 | 開催報告/巡礼記録
平成23年9月14日
於:三田 仏教伝道会館 7階
福聚講 千巻心経の会

17時より18時まで、般若心経約60巻、光明真言等を唱え、東日本大震災および台風12号の犠牲者供養を行いました。
その後19時ごろまで、芦刈さんの法話を拝聴しました。

芦刈さんの法話のメモ
「即身成仏」について
1、 空海著『即身成仏義』
(1) 二経(大日経、金剛頂経)、一論(竜樹著『菩提心論』より即身成仏を証する八箇の証文の紹介。「即身成仏」の4字があるのは、菩提心論(第7の証文)。

⑦「真言法の中にのみ即身成仏するが故に、是に三摩地の法を説く。諸経の中に於いて闕して書せず。」(菩提心論)
(真言密教の教えと行法においてのみ、この身このままで仏となれる。その理由は、ここには瞑想の境地を得る方法が説かれているから。他のもろもろの教えの中には、この方法は欠けており、書きしるされていない。)
(便宜上、『空海コレクション』(ちくま学芸文庫 宮坂宥勝監修)の訳を引用。以下、同じ)

⑧「もし人、仏慧を求めて菩提心に通達すれば、父母所生の身に、速やかに大覚の位を証す」(菩提心論)
(もし誰であっても、仏の智慧を求めてさとりの心を覚知したならば、父母より授かったこの身このままで、ただちに大日如来の境地を体得することができる)

② 即身成仏の偈頌:字義を『密教辞典』(法蔵館 佐和隆研編)から引きながら、説明。
六大無礙にして常に瑜伽なり 体
四種曼荼各離れず 相
三密加持して速疾に顕る 用
重々帝網なるを即身と名づく 無礙
法然に薩般若を具足して
心数・心王、刹塵に過ぎたり
各五智・無際智を具す
円鏡力のゆえに実覚智なり 成仏

参考(同じく『空海コレクション』(ちくま学芸文庫 宮坂宥勝監修)の訳を引用。)
【即身の詩】
現象・実在の料世界の存在要素である六つの粗大なるもの(六大)は、さえぎるものなく、永遠に融合しあっている。〈体〉
四種の曼荼羅は、それぞれ(様相の異なる真実の相を表しており、)そのまま離れることはない。〈相〉
ほとけと我々の身体・言葉・心の三種の行為形態が、不思議な働きによって感応しあっているので、すみやかにさとりの世界が現れてくる。〈用〉
あらゆる身体が、帝釈天の持つ網につけられた宝石のように、幾重にも重なりあいながら映しあうことを、身に即して(即身)という。〈無礙〉

【成仏の詩】
あらゆるものは、あるがままにすべてを知る智を具えており、
すべての人々には、心そのもの(心王)と心の作用(心数)がそなわって、無数に存在している
心そのものと心の作用のそれぞれには、五種の如来の智慧と、際限のない智慧が十分にそなわっている。
それらの智慧をもって、明らかな鏡のようにすべてを照らし出すから、真実をさとったものとなるのである。〈成仏〉

字義説明(『密教辞典』(法蔵館 佐和隆研編))
即身成仏義、成仏、即身成仏、真言宗未決文、波羅蜜、四摂、菩提心、三摩地、三劫、三妄執、五相成身観

2、 徳一の「真言宗未決文」により疑問の提示
11疑中、第3疑「即身成仏疑」
・「行不具の失」 真言宗では行願、勝義、三摩地の菩提心(「菩提心論」など)により成仏すると説くが、これらは「観行」(禅定)であり六波羅蜜のうち五波羅蜜と四摂が欠落しており不完全な修行である。
・ 「闕慈悲の失」 真言行人が一切衆生を顧みることなく、自分自身が先に成仏してしまうのは慈悲に欠ける。
3、 答釈
「行不具の失」については、三密行は六度(六波羅蜜)を具足し、これを一念の間に成就する。
三種菩提心(行願菩提心、勝義菩提心、三摩地菩提心)は六行(六波羅蜜)、四摂等の万行を具足する。
「闕慈悲の失」については、仏法には自己を先にしあるいは利他を先にする二門があるがそのどちらも一つの「利他の大道」である。衆生の苦を救わんがために先ず自行に努めるのである。

4、 まとめ
「即身成仏」の思想

芦刈さんは、国際仏教塾を終えて、現在は高野山大学院(通信)を受講して勉強しているそうです。おかげさまで、大学院での仏教学を少し垣間見ることができました。

その後、懇親会にてみなさんとお話しました。


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