「神祇秘抄」・・18/22
十八、太神宮両部を宰す事。
問、伊勢太神宮に於いて、両部を宰す義如何。
答、内宮はバン字(梵字)を持て神體と為す、即ち水也。現形の神は五柱います、土宮風宮なんと申し五行神也。(木火土金水に神を配することは「豊葦原神風和記」に「国狭槌尊は水徳の始、豊斟尊は火徳の始、泥土煮尊・沙土煮尊は木徳の始、大戸道・大苦辺は金徳の始、面足尊・惶根尊は土徳の始」)又五佛也(五仏は大日・阿閑・宝生・阿弥陀・不空成就で、五行の木・火・土・金・水に対応する)。
外宮は阿字(梵字)を以て神體と為す。即ち火也。是又五大神各の鎮座有り。凡そ内外宮を以て両部分別の義は無盡也。本来不二なる故なり。(中臣祓訓解や鼻帰書等でも、内宮を日天とし胎蔵界の大日となし、外宮を月輪とし金剛界の大日である、とする)。一往の配釈なり。暫く種子を以て之を知るべしと、云々。次に五大を以て五行を宰さどるの時、其の空大は如意宝珠(五輪塔の空大は宝珠形)、内宮に於いては荒祭宮と號す。外宮に於いては高御前(豊受大神を祀る多賀宮のこと)と云々。此の太神宮に詣ずるの輩、故に此の二神に於いて無相を祈念すべし云々(空大に配される神を祀るので無相を祈念すべしとする)。