福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

現実は知覚する神経システムによって変更される

2020-06-27 | 法話
「実際には『現実』は同じ神経システムをもつ同種の生物に対してだけ同じものとして現れることを神経生物学が証明しています。他の種は世界を違ったふうに知覚します。例えば魚、鳥、昆虫の研究でこれらの生き物は事物の色と形を人間とは全く違ったふうにみていることが明らかになっています。現実がそれを知覚する神経システムによって変更されるのは避けられないことです。・・・

例えば人間の場合を分析してみると、確言できるのは人間はある条件の下でのみある現象を何度も同じように観察し判定するということだけです。・・・例えば眼球に指を強く押し当てると月が二つ見えます。千回これをやっても同じだけれどそうみえたからといってその二重の月がほんのわずかでも存在することにはならないのです。・・

すでにみてきたように亜原子の世界では同一の現象が波の外観を呈するか粒子の外観を呈するかを決めるのは観測者なのです。・・

私の先生であるクエン・リンポチエはこのような現象の本質の理解を次のような観想の修行とむすびつけています。

『現象はすべて虹のようなものだ。触れることの出来る現実など全く無い。空でありながら現象世界の形で現れるという、現実の本当の性質に一度気ずくなら精神は幻想の影響から開放される。想念があらわれるにつれて、おのずから消えるにまかせることができるようになれば想念は鳥が空を渡ると同じように跡を残すことなく精神を通り抜けていくだろう。』・・・」

唯識では「一見四水」(人間が水とみるものは 、天人には水晶の床 、魚には住居、餓鬼には炎膿 とみえる)といいます。
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