福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

Q、悲惨な災害はなぜ起こるのですか、また防ぎようはないのですか?

2013-09-01 | Q&A
Q、悲惨な災害はなぜ起こるのですか、また防ぎようはないのですか?

A,災害は衆生の業によります。そして被災者はその業の「代受苦の菩薩」です。防ぐには衆生の業を清めるほか有りませんが・・・。

1、経典によると衆生の業により宇宙は有為転変を繰り返すとされます。また仏は衆生に諸行無常と彼等の薄福を知らしめんが為に大地を震動させるともあります。要は衆生の心が乱れそれにより積もり積もった業により災害がおこるというととでしょう。

また「国家危機を救う仏教原理『成就衆生浄佛国土』その11」でも述べたように「生命体としての全一の根本佛とそれによりて生かされておる各々個々のものとの交渉関連のうちに、組織し、形成されたものが現実の国土である。従ってそれは本来内外一体のものであり、物心一如のものである」ということですから心がみだれれば国土もみだれるのは自明の理なのです。


(倶舍論等によると宇宙は、「成、住、壊、空」(つまり成立の成劫、安定の住劫、壊滅の壊劫、何も無くなった空劫)を繰り返しており、この成劫のはじまりは「一切の有情の、業の増上力にて空中にようやく微細の風、生ずることあり、是れ、器世間の将に成ぜんとする前相なり。風漸く増盛して、風輪、水輪、金輪等を成立す。」とあります。衆生の業により最初に一陣の風が生じこれが風輪を生じさらに水輪、金輪と次々に宇宙を生成していくというのです。

大智度論巻弟八でも地震について書いています。
「問曰。佛何以故に三千大千世界を震動させたまふや。
答曰。衆生をして一切皆空無常なることを知らしめんと欲するが故に。諸人あり、言く、大地及日月須彌大海是皆有常なりと。是以て世尊は六種に地を動かして此の因縁を示し、無常なることを知らしめ給ふ。。
・・・
復次に・・衆生の福徳微薄にして一切磨滅し、皆歸無常に帰することを知らしめたまふ。
今以是三千大千世界、雜惡の衆生其心麁にして善事あることなし。是故に世尊は此の大地を動かし、皆柔軟心にして利益を得さしめたまふ。

また「国家危機を救う仏教原理『成就衆生浄佛国土』その11」でも栂尾博士の説を述べました。即ち「生命体としての全一の根本佛とそれによりて生かされておる各々個々のものとの交渉関連のうちに、組織し、形成されたものが現実の国土である。従ってそれは本来内外一体のものであり、物心一如のものである」ということですから心がみだれれば国土もみだれるのは自明の理なのです。)

2、またほとんどのお経には仏様は苦悩する衆生に代わってその苦を受けてくださると書いてあります。(華厳経等)。逆に言うと此のたびの震災で不条理な目にあって苦しんでおられる方々はみな我々の業を代わって受けてくださっている仏様ということです。四分律というお経では仏様が「人若(も)し我を供養せんと欲せばまず病人を供養すべし」とおっしゃっています。文殊師利般涅槃経には「(文殊師利菩薩は)自ら化身して貧窮孤独苦悩の衆生となって行者のまえにいたる」とあります。 華厳経(金剛幢菩薩十回向品)は「菩薩が「我まさに一切衆生のために無量の苦を受け諸の衆生をして解脱を得しむべし」といい、大宝積経には「我ことごとく代わって、諸の衆生をして(この世の)大地獄を出しめて、我代わって苦を受け・・・」とあります。
 大般若波羅密多経第四十七巻には「一切の地獄、傍生鬼界人天趣の中の有情の受くるところの苦悩、我当に代わって受け、彼をして安楽ならしむべし(地獄、餓鬼、畜生、人間界、天界などの生き物の苦悩を菩薩は代わって受けこれらのものを安楽にしてやる)」とあります。


3、災害を防ぐにはこれも多くの経典にあるように『成就衆生浄佛国土』(衆生の心身を清め国土を安泰にする)を実現する他ありません。宇宙と衆生の心身は同じだからです。衆生の心身が清らかになれば国土(即ち宇宙)も安泰です。しかしこの心身、特に心を治めることが至難の業なのです。
古来、諸経で、「懺悔」と「十善戒」が繰り返しとかれてきているのは我々の心身を清く保つことが国家安泰のためにもいかに大切かということの裏返しなのでしょう。

4、お大師様の、性霊集第四「国家の奉為に修法せんと講ふ表」です。仁王経等を修法することにより国難を除くとされます。

『沙門空海言す。空海幸に先帝の造雨に沐して遠く海西に遊ぶ。儻灌頂の道場に入て、一百余部の金剛乗の法門を授けらるること得たり。

其経は佛の心肝、國の霊宝なり。是の故に大唐開元よりこの己来、一人三公、親り灌頂を授けられて、誦持観念す。

近くは四海を安むじ、遠くは菩提を求む。宮中に長生殿を捨て内道場とす。復七日毎に解念誦の僧等をして持念修行せしむ。城中城外に鎮國念誦の道場を建つ。佛國の風範、復是の如し。

其の将て来る所の経法の中に仁王経・守護國界主経・佛母明王経(佛母明王大孔雀経)等の念誦の法門あり。佛、国王のために特に此の経を説きたまふ。七難を摧滅し四時を調和し、國を護り、家を護り、己を安むじ、他を安むず。此の道の秘妙の典なり。・・』


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