大乗本生心地観経(報恩品・全品書き下し)2/5
はじめに・・2
全体は八巻十三品。印度より渡唐の般若三蔵訳とされる。(しかし大正二年石山寺で発見された「大乗本生心地観経」断簡には唐の憲宗皇帝の御製序があり「罽賓国沙門 般若宣梵文 醴泉寺日本国沙門霊仙筆受并譯語・・」と銘記があり 、 日本の霊仙三蔵の業績でもあることが確証されています(「霊仙三蔵・渡辺三男」による)。また日本へ伝えたのは「霊仙が渤海国の僧貞素に托して謝恩のために天長二年 ( 八二五)頃、朝廷に献上されたと推定されている(「空海にみる忠と 孝・松長有慶」)。
巻第一・序品一。
王舎城耆闍崛山で釈尊は多くの比丘・菩薩・八部衆等に囲まれていた。宝蓮華師子座に坐した釈尊は胸間から大光明を発し、これを見た師子吼菩薩は、光中に顕示された深意を讃え、心地観門を説かるべし、と勧める。
巻第二・ 報恩品二の上
王舎城の長者五百人が、大乗出家主義は父母の恩をないがしろにするもので報恩の道に外れるものだ、と言う。そこで釈尊は彼等をたしなめ、恩には父母恩・衆生恩・国王恩・三宝恩の四恩が平等にある、と説く。
巻第三 ・報恩品二の下
その時、王舎城の東北の小国・増長福の智光長者が、親不孝息子を連れて聞法に来たり、釈尊は再び四恩を説く。また三聚戒を説き懺悔をすすめ、事理二観
(仏や浄土の具体的な姿を対象とする事観と真理を直接対象とする理観)を教える。また報恩に真実の十波羅蜜行を勧める。
巻第四 ・厭捨品第三
智光長者は、感激し三宝に帰依するとを誓った。しかしなお、愚かな出家者より在家の菩薩が勝れているのではないか、と疑問を呈した。釈尊はこれに答えて、出家主義を説いた。
巻第五 ・無垢性品四
そこで智光長者は出家の心がまえについて尋ねた。釈尊はこれに答え、自分がどのような因縁で出家できたか観想し、衣服臥具飲食湯薬の四事に執着せず、十二頭陀行を修せよと教える。
巻第五・阿蘭若品五
その時、常精進菩薩の問いに答えて佛は、修行者が阿蘭若行(森林にすむ行)により速やかに成仏できると説く。
巻第六 ・離世間品六
楽遠離行菩薩も仏の威力を受けて、「様々な執着から逃れるためには阿蘭若で修行せよ」と説く。
巻第六 ・厭身品七
釈尊は弥勒菩薩の問いに答えて三十七種不浄観を説く。
巻第七・波羅蜜多品八
弥勒菩薩が阿蘭若で修行する意味を問うたのに対し九品中の上根の三品の菩薩は阿蘭若に住するからであると説かれた。
巻第七・功徳荘厳品九
仏は弥勒菩薩に阿蘭若では煩悩の根源が自心であると観ずるように教える。また自分の入滅五百年後、仏法が滅びようとした時、多くの衆生が阿蘭若で無上道を修め、天上へ転生して弥勒菩薩にまみえ、来世に大宝龍華菩提樹下で解脱するであろうと授記された。
巻第八 ・観心品十
文殊菩薩が「心」・「地」の理を尋ねたのに対し釈尊は三界唯心、心法不可得を説く。最後に陀羅尼と金剛縛印を説く。
巻第八 ・発菩提心品十一
また文殊菩薩は、三世が空性ならどのように菩薩心を発すれば良いか尋ねたので、釈尊は空は有病を破せんがためのものであり、空病に執着すべからずとする。空の薬を服して邪見を除いたところに発菩提心ありとする。月輪観・陀羅尼・印相を示す。
巻第八 ・成仏品十二
また釈尊は月輪観の次は三大秘密法も観ずべきとして具体的に心・語・身の秘法を教える。
巻第八 ・嘱累品十三
最後に釈尊はこの大乗心地観経を文殊菩薩等に付嘱。またこの経の一四句偈なりとも信じ説く功徳甚大なりとする。
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