日々の恐怖 1月1日 マンガ喫茶(2)
俺、学生時代良く行ってた所で変な物見たよ。
いつも空いている店なんだけど、田舎な場所で平日の昼前のせいか、客は俺くらいしかいない時だった。
探してたマンガがある棚の前辺りに、ずーーと立ってる女がいた。
“ まぁ、そいつがどいてからマンガ取りに行けばいいか・・・・。”
と思って、ドリンクコーナー行ってホットコーヒー飲んで、トイレ行って、それから戻ってきたのに、まだいる。
“ 何だよ~。”
と思うと同時に、
“ メンヘラ系かな?”
とも思って、一度席に戻ろうと反対側向いたんだけど、かなり気に入ってるマンガなんで早く読みたい。
“ まぁ、やわらかく言えば波風立たないだろう。”
と思って、再度その棚の方に向き直したら、突然いなくなっていた。
考え直して向き直すまでの時間って、せいぜい1~2秒くらいだ。
その店の構造は、マンガがある棚のフロアと座席があるフロアが隣同士で分かれている。
マンガがある方は、図書館みたいに棚がいくつも平行に立ってて、壁も棚になっている。
誰か人がいて、その人が移動してもすぐに見つけられるはずだった。
でも、妙に気になって探してみたんだけど、その女はどの棚の通路にもいなかった。
店内は静かなんで、誰かがいれば歩く音でも聞こえるくらいだけど、そういう音もしていない。
消えた以外考えられない。
それ以来、その店には行っていない。
店内の照明が控えめな上に人が少ないから、落ち着いた感じで気に入ってたんだけどね。
客が少ないのは、立地の問題だけじゃなかったんだろうな。
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