大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 1月15日 顔(3)

2017-01-15 19:46:11 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 1月15日 顔(3)




 一度も来たことのない場所なのに、BにはAの住む部屋がなんとなくわかった。
3階の、通路の奥から3つ目の部屋。
Bは鍵が掛かっているはずのドアを開けた。
 玄関に入ると、右に洗濯機、少し進んで左に風呂場、その奥には電気がついたままの部屋。
部屋の中心には炬燵、左の壁際にベッド、そして右の壁際には本棚。
何となくAらしい雰囲気の部屋だとBは思ったと言う。
 Aはそれを聞きぞっとした。
部屋のある階や場所、内装までまったく同じだったからだ。
 Bは本棚を見て、本を貸し借りしていたことが懐かしくなり、本を手に取ってみた。

“ この漫画、最新刊出てたんだな。
このグレーの本は小説かな?”

と本をもう1冊取ったとき、急にBは強い気配を感じ、そちらを見た瞬間、本を落としてしまった。
 本棚の横の白い壁に、右を向いた女の横顔があった。
Bが、

“ 何だ、コイツは・・・?”

と思っていると、その顔が徐々に回転し、こちらを向いて来る。
 正面で向き合ったとき、女は無表情で肌の色が壁紙とまったく同じ白だった。
Bには一瞬仮面に見えたという。

“ これは本当に夢なのか・・・・。”

Bは突然無性に恐ろしくなった。

“ Aの部屋に何故こんなものがいるのか?
自分はこいつに引き寄せられたのではないか?”

 そして、Bは、

“ ここに自分が来てはいけなかったのではないか・・・。”

と思った。
 こちらを向いている女の顔が歪み、口が徐々に開いて来る。

“ 何だ・・・?”

とBが思った瞬間、急に誰かに襟首を掴まれたように、体が引き倒された。
 Bが勢いよく仰向けに倒れて行く。
女の口が動いていたが、Bには何を言っているのか聞こえなかった。












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