日々の恐怖 1月2日 別荘地(1)
東京での生活に疲れた俺は仕事を辞め、親父の仕事の手伝いをすることになった。
親父の仕事は別荘地の管理をしている。
当然、静かで人のいないところだから、俺が静養するのに丁度良かった。
そこは東京からも近いので、今ではかなりの別荘が立ち並んでいる。
別荘地は夏場は人が多いが、シーズンが去ると結構閑散となってしまう。
そんな別荘地で、気になることが一つあるのだが、それは、今でも偶に遭遇してしまう。
親父はイングリッシュセッターという大型犬を飼っている、
この犬はガンドックと言われる鳥猟犬なので、一日の運動量がすごい。
その上、運動が足りないとストレスで吠え出すので、最低でも1時間は散歩に行かなければならない。
犬の散歩は、俺の体力維持にピッタリだった。
たいていは、夕方に散歩することになっている。
一応、自分の引き受けた仕事として見回りも兼ねているので、重要な業務ではある。
それと最初に出会ったのは、2月頃だった。
その日、俺は5時ころ散歩に出かけた。
5時となるとかなり日も落ちるので、暗くなると足下が危ない。
だから、8NX415と言うSWATや軍隊が使っている強力なライトを持ち歩いていた。
別荘地は林が基本的な風景、そこに家がちらほら建っている。
歩いていても、避暑地なので、冬は人がほとんどいない。
結構寂しい場所で、そこをウロウロ歩く。
それも、このときは雪が道路に積っていた。
一番奥の家まで行って折り返そうとしたとき、その家に明かりが灯っているのに気が付いた。
俺は、
“ あれっ・・、こんな時期に誰か来てるのか、珍しいな・・・。”
と思った。
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