日々の恐怖 3月7日 お祓い(4)
すると神主の青年が、サッと待機所から飛び出すと、二人に走り寄った。
「 △△様でしょうか?」
木の揺れる音のため、自然と大きな声だった。
うなずく男。
「 大変申し訳ありませんが、お引取り願いませんでしょうか。
我々ではどう対処も出来ません。」
こちらに背を向けていたため、青年の表情は見えなかったけれど、わりと毅然とした態度に見えた。
一方老婆と男は、お互いに顔を見合わし、うなずき合うと、青年に会釈し引き上げていった。
その背中に青年が軽く頭を下げて、小走りで戻ってきた。
いつの間にか木の揺れは収まり、葉が何枚か落ちてきていた。
「 い・・、いまの何だったの・・・!?」
と中年のおじさん。
「 あの木、何であんなに揺れたの?
あの二人のせい・・・・?」
と彼女。
俺はあまりの出来事に、言葉が出なかった。
興奮する皆を、青年は落ち着いて下さい、とでも言うように手で制した。
しかし青年自体も興奮しているのは明らかだった。
その手が震えていたからだ。
「 僕も実際見るのは初めてなんですけど、稀に神社に入られるだけで、ああいった事が起きる事があるらしいんです。」
「 どういう事っすか!?」
と俺。
「 いや、あの僕もこういうのは初めてで・・。
昔いた神社でお世話になった先輩の、その先輩からの話なんですけど・・・・。」
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ