日々の恐怖 8月3日 トレイルランニング
山本は、トレイルランニングを趣味にしています。
トレーニングとして、近所の山に走りに行くことがあるそうです。
ある日、いつものように頂上まで走って登り、駆け下りていると、後ろから同じように走る足音がします。
” 同好のヤツでもいたんだろうか・・・?”
と思いつつ、走り続けていると、徐々に足音が近くなります。
「 ハッ、ハッ、ハッ!」
と荒い息遣いまでが聞こえてくるので、
” あらら、邪魔だったのか・・・?”
と思い、道の端に寄り通り道を開けましたが、一向に抜いていく気配がありません。
しかし、息遣いはさらに近くなり、足音までも真後ろで聞こえてきました。
振り向いて確認したい気持ちになりましたが、一向に抜いていかないのと、なんとも気味の悪い感じがしたので、下りの勢いに任せて全速力で駆け抜けました。
上り口まで100メートルの看板が見え、
” もう少しだ!”
と思った瞬間、ふっと背後の気配が消え、
「 お前、ヒトのクセに足速いな。」
ボソボソっと聞こえたそうです。
「 そのまま全速力でウチに帰ったよ、足がパンパンになっちまった。
今度から、山には御守りでも持っていくことにするよ。」
山本はそう言って渋い顔をしました。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ