そして、俺は車椅子に乗せられて待合室に移動した。
“ もう、この看護婦さんに、さっきの話をしても無駄だな。
それにしても、さっきは危なかったな・・・。”
俺は、待合室は救急の受付や看護婦さんがウロウロしているから、危ないことも無いだろうと思った。
そう、“危ないこと”、それは何の気なしに思った訳だが、ここは危ないと言う俺の感覚が言わせたものだった。
救急の待合室で看護婦さんが言った。
「 ご両親は正面の受付に来ると思うから、来られたら救急の受付の方に連
れて来るね。」
「 はい。」
看護婦さんは控えの部屋に戻って、俺は待合室で両親を待った。
俺は待合室をキョロキョロ見回した。
“ うん、ここは大丈夫そうだ。”
特に変なものは見えない。
救急の事務の人が、受付の窓からチラチラ見える。
その後、一時間程で、両親は入院用の俺の身の回りのものを持って、慌ててやって来た。
両親が、待合室でボ~っと待っている俺を見て言った。
「 スーパーに行くって飛び出してから、なかなか帰って来ないし、どうし
たのかと思ったわ。」
「 行き先は、連絡しろって、このォ~!」
「 うん・・・・。」
「 それにしても、どうしてこんなに遠い病院に来たんだ?」
俺は、爺さん婆さんの親切を話して、礼の依頼をした。
両親は、近くの外科の方が良かったのにとブツクサ言ったが、礼はしてくれそうだ。
看護婦さんに促されて、直ぐに母親が俺の入院の手続きを行った。
そして、母親は、持って来た入院の荷物とコンビニで買ったパックの俺の夕食とお茶を看護婦さんに委託した。
その後、一通りの話をしてから父親が言った。
「 沙織が家で一人で寂しく留守番をしているからな。
そろそろ、帰るよ。
また、来るからな。」
沙織と言うのは2才年下の俺の妹だ。
妹の性格からして、“寂しく”って言う感じは考えられない。
でも、俺は切っ掛けだと思って返事をした。
「 うん。」
そして、両親は来たときと同じように、あたふたと帰って行った。
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