大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 8月10日 その3 足音

2013-08-10 19:18:26 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 8月10日 その3 足音




 幽霊話じゃないのですが、怖い話はまだある。
私達が暮らしてた隣の部屋というのが、頻繁に住人が入れ替わる部屋で、ヤクザみたいなのやら、飼い犬を虐待する夫婦やら、ろくなのがいなかった。
その時は若い男が入居してました。
 ある深夜、母と私が起きていると、外から砂利を踏みしめる音が。
私達家族が暮らしたのは道路から一番奥の部屋だったのですが、各家につながる通路には砂利が敷いてあり、住人はその踏む音を聞くことで、どの家に人が来たか分かる感じでした。
 その夜の足音はどうやら隣に来たらしく、「あ、人が来たね」「こんな夜中にね」と二人で話してた。
ところがその後、ドアを開ける音も何もしない。
ただ人の気配だけする。
数分後、何をするでもなく足音はまた道路に向かって去っていく。
「何だったんだろうね」と話しながらも、そのまま寝てしまった。
 翌朝、外に出た姉と私はすぐ家に逃げ込んだ。
隣の玄関の前には、腹を裂かれた白猫の死体が・・・。
個人的には、幽霊云々よりこれが一番怖かったです。
















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しづめばこ 8月10日 P265

2013-08-10 19:18:04 | C,しづめばこ
しづめばこ 8月10日 P265 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 8月9日 その2 怨念

2013-08-09 18:19:51 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 8月9日 その2 怨念




 同じく、長屋にいた頃の話です。
長屋のすぐ傍に古いアパートがあって、そこの二階に若い女性が一人暮らしをしていた。
多分30代だった記憶がある。
 そのお姉さんは近所の主婦とも気軽に立ち話するし、私達子供にも会えば挨拶してくれる気さくな感じの人だった。
お姉さんの部屋にはたまに男が出入りしていて、近所では『ヒモ』だと囁かれてた。
母によれば、お姉さん自身が「彼がお金を無心にくる、生活がきつい」と嘆いていて、それでも好きな男だったらしく、「今日彼が来るの」などと嬉しそうにしてたらしい。
 そんなお姉さんが、そのうち近所で姿を見かけなくなり、「どうしたんだろうね」と近所で噂が立ち始めた頃、部屋で死体で発見された。
死因は餓死。
第一発見者は金の無心にやってきた男。
「可哀想に・・・」と母がうなだれてたのを今も覚えてる。
 やがて近所の噂も収まり、お姉さんの部屋にも新しい住人が入るようになった。
でも、皆一ヵ月もしないうちに出ていく。
長く居る人は発狂する。
 小学生の男の子が、窓から通行人に向かって鋏を投げて大怪我させたこともあったし、自殺未遂騒ぎもあった。
(ちなみに、うちの長屋と同じ大家で、困り果ててたらしい)
最後はお祓いしてた。
近所ではお姉さんの怨念だなんて囁かれてたけど、個人的には怖い云々より、お姉さんのことを思うと心からやりきれなかったです。
 関係ないけど、その長屋とアパートの大家の娘さんがすぐ近所で暮らしてたのですが、鬱病だったそうで、自室で寝てた中学生の娘をメッタ刺しで殺害する、という恐ろしい事件が起きました。
あの土地には何か因縁があったのかも・・・。
 餓死事件が発生したのは、母の記憶によると昭和49年~52,3年位だったようです。
ただ、大家さんがいわゆる地元の有力者だったので、新聞には載らなかったかも。
そのアパートの一階に住んでいた中学教師が失踪する事件があったのですが、その時も載らなかったので。
少なくとも毎日新聞には載りませんでした。
 私は子供だったのでもう記憶は薄いのですが、母によると、お姉さんは「痩せ細ってたのに顔だけは綺麗に化粧してた」そうです。
お姉さんに合掌 (-人-)
 あと、「赤ちゃん埋まってる事件」ですが、母の話では、父と姉だけでなく私も言ってたらしいです。
本人記憶なし。
















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日々の恐怖 8月8日 その1 赤ん坊

2013-08-08 18:33:26 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 8月8日 その1 赤ん坊




 子供の頃、一時長屋に住んでたことがあった。
そこに引っ越して間もないある日、姉が遊びから帰るなりおかしなことを言い出した。

「 あのね、うちの下に赤ちゃんが埋まってるって○○ちゃんに言われたよ。」

母はその時、近所の新参者に対する意地悪かな、程度にしか考えなかったらしい。
 ところがそれから暫らくした朝、父が目覚めるなり、

「 この家の下には死体が埋まってるんじゃないか?」

と言い出した。
何でも、夜中に金縛りにあい、自分が寝ている三畳間の床下から赤ん坊の泣き声が聞こえた、と。
 驚いた母が姉の話をすると、建築業を営んでいた父はダイナミックな行動に出た。
何と、大家に無許可で畳を外して床板を剥がして調べた。
 ドラマなら、そこで死体が見つかるとこだけど、結果は何も出ず。
ただ、不審に思った母が後で近所に聞いて回ったところによると、私達家族の前は若い身重の女性が暮らしていたそうで、女性はその家で出産したらしい。
暫らくは赤ん坊の泣き声がしてたのにピタリと静かになって、やがて逃げるように引っ越してしまったと言うことだった。
 その後も父は、頻繁に、

「 夜中に赤ん坊の声が聞こえた。」

とぼやいてた。
もっとちゃんと探せば、もしかしたら死体は出てきたのかも知れないと今でも思う。

















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しづめばこ 8月8日 P264

2013-08-08 18:33:02 | C,しづめばこ
しづめばこ 8月8日 P264 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 8月7日 電話

2013-08-07 18:32:14 | B,日々の恐怖






     日々の恐怖 8月7日 電話





 会社の先輩(女性)の、学生のころの体験を聞きました。
学校から帰ってみると、家にだれもいなかった。
先輩はとくに気にすることもなく、父親の3畳ほどの広さの書斎にある電話で友達とおしゃべりをはじめたが、その途中で、電話相手の友達が、

「 なにか音しない?」

と言った。
 カチカチカチカチと、ちょうど電話機のフックを連打する音に似たその音は先輩の耳にもききとれたが、

「 混線でもしてるんじゃない?」

と、あまり気にかけなかった。
そのカチカチ音も、30秒くらいの間隔で数回鳴り続けたあとで止まった。
 1時間くらい話したころ、玄関を開ける音がし、廊下にドサッと買い物袋を置く音がした。
母親が帰宅したのかな?と思いつつそれでも喋っていると、背中のすぐ後ろの扉がドンドンドンドン!とすごい勢いでノックされた。

「 うるさいなあ!もう!」

 先輩はノックの主は長電話ギライの母親だと思っていたので、扉をドカッと蹴り返した。
ノックの音は止まった。
かわりに女の声がした。

「 でんわを切りなさい。」

“でんわ”のところまでは、のびたテープのような低い声。
しかし“切りなさい”は、逆にテープを早回ししたような甲高い声。
異常に気づいた先輩は怖くなり、友達に頼んでしばらくそのままおしゃべりを続けてもらった。
 日も暮れかけたころ、再び玄関を開ける音がし、廊下にドサッと買い物袋を置く音がした。
廊下に小走りの足音が響く。
ドンドンドンドン!
先輩はもう喋ることもできず震えていた。
 扉の向こうで声があがる。
しかし、今度は正真正銘、母親の声だった。

「 お父さんが倒れて運ばれたんだよ。
こっちは必死にあんたに伝えなきゃと思って電話してたのに!」
















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日々の恐怖 8月6日 コンニチハ

2013-08-06 19:08:29 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 8月6日 コンニチハ





 俺の家は戦争中に完成した、わりと古い部類に入る。
今、俺が使っている部屋、親父が使っていた部屋、そして祖父ちゃんが使っていた部屋は同じ。つまり長男が代々、勉強部屋なり書斎としてなり譲り受けたもの。
その部屋で親父と祖父ちゃんは変なものとコンニチハして、そいつを撃退しているらしい。
 その変なものとは、窓のところで逆さまになって部屋の中をのぞき込んでくる女性の頭。
女性は一見、短髪に見えたがよく見ると髪が焼けただれた様になって頭皮に張り付いていたと。
 件の部屋は2階だから外から普通の人間がのぞき込んできているということは考えにくい。
ちょうど机が窓のある壁にピッタリくっついていて、下に落としていた視線を上に向けると窓が真ん前に来る。
そこにそんな生首が現れたら心臓に悪いことこの上ない。
 元日本陸軍技官、当時は某電機メーカーで電子機器開発の研究員をやっていた祖父ちゃんは会社の仕事なのか個人研究なのか、ある夏、部屋(当時は書斎)で高圧電流を使う実験をしていたらしい。
ふと手を休めて網戸を張った窓に目をやると、その女性の頭が祖父ちゃんをジトォっと睨んでいた。
 普通ならば驚いて悲鳴を上げる、後ろに後ずさるとかする。
さすが祖父ちゃん、元軍人。
何を思ったのか手元にあった電極(ワニ口クリップみたいなやつだと思う)を、その女性の頭にグイと押しつけたらしい。
特に悲鳴やバチっという音はならなかったらしいが、その女性の頭は一瞬、ビクッとなって落ちていったらしい。
木に成っていた柿が屋根に落っこちて、ごろごろ転がるときと同じような音がしたらしい。

 さて、次は親父。
祖父ちゃんと同じく電気屋になった親父はある夏、件の部屋で半田ごてを使って電気工作をしていたらしい。
ふと手を休めて網戸を張った窓に目をやると件女性の頭が親父を凝視していた。
 普通ならば驚いて悲鳴を上げる、後ろに後ずさるとかする。
親父は祖父ちゃんからこの女性の生首の話を聞いていたからなのか、そこまで驚かず手元にあった熱した半田ごてをその女性の頭にグイと押しつけたらしい。
 親父が言うに焼けてブスっ食い込む感じがしたけれど、妙に感触が軽かったと。
やっぱり女性の頭は落ちていったらしい。

 親父と祖父ちゃん、その生首に遭遇したのは二人とも25歳の夏だったらしい。
俺にもやってくるなら2年後。
残念ながら、俺は親父は祖父ちゃんと違って電気屋じゃなくて化学屋になってしまった。
 俺は親父が祖父ちゃんみたいな電気技は使えない。
親父や祖父ちゃんが使っていた机の引き出しに塩基を入れておくか、酸を入れておくか、過酸化物を入れておくかにちょっと真面目に悩んでいる。

 生首の出所についてだが、俺の自宅は戦前からある某大手写真機製造社のすぐそばにある。単に一般用のカメラだけじゃなくて偵察機に搭載する航空写真機まで製造していたらしい。もちろん学徒動員もされた。
そして空襲も何度か酷いのがあって、一度、うちの近辺に遺体が散乱する事態になったらしい。
祖父ちゃんや近所に住んでいる高齢者の方は、それ以外に化けてでるような心当たりがないと言っている。


 その生首が空襲の犠牲者だとしたら、祖父さん親父さんの仕打ちはちと酷じゃないか?
まあその辺の判断は君次第、2年後の報告を待つ。


 お祖父さんとお父さんの時代はクーラーなくて、窓とカーテン開けてたんだね。
でも、2年後の夏は窓とカーテン閉めてるだろうから大丈夫だよ。
カーテンから顔出して来たら、カナヅチでぶっ叩けば。


 俺もそう思うが、二人ともバリバリの理系。
そもそも、そういった霊とかの類の存在を信じないと言うレベルを通り越して、存在してはいけない、科学や技術を以てそういうのを撃退、解明することに正義があるって信じている。
 俺は病院で研修したりする方面に行って、自分でおかしな雰囲気や気配に遭遇したりしたことあるから、そこまで霊的なものの存在は否定しないのだが・・・。
うっかり二人の前でオカルト番組を見たり、病院で出るなんて話を少しでもすると馬鹿なことを言うなって罵倒される。
ちなみに、俺の部屋、エアコンないんだ。

















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しづめばこ 8月6日 P263

2013-08-06 19:07:06 | C,しづめばこ
しづめばこ 8月6日 P263 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 8月5日 雨の日

2013-08-05 19:06:58 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 8月5日 雨の日





 小さい頃から、実家に一人で留守番してる時に雨が降ってくると、ピンポンが鳴って、

「 ○○さ~ん(←私の苗字)雨降って来たよ~!!」

って叫ぶおばちゃんがいた。
しかし、玄関開けると誰もいない。
“きっと近所の人だろうな”って思ってた。


 大人になってから(10年前に結婚して地元を離れたので)実家で一人留守番ってことが無かったから、雨の日のおばちゃんの事すっかり忘れてたんだけど、この前実家で一人留守番してた時に雨が降ってきた。

「 ピンポーン。」

って鳴ったから玄関に出た。
出てみたらずぶ濡れになった知らないおばちゃんがいて、

「 雨降ってきたから洗濯物しまいなさい。」

って言って消滅しました。
 と言うか、ふわっと消えた感じです。
あまりにずぶ濡れだったので、“傘、貸しましょうか?”って、うちに置いてある傘に目を落とした瞬間に消えたんです。
後で、“あぁ、あのおばちゃんがいつも教えてくれてたんだな”って思った。















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日々の恐怖 8月4日 ハイヒール

2013-08-04 19:45:35 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 8月4日 ハイヒール




 毎年台風が来ると思い出すのが、会社の寮で一人暮らしをし始めた頃のこと。
台風が直撃するというので、ベランダの物干し竿を片付けようとしたら、物干し竿の先に汚れたハイヒールが片方だけ引っかかってた。
寮は男子寮だし、悲しいことに俺には彼女なんていなかったので、何故こんなものがあるのか最初は理解できなかったが、俺の部屋は最上階(5階)の角部屋だったので、隣に住む同期の友人の持ち物としか考えられず、隣に投げ返しておいた。
 その後、昼ごろに隣の友人が慌てた様子で俺の部屋にきて、

「 ○○(←俺の名前)どうしよう、ベランダにハイヒールが!飛び降りした誰かの遺品かも!」

と血相を変えて騒ぎだしたので、俺は“そんなわけないだろ。俺を怖がらせようと芝居してるんだな”と思い、笑っていた。
 しかし、そいつは本当に顔色が真っ青で倒れそうだったので、次第に俺も演技ではないと感じ、俺がハイヒールをそいつの家に投げ込んだことを話した。
わけを話した当初、友人は誰の物かもわからない物を投げ入れたことに怒りまくっていたが、次第に落ち着き、

「 じゃあ、このハイヒールはどこから…。」

と言うと黙り込んでしまった。
友人があまりにもビビっているので、それまで何とも感じてなかった俺も気持ち悪くなり、 1階の管理人室に落し物として持って行くことにした。

 管理人室の爺さんは新聞を読んでいる最中で、しばらく俺達の存在に気づかなかったが、 大声で落し物だと伝えると、いかにもダルそうにゆっくりと近づいてきた。
爺さんは、

「 あ~落し物ね、これどこで拾ったの?」

と面倒臭そうにハイヒールを眺めていたが、俺の部屋のベランダで拾ったことと、俺の部屋番号を伝えると、突然爺さんの動きが機敏になり、

「 片方だけか?もう片方はないんか?」

などとイロイロ質問を投げかけてきた。
 俺は“げ、俺が入居する前にマジで自殺者いたのかよ…”と呆然となり、友人は顔面蒼白になっていたが、爺さんは呆然とする俺たちを無視して、

「 ちょっと屋上を見てくる。お前らはそこにおってくれ。」

と言い残し、部屋を出て行った。
俺たちは爺さんが戻ってくるまで、無言のまま数分間立ち尽くすこととなった。
 帰ってきた爺さん曰く、
 
「 屋上への入り口は鍵を何個も掛けて厳重にしとるし、誰も出入りした様子はなかった。
自殺者も“ここ数年は”でとらん。」

フォローになってないぜ爺さん。

「 自殺者と言っても一人だけ、14年ほど前のことで、ここが△△(←会社名)の寮になる前のことや。
ワシはそん時からここの管理人をやっとるんやが、ただ、その時にな・・・。」

急に黙り込む爺さん。
俺は耐えられなくなって、

「 何かあったんですか!?」

と聞いてしまった。

「 自殺した日が台風の日で、遺書や靴もろとも吹き飛ばされてたんや。
結局見つかったのは遺書と靴(ハイヒール)が片方だけでな。」

飛び降りたのは貯水槽の横(←俺の部屋の上)あたりかららしい。
ホント、勘弁してくれ。

「 遺族の方は、靴がそろって見つからないことに心を痛めていてなぁ。
うん、そんときの靴に似とるわぁ・・・。」

そこからどうやって部屋まで帰ったかはあまり覚えてないが、気づいた時には俺の部屋にいて、友人と二人でボーっとしていた。
 その後、友人はすぐに引越したが、俺は金がなかったので3年ほどそこに住み続けることとなった。
幸い恐怖体験などはすることはなかった。
 結局そのハイヒールは、遺品であったのかどうか確認がとれなかったらしいが、一応お寺で供養してもらったそうだ。
今となっては、管理人の爺さんにからかわれたのかなとも思うが、飛び降りた日と見つかった日が同じ台風の日ということで、考えると未だに少し怖い。


















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しづめばこ 8月4日 P262

2013-08-04 19:45:07 | C,しづめばこ
しづめばこ 8月4日 P262 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 8月3日 地蔵

2013-08-03 19:04:14 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 8月3日 地蔵





 わたしの母の実家が香川県なのですが、わたしが子供の頃、その香川県で体験した話です。
場所は津田の松原というところで、わたしは母のこぐ自転車の後ろに乗っていました。
 右は海岸、左には港町の、うら寂しい家並みが見えていました。
時刻は夕暮れです。
 ふと、路地のはしに、お地蔵さんが見えたのですが、なんとその目が真っ赤にギラギラと光っているのです。
わたしは怖くなり、

「 お母さん、お地蔵さんの目が光ってるよ。」

と言ったのです。
すると母は自転車をこぎながら、

「 それはね、海で死んだ人の霊が悪いことしないように見張っているんだよ。」

と・・・。
 何年か後に、母にそのことを話しましたが、母はそんなこと言った覚えはないの一点張りです。
母は幽霊などを極端に怖がる人なので「死んだ人の霊が・・」などというのは変という気がします。
今思うと、あの声は母の声ではなかったのかもしれません。














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日々の恐怖 8月2日 カーブミラー

2013-08-02 18:28:39 | B,日々の恐怖





    日々の恐怖 8月2日 カーブミラー




 6月の半ば頃の話です。
当時、俺はバイク買ったばかりで、大学が終るとしょっちゅう一人でバイクに乗って、あちこちを走り回っていた。
その日も特にする事がなかったので、次の日休みという事もあり、神奈川方面へ結構な遠出をした。

 で、その帰り道、たしか夜の12時過ぎくらいだったと思う。
道とかも適当で標識を頼りにあまり車通りの多くない道を世田谷方面に向かって進んでいると、急に前を走っていた車が急ブレーキを踏んで蛇行しガードレールにぶつかった。
 目の前で事故を見たのは初めてだったのでかなりびっくりしたが、そうも言ってられないので、ひとまずバイク路肩に停めて車のほうへ駆け寄った。
車の窓から中を覗き込むと、中には女の人がいて両手でハンドルを持ったまま頭を垂れてガタガタ震えている。

“ え?これヤバくね・・・?”

と思い、とりあえず窓越しに

「 大丈夫ですかー?」

と、声をかけたのだが、女の人から返事は無い。
結構パニック気味だった俺は、

“ ここで警察に電話しないと!”

と、ふと気付いて110番をした。
 警察を待っている間、俺が何度か、

「 大丈夫ですかー?」

と聞いていると、女の人はやっと車から降りてきた。
 見た感じ怪我は無さそうだが、顔色は真っ青で何かぶつぶつと呟いている。
少し呟きが気になったので、

「 どうしたんですか?」

と口元に耳を近付けると、震えた声でとんでもない事を呟いていた

「 子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…子供轢いちゃった…。」

俺はかなりギョっとした。
 事故の瞬間を見てはいたが、

“ 子供なんていたか?”

記憶を思い返しても道路に人影があったようには見えなかった。
慌てて道路の方を振り返ったが、どこにも子供の姿はない。
 俺は女の人を路肩に座らせて、あちこち歩いて見て周ったのだが、子供なんてどこにもいない。
そうこうしているうちにパトカーがやってきて、警官が2人降りてきた。

 警官に俺が事情を話し、警官もかなりあちこち探してみたのだが結局子供はいなかった。
俺も色々事情を聞かれたのだが、少なくとも俺は女の人の乗る車が急ブレーキを踏んでガードレールにぶつかったところしか見ていないし、道路に人影も見ていない。
俺は自分の記憶にあるとおり警官に伝えた。
 再度、警官が女の人に事情を聴きに行き、俺もいっしょに聞いていたのだが、女の人が言うには急に道路わきから子供が飛び出してきて、衝突する音も聞いたという。
でも、現実にはどこにも子供の人影は無い。
 警官の一人がパトカーに戻り無線で何か話し始め、もう一人の警官が女の人に怪我はないかとか痛い所はないかとか聞いていたとき、急に女の人が道路わきにあったカーブミラーを見て、

「 ぎゃあああああああああああああああ~~!!」

と物凄い絶叫を挙げた。
 びっくりして俺と色々聞いていた警官もカーブミラーを見た。
カーブミラーには俺が一番手前に、歩道の路肩に女の人が座り、その横に警官が屈んでいたのだが、女の人と警官の後ろ、本来誰もいないその場所に子供が写っている。
年は4歳か5歳くらい、ちょっと良いところの幼稚園児が着る様な服を着て、無表情に鏡越しに俺たちを見ていた。
 俺と警官は、たぶんほぼ一緒に後ろを振り向いたと思う。
しかし、そこには誰もいなかった。
もう一度ミラーのほうを見ると、そこには俺たち3人しか写っていなかった。
 女の人はこれで完全にパニックになって、とても話が聞けるような状態ではなくなってしまい、警官が呼んだ救急車でそのまま運ばれていった。
そして、俺には一応あとでまた事情を聞くかもしれないと住所や電話番号を聞き、最後に、

「 ああいうのは、さっさと忘れたほうが良い、気にしないほうが良いよ。」

と言ってきた。
しかし、そう言っている警官もかなり顔色が悪かったと思う。
その後、警察からは特に連絡など何もなかったので、真相とかいわくとか、そういうのは全く解りません。















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日々の恐怖 8月1日 伝言

2013-08-01 19:58:25 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 8月1日 伝言




 結婚して2年で旦那の癌が発覚。
嫁親は結婚に反対し、旦那親は父親の浮気で離婚。
そして旦那の父親は会社の金を横領して刑務所に、母親は水商売で若い男と同棲中。
この母親は、嫁に金まで借りまくっていた。
 嫁はOLをし、夜中までファミレスでバイト真夜中は道路工事の警備員に。
でも発病が26才の旦那の癌は、若い分だけ進行が早かった。
旦那の親は一度も見舞いには来ない。
 手術や新薬の為、嫁は働いても働いてもお金がない。
病室に毎日行くと「もっと傍にいてくれ」と旦那は言う。
しかし仕事があるから長居できない。
 嫁の睡眠時間は2日間で3時間。
若さだけで乗り切る日々。
この生活が2年半続いたある日、病院から電話が。
 しかし嫁は仕事中で、気が付くまで9時間以上掛った。
必死に病室に行くと…、旦那はいなかった。
看護師に聞くと、旦那の母親が遺体を引き取ったらしい。
 旦那の母親はとある新興宗教の熱心な信者。
旦那も名前だけ信者になっていた。
嫁が地方の旦那の母親に電話をすると、「葬式はこちらでやります。あなたは信者じゃないし来ないでよ」と。
 呆然と立ちつくす嫁に、看護師から封書が渡された。
旦那からの手紙と離婚届け。

「 ありがとう。
毎日ボロボロになるまで俺の為に働いてくれて。
 おまえはまだ若い。
誰よりも綺麗だ。
俺の死亡届けより離婚届けを出して。
 俺の親はどうしようもない。
縁を切って自由になってくれ。
少し悔しいけど再婚して、俺がかけられなかった愛情を未来のご主人から受けて欲しい。
 ごめん。
愛していたよ。
痩せ続け、手荒れしたおまえの手に涙が止まらなかった。
幸せになって欲しい。
 ありがとう。
本当にありがとう。
○○、愛しているよ。」

嫁は号泣して倒れた。
 166cm35キロ。
体も限界だったのだろう。
その後、旦那の実家地方に行くが母親は引越していた。
 息子の生命保険で家を買っていたのを知ったのは数年後。
嫁は墓の場所すらわからなかった。




 そんな嫁が海外で仕事先を見つけた。
一人で渡米。
そして3年振りに帰国し、役所関係の手続きを終え、仲間との飲み会に。
 しかし、横断歩道を歩いていて車にひかれた。
幸い、脳震盪と脱臼。
脳の検査入院で1ヶ月。
ひいたのは俺。
 親御さんに土下座して、毎日病室に行った。
俺の親も謝罪に行った。
 嫁の意識が戻った時、「○○さん?」といきなり俺の下の名前を読んだ。
持参した黄色のチューリップを見て、「1番好きな花です。ありがとうございます」と。
その時は、寝ている最中に名前なんて話したかな?と思っていただけ。

 俺より8才下で、とにかく綺麗な人だった。
退院してから海外に戻ると言う嫁に告った。
結婚したかった。
嫁は「×1ですが…」と恐縮していたが、双方の親は大賛成だった。
 結婚式(嫁は初婚の時に挙式していないので、友人らが勧めてくれた)の前に、嫁の親友に初めてこの話を聞いた。
こんな苦労していたとは知らなかった。
 でも、親友にさえ「忙しいけど大丈夫!」と、旦那が死ぬまで何も伝えなかったらしい。
結婚式はレストランで控え目にしたが、嫁の友達がみんな涙しているし、友達がたくさんいる人気者だと知った。
 結婚して3年目に嫁から打ち明けられた。
入院中、旦那が夢に出て来て、

「 △さんはおまえを幸せにしてくれるよ。
俺の事は忘れて、△さんと幸せになってね。」

と、俺の名前を告げて消えたらしい。
その後、一切出て来ないそうだ。
若くして亡くなった旦那の分まで幸せにしてやりたい。


















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しづめばこ 8月1日 P261

2013-08-01 19:57:58 | C,しづめばこ
しづめばこ 8月1日 P261 、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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小説“しづめばこ”



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