新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

邸宅の玄関に優雅な女性像を見つけた・・・レッチェ④

2016-10-04 | レッチェー南イタリア

 レッチェのバロックは単に建築だけではない。街中に散らばるパラッツォ(邸宅)の外壁や正面玄関が、競い合うようにバロック装飾で埋め尽くされている。18世紀末までに完成したパラッツォは120を超えるという。

 どの家の玄関にも怪獣、天使、老人、植物などあらゆるものが出現して、その多様性を競っている。

 まず目を引かれたのが、マレーゼ邸という邸宅の柱に装飾された女性像。

 優雅な仕草が印象的で、

 立ち止まって見惚れるほどの美しさを見せていた。

 また、パルミエール通りの持ち送りなどに加工された像たちは、奇想天外の変化を見せる。風を受けて飛んでいるような女性像。


 何か救いを求めているような悲し気な表情の人。

 王女のような出で立ち。
 教会の前に広場を持つ他のイタリアの都市と比べても、レッチェの教会前はほとんど広場がない。また、主な道路も狭い。従って、バロック建築を眺めるときは自然と間近な距離から見上げる形となる。すると、ちょうど持ち送りの下にいる怪獣たちが目の前に現れる仕掛けになる。
 つまり、街を歩いていると、それは道路ではなくて建物内の通路のように感じてくる。

 向かい合う髭の老人。

 キョトンとした表情を見せる怪獣?

 あなたは何か不満でもあるのかい?

 ここは馬のオンパレード。

 おじいさん、大丈夫?!

 この少年にはきっと楽しいことがあったんだろうなあ。

 こうした装飾は玄関付近に集中しており、脇に回ると目立った装飾はほとんど見られない。言ってみれば、「顔の化粧は丹念に施しても、服装は普段着」といったおおらかさが面白い。

 バロックの代表的な都市であるローマだと、教皇をトップとしたカトリックの権力者たちとベルニーニらビッグネームの芸術家たちが創り上げた‟官製”のものだが、レッチェバロックは地元の職人たちによる手作りバロックであるところに独自性とユニークさが潜んでいるようだ。
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