新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ウフツィ美術館の聖母比べ下 「ムキムキ聖母」ミケランジェロ、「慈しみ」のラファエロ、「長い首」のパルミジャーノ

2018-10-23 | フィレンツェ・ウフツィ美術館

 ミケランジェロ「聖家族」

 フィレンツェではミケランジェロの彫刻作品をたくさん見ることが出来るが、実は絵画作品はこれが唯一の作品だ。フィレンツェ商人アニョロ・ドーニ夫妻の娘マリアの誕生を記念して描かれたものらしい。

 何といってもミケランジェロ作品の特徴はその身体つき。聖母像にしてもこの腕の筋肉などそのムキムキさは、まさに男を表現する芸術家としての本領をいかんなく発揮している。(聖母様なんだからそんなにムキムキにしなくても… と思うのだけれど)。


 ちょうど古代彫刻の傑作であるラオコーン発見後に描かれたらしく、後方の若者像はラオコーンをモチーフとして描いているのも注目点の1つだ。

 ラファエロ「ひわの聖母」

 レオナルド・ダ・ヴィンチ風のバックの中央に浮かび上がる聖母子と洗礼者ヨハネ。

 ラファエロ特有の慈しみに溢れた聖母像は、いつ見ても心は安らぐ。(ラファエロの作品については、パラティーナ美術館編の時に少し詳しく掲載する予定です)

 パルミジャーノ・レッジャーノ「長い首の聖母」

 曲がりながら長く伸びた体のデフォルメ。マニエリスムの典型的な作品だ。

 立っているのでも座っているのでもない不安定さ、何も支えていない柱。落ち着かない気分にさせる絵画だ。
 ただ聖母のしなやかさはコレッジョにも通じるパルマ派の特徴かも。

 アンドレア・デル・サルト「ハルピュイアの聖母」

 フィレンツェにおけるマニエリスムの先駆者である作者の代表作。聖母の衣装の鮮やかなコントラストも見所の1つだ。

 コレッジョ「イエスを礼拝する聖母」

 生まれたばかりの輝くイエスを心から愛しむように見下ろす聖母。コレッジョ特有の優しさあふれる聖母の姿が心にしみる。

 このように1つの美術館内の至る所に聖母の姿が見つかる。しかも様々な変化に富んだ表現方法で。私は夜間開館の日に夕方に入ったので、ボッティチェリ以外の作品はゆったりと鑑賞することが出来た。夜間開館日はお勧めです。


コメント (2)
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