目的の礼拝堂が見えてきた。でも、特に目立った特徴もない、普通のこじんまりした礼拝堂。
ただ、建物の窓だけがやけに大きいといった印象だ。
その大きな窓が、そっくりシャガールのステンドグラスだったことが、入ってみて初めて分かった。
とにかく大きい。床面から天井まで高さ12mという、シャガール自身にとっても最大の作品がそこにあった。タイトルは「平和」。
実はこの町に来る時、標準レンズをホテルに置き忘れてしまったことに、ここで気付いた。持ってきた望遠レンズではこのステンドグラス全体が1枚の写真に収まらない。上の写真が、部屋の一番後ろから撮った精一杯のものだ。
なので、部分的に見て行こう。最上部には、多くの人達が様々な形で動いている。日常の営みなのかも。
その中で、左側には十字架に架けられたキリストの姿がある。
中央部は、大きな赤い花束によって囲まれている。
花束の中心にいるのが、2人の男女。抱きあい愛を語っているかのようだ。これが「平和」の象徴なのだろう。
花束の下部。茎の部分の緑が映えており、全体を引き締める役割を果たしている。
その傍ら左側には、馬に乗った人の行列がある。平和の行進(!)この辺りのブルーは目の覚めるような明るさだ。
ステンドグラスの手前にガラスのテーブルがあった。
近づいてみると、そのテーブルに抱きあう2人がきれいに映し出されていた。
こんな形で、メッスとサルブールにシャガールを訪ねる旅は終わりを告げた。寒い冬の真っただ中だったが、シャガールのステンドグラスは人の心をほっこりとさせる温かみにあふれたものだった。