国立博物館本館の向かって左側にあるのが表慶館。1909年に片山東熊の設計で建設された。ネオバロック様式で、1世紀以上前の建物とは思えない清新さを誇っている。
中に入ると、素晴らしい階段に遭遇する。
華やかにアーチを描く手すりはシンメトリーな曲線。
階段を昇る途中で足を止めて眺めると、流れるような稜線が視線を引き付ける。
2階に上り切ると、踊り場に設置された円形の手すりがあどけない子供のような愛らしさを纏っているのに出会える。
下を見下ろす。変幻自在に曲がり広がる片山東熊独自の世界観が展開している。
この建物は、特別展の際だけしか開放されていないので、チャンスがあれば迷わず訪れることをお勧めしたい。
表慶館の奥にある現代的なビルが、谷口吉生設計の法隆寺宝物館。法隆寺所蔵の像をここに移設している。入口右にある階段。特別変わった形でもなく普通の施設だ。だが、そのらせん状の中央に下げられた装飾で、この空間は全く違った特別のスペースになっている。
下げられているのは「灌頂幡」。かつて法隆寺の伽藍を飾っていた寺院装飾の仕掛け。国宝に指定されている。これがあっただけで階段が一気に格調高くなった。