パリ・オペラ座(オペラ・ガルニエ)。19世紀後半、ナポレオン3世指揮下オスマン知事が実践したパリ大改造の際、ランドマーク的建築として建造されたのがこのオペラ座だ。シャルル・ガルニエの設計で1875年に完成した。
正面入口を入ると、大理石の双子柱に囲まれた高さ30mの大ホールに広々と設けられた階段が姿を現す。
踏板は白大理石、手すりには赤と緑の大理石が使われ、豊かな色彩と豪華な装飾で形成されている。
正面階段は、格別の幅を取っており、照明を受けてまぶしいくらいに光を跳ね返す。
上り階段も1つだけではなく何か所か分かれて存在し、それぞれに気品を漂わせる。
2階踊り場にもたっぷりスペースが設けられる。
オペラ座の舞台には、パリを描いたシャガールの天井画「夢の花束」が掲げられ、バレリーナならば誰もが憧れるハレの場が用意されている。
その栄光の場に向かって精進を続けてきたバレリーナたちの夢のステージが、この大階段のすぐ先に待ち構えている。
そう、その1段1段毎に、あたかも私たち自身も、恍惚の高みに臨むかのような高揚感に胸をときめかせている自らに、気付くのかもしれない。
また、2階には全面に金箔を施した壁面を持つ大広間がある。天井から吊り下げられたシャンデリアに照らされて室内全体が神々しく輝く様は、あの大階段を昇りつめた後に初めて味わうことの出来る幸福だ。