アマルフィは中世時代、ヴェネツィア、ピサ、ジェノヴァとともにイタリア半島から地中海地域での4大海洋国家の1つとして繁栄を誇った歴史を持つ。
今ではその華麗なる景観美によって世界中の人たちを引き付ける観光都市となっている。事前に考えていたのとは違ってアマルフィそのものの街は意外にまとまった印象だった。
街の中心はなんといても大聖堂。海岸からすぐ入ったところの高台にそびえている。10世紀に創建された建物は18世紀にバロック様式に改修されている。壁面は金色のモザイク、白黒の縞模様が印象的だ。
街の広場からは急な階段によって大聖堂に導かれる。その白く美しい空間は実にフォトジェニック。
大聖堂のすぐ前のホテルに宿泊し、午前中に広場に出ると、階段の途中に正装の男女がポーズをとっているのに気付いた。
よく見ると新郎新婦。大聖堂で式を挙げた後、一生の思い出写真を残すため晴れ姿での撮影の最中だった。
その光景は何の関係もない私でさえも、幸せ感に包まれるシーンだった。大階段が最高のシチュエーションになるということを実践して見せたカップルだった。
夜の階段も見逃せない。ライトアップされた広場から、鐘楼をそばに従えてすらりと上方に伸びる様は、そのまま月へとつながるのでは…と思わせるほどに優雅なアプローチを見せ、下の広場では多くの市民たちがイタリアの夏の夜をゆったりと味わう時間を過ごしていた。