シチリアの州都パレルモにあるマッシモ劇場は1897年の建築。客席数3200と当時はパリ・オペラ座に次ぐヨーロッパ第2の規模を誇った。
新古典様式の正面は堂々とした風格だが、その中央にどっしりとした階段が設置してある。
この階段は、実はあの有名な映画「ゴッドファーザーパート3」の重要な場面で登場している階段だ。
マフィアのコルレオーネ一族の子供でオペラ歌手となったアンソニーの公演が、この劇場で行われた。興奮冷めやらぬ気分で家路につこうとこの階段を下りる一行に向かって突然、銃声が鳴り響いた。
発射された凶弾は娘メアリーに命中、命が奪われてしまう。泣き崩れる父マイケルのアル・パチーノの悲痛にゆがんだ姿がクローズアップされる。そんな印象的なシーンは、まさにこの階段で撮影された。
劇公演の場面は、たまたまマッシモ劇場の修復期間中だったことから、別の劇場が使われたが、階段のシーンだけは、堂々たるこの劇場の階段でなければならなかったのだろう。
パレルモ市内の夕景。宿泊したホテルの窓からこんな風景が見られた。
今でも「ゴッドファーザー」人気は高く、様々なTシャツも売られていた。
もう1つの劇場。と言っても今度はタオルミーナの野外劇場だ。紀元前3世紀にギリシャ劇場として建設されたが,後にローマ人によって「ローマ劇場」に改修された。
「ギリシャ」と「ローマ」の違いは、「ギリシャ」が劇場外の雄大な自然をそのまま劇の背景として活用するため、開放的な造りになっているが、「ローマ」は周囲を高い障壁で囲って閉鎖式の空間としている点だ。いずれも観客席が階段状になっていて、座席兼用の階段だ。
タオルミーナも2世紀に円形闘技場として改築されたものの、後に正面の壁を取り壊して今は自然の風景(エトナ山やイオニア海)が見渡せるようになった。
そのエトナ山の雄大な風景は、ホテルの部屋からもバッチリ見ることが出来た。
そしてイオニア海の夜明けも素晴らしいものだった。