「GARAN43/35」(東京都)
今年も生きて 桜を見ています
人は生涯に 何回くらい桜をみるのかしら
物心つくのが 10歳くらいなら
どんなに多くても 70回くらい
30回 40回の人もざら
何という 少なさだろう
もっともっと多く 見るような気がするのは
祖先の視覚も 紛れ込み
重なり合い 霞立つせいでしょう
あでやかとも 妖しとも 不気味とも
捉えかねる 花の色
桜吹雪の下を ふららと歩けば
一瞬 名僧のごとくに わかるのです
死こそ 常態
生は 愛しき蜃気楼 と
(茨木 のり子)
「夏舞徒」(埼玉県朝霞市)